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霊色の兄妹   作者: 樹木
色と霊と性欲と
4/9

兄と妹の健全夜行為 1-④

ゼロワン面白いです。観てたら遅くなりました。

「…っということが学校でありまして、クラス皆が私達の関係の進歩を楽しみにしているんです。ですから関係を進めるためにも今日ご飯食べ終えてからヤリましょう。」

「今日の未夕の話を聞いてちょっと疑問や色々と言いたいことがあったけど今日はヤらないからね。あと少し退いてほしいな。」

「退きませんよ。安心して下さい兄さん今日の私危険日なので中で出しても大丈夫ですよ。それに兄さんへのデザートは兄さんの欲望を具現化した紺ブルマミニ体操着黒ニーソの準備はできてます!これで何時でもいいですよ!」

「準備万端なところ申し訳無いけど僕の精子は今休養中ですぐには出動できないんだ。」

「兄さんの飾り性器の希少精子!」

「あんまりいじめないでよ。こう見えても少しは男性である事に誇りはあるんだよ。あと本当に退いて欲しいな。」

「ヤってくれるなら終わった後退きます。」

 仰向けになっている僕の股間の上にマウントをとっている未夕から学校であった出来事を話されていた。どうしてこうなったのか…。遡ること数分前、僕は夕方前になる頃日差しが大嫌いなためカーテンを閉めていた。一般的にはカーテンをするには早い時間だが、僕にとってはカーテン越しから漏れる西日だけで部屋を照らす明かりは十分だった。本来なら今日は未夕が来る予定は無かったためこのままゆっくり何もしないで時間を貪り食べ過ぎていくことを楽しもうとしていた。だが、そんな希望はすぐに終わりを告げることになる。急に玄関から施錠を開けられる音が聞こえるとすぐにリビングへ向かって廊下をドカドカと急ぎ足で足音を立てながら勢い良く入ってきたのは妹の未夕だった。突然の訪問に驚いている暇も無く未夕は座っている僕を見つけると一気に距離を詰めて胸に抱きつくようにタックルしてきた。急に未夕の頭が腹に直撃し体内にある少ない酸素を吐き出してしまった。痛みと失った酸素を補給するため咳き込みながら体を前のめりになったのが仇となり、未夕は前のめりになった隙を見逃さず小さい体を生かし両手を広げ腰を抱きかかえるようにホールドされてきた。そしてホールドされたまま未夕は力を前に押し、不意打ちな攻撃に僕は抵抗できず無様にも妹から仰向けで押し倒されてしまった。っとここまでが数分前の出来事で幾度か退いてくれないか交渉するも「ヤルまで退かない。」の一点張りで大変困っている。

 それに押し倒された時に受け身をとれず床に頭を打ってしまい視界が眩む中で起きたことを把握しようと辛う時で頭だけは働かせている。一旦僕の現状を整理しよう。今僕は仰向けで股間の上に未夕が座り僕の腹部に手を置いて少し前のめりでマウントをとられている。股間の上に未夕がいるため足に力は入らず、もともと筋力で勝てないのに腕の筋肉だけでは未夕を退かす事はできない状態になっている。非常にマズい状態に僕は嫌な予感と未夕から感じる謎の圧が強い中いち早く対処方法を考えていると余裕のある未夕から言葉が発せられた。

