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TCG風の力で俺は魔法少女達と肩を並べる  作者: 庚 権左右衛門
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幼馴染の驚くべき衣装


 まず、その目についたのは胴部を彩る赤い服。

 体に張り付くようにぴったりとしたタイトな衣類は、艶のあるレオタード。しかしきついハイレグになっている上、上半身は肩口がむき出しになっている。

 次いで、足は全体的に網タイツに包まれており、さらにレオタードと同じ色のハイヒールが艶を放っている。

 そして輝く金紗に変わった頭部を飾るうさ耳に、黒い蝶ネクタイ付きの付け襟と手首に装着された白いカフス。

 腰の横には飾り紐らしきものがついており、後ろにはふわふわの飾りまでついている。


 ――誰が視ても、紛うことなきバニーガールの衣装である。


 ちなみにカフスがある影響か、亮一が変身時に装着しているブレスレットはなく、代わりに上腕にアームレットが装着されていた。

 デッキもそのアームレットに取り付けられている。下向きに口が開いているにも関わらずカードが落ちてこないのは、不思議パワーによる落下防止が働いているのだろうか。


「ぁ……あまり、じろじろ見ないで……恥ずかしいから……」


 あまりに想定外過ぎたその格好に亮一が思わず見とれていると、玲子が落ち着かなさそうにもじもじとしながらぽそっと、そう抗議した。

 まぁ、ありていに言って、年頃の、それも活発とはいえどちらかといえばお嬢様寄りの性格の女の子が着るにしては、いささか刺激の強すぎる衣装であることに違いはない。


 だが、ディーラーという肩書に対してこの衣装、というならまぁ納得できる配役ではなかろうか、とも亮一は思う。

 RPGでもミニゲームスポットとしてのカジノが登場するものには、ディーラーや給仕として必ずと言っていいほどバニーが登場するからだ。

 ただ、現実でこれはちょっと目に毒だったが。


「私も、ちょっと後悔はしてるんだよ? でも、この力……端末をいろいろ見てわかったことなんだけど、なんか、別の世界由来の力らしくってね。大本の世界では、カジノの女性ディーラーや給仕はバニーさんが絶対視されてるんだって」

「なんだその無茶苦茶な理由は――!? まぁ、別の世界の力、っていうのにはある種の納得できる感はあるけど」

「でしょう? だから、まぁ……一晩経って、落ち着いたら、選んでしまったものは仕方がないかなって」

「そうか……まぁ、玲子がそれでいいなら、いいと思うけど……てか、衣装変えることできないのか?」

「うん、なんか、無理みたい」


 しょんぼり、と首を垂れる玲子。

 そこは融通利かせてくれてもいいんじゃないかな、と亮一は思わなくもなかった。


「それと、なんだが。なんか、衣装だけじゃなくて、玲子自身もすごく変わってるよな……なんかこう、エロっちくなった……」

「ちょっと、変なこと言わないで……」


 玲子は、自身の体を隠すように腕を交差させながら、例の端末にあった、能力のこと――正確にはエルカディア・コア・システムの基礎知識を説明した。


「あなたはこれのリファレンス、全部読まなかったの……?」

「あぁ。全部は時間がなくてな……とりあえず、力を使う上でのルールとか、そういったさわりだけしか読んでない」

「はぁ……」


 頭が痛いといわんばかりに額に手を当てる玲子。

 そして、彼女は輝く金紗に変わった髪をもてあそびながら、その疑問に対する答えを亮一に説明した。


「簡単に言うと、この力はさっきも言った通り、エルカディアっていう異世界の力みたいなの。昨日、あなたが転んだ時にその力が微弱ながら流入したのがきっかけね」


 ただ、それはあくまでもきっかけ。

 亮一たちがその力を使えるようになった要因は、他の外的要因が大きいという。それも高次的存在による介入を伴う要因だ。


「ただ、この力はあくまでも別の世界の法則であって、この世界の住民である私達は扱うのに適していない。そもそも扱えるほど力を取り込んだわけでもない――かといって、放置しておくと得た力がそのまま私達を害する毒になるという中途半端な強さの力だった。

 例えるなら、私達が取り込んだのは繁殖力の高い雑草の種みたいなものね。家屋を放置しておくと、やがて草木が生えて、人が住めなくなってしまうような感じで、ね。

 そこで、異世界の法則を司る神様的なナニカが、その力と同質の力を、私達に埋め込んだらしいの。それで、私達は十全に力を扱えるようになった」


 亮一はなるほど、あの転んだ一瞬の間にそんな出来事があったのか、と驚愕の色を隠せなかった。

 なにしろ、そんなライトノベル的な展開になっていたとは思って思ってもいなかったからだ。

 ただ、それだけだとなぜ玲子が衣装だけでなく、体そのものが変わってしまったのかという理由の説明にはなっていない。


 しかし、玲子の話――端末にあったという情報は、まだそれで終わりというわけではないようで、彼女の話はまだ続く。


「それでも、私達にとっては異物であり、いつも通りの私達のままではまだ力を使うには及ばない――そこで、神様的なナニカは、私達に与える力の塊に、別の働きも組み込んだ。私達が能力を使う際、一時的に体を異世界の――エルカディアに住む人々と同じ体に改変して、その人たちと同じ条件で使えるようにするという働きを。その結果が、私の見た目が変わった理由ってわけ」

「そうだったんだな……って、あれ? だとすると、もしかして体つきが変わったのって……」

「えぇ。私だけじゃなくて、あなたも変わっているわよ。髪の毛の色だけじゃないわ。背丈が……結構、伸びているのかしらね」


 意外かもしれないが、玲子は平均身長よりも背が高く、亮一は平均身長よりも低い。そのため、平時では玲子の方が背丈が高いという珍しい構図になっていたのだが――今の亮一は、背丈が玲子と同じくらいになっていた。

 それも、バニーコートの一部であるハイヒールを履いているために、普段よりも頭の位置が高くなっている玲子と、である。


「元の体の面影が少ししか残っていないのは、特に変化の方向性が細かく決められていなかったせいみたいね」

「あ、そうだったんだ。どうせなら、普段通りの見た目にしてほしかったがな」

「ふふ、そうかもね……あと、服装が変わるのは、向こうの世界の大衆意識によって定義されたものだから、神様的ナニカの干渉は関係ないみたいね」


 そういうと、玲子は改めて自身の今の格好が恥ずかしくなったのか、どうせならそっちもどうにかしてほしかったけど、と言いながら自身の体を抱きしめた。


「ま、その分特性が反則級に強い奴だったから、それと引き換えなら諦めもつくけどね」

「特性……? 魔法使いで言うところの、魔法の専門家、みたいなやつかな……?」


 特性。ステータスパネルの項目で言うところの、『Special effects』にあたる項目のことだろう。

 位置的にはSkill pointsの一つ下にあたる。

 ここには、おそらくその肩書きごとに与えられる特殊な恩恵が書かれているのだろう。

 もちろん、亮一も魔法使いの特性を保有していた。


「ふぅん……リョウの、魔法使いの場合はそういう名前の特性なんだ。どういう効果なの?」


 玲子はそれが気になるのか、先に亮一の特性を聞くスタンスを見せた。



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