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TCG風の力で俺は魔法少女達と肩を並べる  作者: 庚 権左右衛門
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秘密の調査ミッション


 小笠家により手配されたリムジンの運転手が到達したのは、亮一がリムジンを手配してから四時間余り後のことだった。

 襲撃の後片付けにがあったために開店準備に時間がかかったものの、結局店舗は今日も営業しているようで、とりあえず二人はほっとしていた。

 ただ、襲撃にあったブランドショップのテナントは、今回の襲撃で資金的にも退去せざるを得ない状況に追い込まれており、そのほか周辺にあったテナントもだいぶ品数を減らしての開店となっていたが。


 店内を歩く亮一たちの姿は、端から見ればどのような集まりなのか皆目見当がつかない集団と言えよう。

 亮一たちだけならまだしも、彼らを間近で守るために、護衛が二人付いていたのだから。

 見た目ではとても類似点の少ない四人組なのだから、予想がつきづらくても仕方がないだろう。

 ちなみに、護衛の二人は、亮一たちにとってもなじみのある顔ぶれであったようで、リムジンの中では親しそうに亮一たちと接していた。


「リョウ……気づいてる?」

「あぁ……なんとなくだが、外とはちょっと感じが違うっていうか……」


 亮一たちの会話に、護衛の二人も同意する。が、その心の内が一致しているかどうかは話が別だろうが。

 まぁ、護衛の二人からしても、襲撃直後の開店ということもあって、店内が普段とは違う雰囲気に包まれているというのは自然なことだろう、とは考えていたようなので、そのまま流すように自分の仕事に集中していったが。


 そして亮一たちの方は、襲撃後ということもあって、どことなくピリピリとした空気が漂っていることが気にかかったのではなく。

 もっと別のもの――店舗内を漂う異質な『ナニカ』に対するコメントだ。

 それは、自身がその身に宿すことになった、カードの力。それを開放した時に感じる、体の奥底からこみあげてくる『ナニカ』とよく似ていた。

 亮一はとりあえず、その『ナニカ』のことを『ナニカ』と呼び続けるのもおかしいと思ったので、便宜上の呼称として魔力と呼ぶことにした。


 魔力は、気を付けていないと見逃すくらいに気配は薄かったものの、被害に遭った店舗に近づくとそれは濃密なものとなっていた。

 そして特に魔力が濃いと思われる場所は、今朝のニュースでも取り上げられていた、ブランドショップのテナントをはじめとする数店だった。

 ただ、そこは本日休業の張り紙とともにコーンとバーで立ち入り禁止措置が取られていたため、外側から眺めることしかできなかったが。


 亮一は、そのブランドショップのテナントの前に立つと、テナントの外側から中をよく見てみた。

 棚はきれいに片付けられているが――おそらくは、商品の鑑定のために、一旦引き上げざるを得なかったのだろう。

 その商品が置かれていたであろう棚を、じっと見ていると――なぜか、一枚のカードのイメージが、脳裏をよぎった。


 ――なんだ、今のは……。


 不意に自身を襲った謎の現象に、亮一は一瞬だが玲子の方を振り向いた。

 彼女は彼女で、テナントの壁に設えられた商品棚を見つめていた。

 やがて、ふぅ、と息をつくと、亮一と顔を合わせて、『やってないんじゃ仕方ないわね。別の場所に行きましょう』と、さりげなくその場から離れようと提案してくる。

 なにやら玲子の方でも思うことがあったらしく、しかし護衛の存在を気にしてなのか、神妙な顔をしながらも特に何を言うでもなく、亮一の手を取ってさっさとその場を離れていった。


 その間も、魔力らしきものが感じられる毎に、亮一の脳裏に様々なカードのイメージがよぎっていく。


 そして、玲子に連れられながら百貨店を歩いたことで、その脳裏に浮かぶ謎のカードについて、だんだんと詳細を理解することができた。

 それらのカードのイメージは、どうやらそのカードの詳細を見たいと思いながらその魔力溜まりのある場所を見ることで、本当にその思い浮かんだカードの詳細を見ることができるらしい。

 そして、そのカードはどうやら、その魔力溜まりが具体的になんなのか、どのような理由で魔力溜まりができたのか、を示しているようで、言ってしまえばそれは魔法の痕跡を鑑定しているに等しい行動だった。


 比較的開けたスペースでは、主に攻撃系の魔法の痕跡と思われる魔力溜まりが散見された。

 どのような範囲で、あるいは軌道で攻撃魔法が放たれたのかはわからなかったものの、使用されたらしい攻撃魔法の逆算はできてしまい、亮一はカードの力の恩恵の強さを、あらためて思い知らされた気がした。


 調査結果としては、被害に遭った売り場やテナントでも、攻撃魔法らしきものの痕跡は発見されたが、こちらはどちらかといえば流れ弾的な感じなのだろうか。

 そして、それらの場所では同時に、修復系の魔法の痕跡も発見された。

 こちらは破壊した商品や壁、床などの復元といったところか。


(――どちらかといえば、偽物騒動は復元をしようとして失敗した、といった感じで、メインは破壊行為……いや、復元を試みているところ見ると、戦闘とみるべきか)


 カードの力の恩恵で得られた情報から、そう結論付けた亮一は、隣を歩く玲子に視線を送り、彼女の方はどうか、とそれとなく聞いてみた。


「ん~、とりあえず、欲しいものはこんなものかな……」


 そう答える彼女の両腕には、文房具売り場や書店で購入したものがぶら下がっていた。

 そして亮一はといえば、こちらはカートを押して歩いている。

 まぁ、建前上とはいえ買い物は買い物であるから、護衛達に怪しまれないようにきちんとそちらもこなしていたわけである。

 ちなみに、カートの中に入っている品物は、今晩の食材で、いずれもすべて会計済み。

 傍目から見ても、あとは帰るだけ、といった感じだ。


「そうか。なら、今日はもう引き上げるか?」

「そうね……そうしましょうか。見たいものは(・・・・・・)見たし(・・・)、足りないものはスーパーかコンビニに行って買えば済みそうだからね」


 さりげなく、そこに玲子は玲子なりに情報を得ることができた、という暗喩が含まれていることに気づいた亮一は、それに頷いて、


「ん、了解。あとで感想(・・)聞かせてくれよ?」

「わかってるわ。見たくなったら(・・・・・・・)貸してあげる(・・・・・・)。けど、それはリョウも一緒(・・)だからね?」

「おう、その時(・・)は遠慮なく言ってくれ」


 と玲子のそれに同調して、それとない会話の中に、本来言いたいことを含めて玲子に伝えた。

 護衛の目線から見ればそれは、書店で購入した文庫本の見せ合いっこを約束したのだ、としか思えなかったことだろう。


 かくして、二人の初めての極秘調査任務(おつかい)(?)は、こうして幕を閉じたのであった。



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