「妹に押し倒されるなんて情けなく無いんですか?」

「僕の身体なら負けるのはしょうが無いよ。こんな不健康な代表格みたいな身体だからね。」

「このまま兄さんを…とりあえず襲います。」

「ちょっと落ち着こう、さっきも言ったけど僕の精子はもう今日の分の生産は終わってて未夕を満足せるほど出せる量が無いんだ。また後日相談しよう。」

「精子が出ない分私を喜ばせて下さい!そうしたら私も退きますので!…本当に勃ってないし少し擦りつけたら元気になって残業してイケるかな?」

「それはもう後戻りできなくなるから止めよう。わかった未夕を喜ばせてあげるからそんな人生設計を壊すような脅しは止めよう。」

 引くどころか状況を最悪な方へ悪化させようとする未夕に非情に困るが、僕は何とか対抗するために知恵を絞る。未夕からの誘いを受けてイチャラブセックスに陥るのは僕としては最終的には願ったり叶ったりで嬉しい限りだが今はまだそんな時期ではない。今は未夕の性欲を抑えつつこの態勢から逃れないといけないため何か手を打たざるを得ない。それもそんなに時間は無いだろう、未夕がクイズの制限時間が迫ってくるように少しずつ腰を動かそうとしている。このままでは僕の理性も危ない…せっかく未夕との将来設計しているのに全てが水の泡になってしまう。退いてと頼んでも意味は無いだろうしそんなんで解決できる程簡単じゃ無い、声を荒げて怒りを見せれば話しは別だがそんなことをしたら未夕は絶対に泣くだろう。もし泣いてしまう事態になったら僕は自分を許さないし死んで償う。一か八かで腕で払いのけるか?いやこんな必要最低限の筋肉しかない手では勝てないだろうし失敗したら未夕の性欲に油と精子を注ぐことになる。そうなるともう八方塞がりか、だが諦めるにはいかない。何かこの押し倒せれている状態から出来ることはないのか…ん?イヤ待てよ。押し倒されているという事はつまり僕は今見方を変えれば寝ている状態で、未夕もその上に乗って前のめりになっている。だったら手は一つある、しかも効果は昔から未夕には有効な手で最近していなかったから成功する可能性は高い。もうこれに賭けるしか無い。もしダメだったらもう諦めて近親相姦を目一杯楽しもう、それで孕ませるまで精子を緊急招集させるか。

「未夕頭をもう少し僕の方に持ってきて。」

「胸辺りでいいですか?では失礼します。」

「はーいポフッ。」

「にゃっふ!?そ、そ、添い寝!しかも頭まで撫でて貰えるなんて…。にゅふぅ…お兄ちゃんのなでなで…きもちいぃ…。」

「今日がんばったからねご褒美にいいかなって。未夕頭撫でられるの昔から好きだったでしょう?」

「にゅぅふぅ…安心できてすきですぅ…。」

「よし、貞操は守れた。」

 未夕は僕の手招きで頭を胸のところまで落として貰って動かせる両手で頭を抱き寄せそのまま頭を撫でた。僕の答えは押し倒されているのなら未夕も押し倒してそのまま添い寝の状態に持っていくことだ。そうすれば妹から押し倒されている兄の構図から兄妹仲良く添い寝している構図に変わって貞操もモラルも守ら健全になる。胸の上で猫のように懐いる未夕を見てどうにか最悪な事態を回避できた事に安心感を覚えていた。そのおかげで僕にも少し余裕が生まれ撫でている頭から感じる裊できめ細かい奇麗な黒髪の感触を楽しんだ。未夕は相変わらず頭を撫でている間変な鳴き声と胸板に頬ずりをしていたから僕は頭を撫でながら未夕の髪の匂いを堪能した。女性特有というのかフンワリと甘い匂いと未夕の優しい匂いが混ざり合ったいつまでも嗅いでいたい最高の匂いだった。

「にーさん勝手に髪の匂いを嗅ぐのはNGですよ。」

「ごめんね。でも未夕がこんなに近くにいるんだからつい嗅いじゃうよ。」

「むぅ…ちょっと恥ずかしいけどお兄ちゃんにならいいかな…。」

「ありがとう。いい匂いだったしいつまでも嗅いでいたいよ。」

「プロポーズとして受け取っておきます。」

「その内ちゃんとしたのするから今はそれでいいかな。」

「じゃあその時を楽しみにしてるね!」

「うん、楽しみにしてて。」

 僕が髪の匂いを堪能していたのがバレたみたいで恥ずかしそうにしていたが僕ならいいと承諾を得た。その後の発言を飛躍的に解釈をされた気がするがいずれするつもりだったし問題は無いだろう。仰向けでいるのに苦しくなった僕は未夕の頭を撫でながら側臥位になり、一度撫でるのを止めると未夕がお預けをされた犬のように見ていたので僕は未夕の頭を胸に抱き寄せ力強く抱きしめた。未夕は抵抗することも恥ずかしがる事も無く未夕の方も背中に手を伸ばし抱き締め返してくれて僕の事を受け入れてくれた。未夕の体温を感じ低体温な僕には未夕の温もりはゆっくり体を温めくれるようで気持ちよかった。未夕も同じなのか僕の胸板にに顔を渦くめ身体全体で僕を暖めてくれるようにゼロ距離以上に抱き締めてくれた。僕は未夕の体温とフェロモンというのか甘い匂いに安らぎを覚え、アルコールが入ったように頭がフワフワしていてつい聞かなくてもいいことを聞いてしまった。

