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TCG風の力で俺は魔法少女達と肩を並べる  作者: 庚 権左右衛門
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思い浮かぶ戦闘風景


 亮一の端末に記録されていた『カード形式の情報』には、カードという形式で文章量的には少ないながらも、実に凝縮された情報が詰め込まれていた。

 その魔力の残滓――魔法痕のもととなった魔法の属性的なものや攻撃・回復・補助などの使用目的はもちろんのこと、魔法を使用した日時に、その魔法を使った人のプライバシーに食い込む情報までもがそこには含まれる。

 ただ、当然ながら魔力の残滓は流動性があり、ある程度は魔法痕としてその場に残り続けるという特徴はあるようだが、流動性がある限り時間が経てば得られる情報はどんどん掠れていく。

 しかし、それが逆に使用された魔法の日時の割り出しに使われたりなど、その流動性が情報を奪っていくだけかといえば、そういうわけでもないようであったが。

 具体的には――


「百貨店を襲ったっていう犯人だけど、魔法痕からして、まず一昨日の晩のと昨晩のとで、同一犯が三人くらいいるのは確かみたいね……」

「あぁ。なんか、魔法痕の魔力の波長コード? ていうのが、一致してた」


 そう、その魔力の波長コードという情報が、その際たるものだろう。

 おそらくは、異能力のエネルギーにおける指紋のようなものなのかもしれない。

 異能力のエネルギーには、その異能力の系統のほかに、同じ系統(・・・・)の力であっても、人によって指紋のような微細な違いが生じるのだろう。

 その微細な違いを識別するために便宜上設定されたのが、その魔力の波長コードなのではないか、と二人は仮定して、話を進める。


 波長コードが一致した魔法は、同一人物が放った魔法である。

 つまり、一昨日の夜の襲撃と昨夜の襲撃で使用されていたらしい魔法のうち、少なくとも数名はこれまでにも引き起こされた襲撃事件にも、犯人の一人として関わっている可能性がある。


「もし、この波長コードが一人一人違うのだとすれば、これと同じ波長コードの異能力の持ち主と会えば、何かわかりそうね」

「厄介なことに巻き込まれるのは確実だろうけどな……」


 実に正反対な二人である。


「とりあえず、私の端末の方にもこれは共有されたみたいね……。見ただけで共有されるなんて便利だわ……はい。これが私が気になった、らしいものね」


 さりげなく発覚した端末の便利機能に感心しながら、今度は玲子が亮一に端末を差し出した。

 玲子の『活動記録』には、亮一のそれとは違い、魔法痕ではなくそれにより起きた結果が、カードとして記録されていた。

 具体的には、犯人たちが行った攻撃で、どのような損害があったのかを示しているのだろう。


「さながら事件現場付きの切り抜き記事みたいだな……」

「だよね~。どうしてリョウのとは全然内容が違うんだろうね~」

「肩書きが違うからじゃないか?」


 亮一の場合はどちらかといえば特性にもある通り、魔法の専門家だ。ゆえに、どのような魔法が使われたのかということと、そこから追うことができる範囲内での犯人像だった、ということなのだろう。

 玲子の場合はディーラーだ。おそらくは『店員』または『従事者』という立場からみてわかり得るような、そういった情報に特化しているのかもしれない。


「ディーラーだから……つまり、お店で働くような人の視点で、気になったことだったってわけね」

「より正確には、『偽物』だったり『壊れたまま』だったりした理由っぽいがな」

「どんなイカサマが使われたか~、みたいな?」

「それこそそんな勢いかもしれないな!」


 実際問題、ブランドショップに事件後置かれていたらしい『偽物』の数々は、『修復を試みたがイメージの内容と実物との間に差異があったため、偽物となった』とあった。おそらくは、犯人は隠蔽工作も魔法で行おうとした。が、完全な隠蔽には至っておらず、結果として事案として成り立ってしまったということなのだろう。

 


 そして、すごいのはそこに犯人の『精神状態』が描かれていたことだった。

 その精神状態にも共通点らしきものがあり、商品に対して使用された魔法に関しては『後悔』『無念』『不本意』などの感情が記載されていたことから、おそらくは犯人はこれらの隠蔽工作(イカサマ)は、やりたくてやったわけではなかったのだ。

 亮一の行動記録の情報から、事件現場では魔法の打ち合いによる『戦闘』らしきものがあった可能性はあった。これは玲子の方の行動記録と合わせて確認できたことで、攻撃を目的とした魔法のほとんどには『目の前の敵に対する敵意』はあっても、『思い浮かべた何者かに対する害意』がなかった、ということからも判断できることである。


「ただ、どんな戦闘なのかはわからないけどね~」

「だよな。ただ……壁の一部にも砲撃のような魔法の痕があったから、もしかしたら砲撃を敵に撃ったはいいものの、それで敵を壁ごと撃ち抜いちゃって、しかも敵は無事なままだったから店内での戦闘になってしまった、という推論は立ちそうだけどな」

「そうね。というより、それが一番成り立ちそうよね……」


 ただ、そうなると犯人たちは空を飛ぶことができ、空中戦もできるような存在であることも考慮に入れなければならないだろう。

 なにせ、その砲撃の通り道(・・・)が発見されたのは8階で、しかも若干下向きに傾いでいたのだから。


「だとすると……そいつらと出会ったときはこれが役立つのかもしれないな」

「これは……空を飛べるスキル! リョウはこれ交換したんだ」

「いや。パックに含まれてた」

「そうだったんだ。まぁ、フィールド展開してても割と効果は強そうだし、入っててもいいのかもしれないわね」

「ああ。……玲子も、首突っ込むんだったら一応二枚は入れておけよ?」

「二枚なの? ……あぁ、リキャストを考えると確かにそれが一番みたいね」


 亮一が差し出したカードを見て、玲子は素直に『イマジンウイング』のカードを交換したのであった。

 ちなみに『イマジンウイング』は飛行特性追加に加え、5ターンもの間DEFが3000も上がるのに交換に必要なポイントは2ポイントと、非常にお得であったらしい。

 DEF値が同等のカードはほとんど5ポイント以上がざらなのにこの価格。

 どうやら、異世界エルカディアでは空を飛べるのは基本らしい。



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