「未夕、家はどうだ?あいつみたいに何かされていない?」

「うん、『新しいお義母さん』のおかげでバランス取れてるよ。それに最近父さんも食事にくるようになったし…いいと思うよ。」

「そうかそれならいいんだ。ごめんね未夕には迷惑をかけ続けて…。」

「ねえそんなつまんないことはいい!それより兄さんに教えて欲しい事があるの。」

「ん?何だい?」

「今の私の色を教えて。今日学校でイジメや友人交流が一気にあっても私の心がどう変わった見てほしいの。」

「……わかったけどあんまり気がす進まないんだからね。そういうのは相手の表情や仕草でわかれば一番良いと思うし本来はそうすべきだ。だけど妹の頼みなら仕方ないか、その代わり今度何か奢ってね。」

「その時はとびきりのものを用意します。」

「ははは、それじゃあ確認するよ。」

 僕は一度深呼吸し未夕の心の色と周りの色を確認した。本当は急に部屋にきたときにまた何かあったのかと確認しようとしたが、いきなりのタックルから押し倒されたり、マウントから貞操を守るのに色を確認する暇が無かった。だから今互いに落ち着いている状態なら色も見やすいだろうし、何より心を開いてくれているため心の色が中まで詳細に見えてくる。未夕の反応や言葉を聞く限りでは悪い色では無いと思うが、過保護なのか僕は『万が一』が怖く不安があった。自分を落ち着かせる意味も込めて未夕の頭を撫で、僕は意を決して未夕の左胸に写っている心の色を見ることのした。そして見えてきた物は、薄ら雲が流れている空に夕暮れが雲の隙間を強く差し込み、夕日によって雲を減らしていた。更に詳しく見るため空の方を見上げると、何も無い綺麗オレンジ色の夕日を眺める事ができた。美しい、自然界の美しさがそのまま心に写し出され魅せてくれる。このまま未夕の夕日を見ていたいが、未夕からの視線で我に返り色が気になるといっていたのだから教えないといけない。ついでに心の色だけでなく周りの色も見てみると、心の色と同じオレンジ色だった。だけどその色は心の色が漏れ出して染め上げているように見えた。今日はイジメの仕返しに友達追加等学校でいいことがあって本人は気付いてないだろうが相当嬉しかったのだろう。だから心の色が溢れ出し周りの色を染めてきている…っというのもあくまで僕の仮説でしかないが今の未夕を見ても完全に気が抜けて今日の出来事の喜びに浸って完全に無防備な状態でいる。僕は未夕の体から溢れ出る色が気になったのと、無防備のままでいるのは危ないためまだ気を付けていた方が良い事を簡体に伝える事にした。

「未夕の体から溢れ出る色は心の色とおなじで柔いオレンジ色だったよ。」

「そうでしたか…。今日はいいことがいっぱいでしたから…。こうやって兄さんと添い寝も出来てますし…。」

「今は鑑賞に浸って安心しているみたいだけど長くそのままなら緊急時にすぐ追撃できないよ。まだ余韻に浸ってても良いけど万が一っていう事もあるかもしれない。それに仕返しをしたなら後始末があると思うからそこら辺忘れないようにね。」

「わかりました胸に刻んでおきます。…でも今日はもう少し兄さんに抱きついていてもいいですか?あの…きょうは…未夕がんばったので…。」

「もちろんいいよ。満足するまでいていいからね。それに喜ばせるって約束だったからね。」

 未夕は再び側臥位になっている僕の胸板に抱きついてきた。僕も拒否るす事無く未夕のやりたいように身を任せた。久しぶりに添い寝をすると一人で寝ると味わえない安心感と安らぎを感じ眠気が襲ってきた。いつもなら眠気など来ないことが多いし、来たとしてもそれは夢への招待状で精神的に休まる事は無い。未夕も同じようでご飯もお風呂にも入っていないけれど襲いかかってきた眠気には抗えず、僕達は互いに顔を会わせ眠りそうなことを確認すると一緒にいる安心感と幸福で二人中良く抱き締めながら寝てしまった。


 

 誰も入れる余地のない兄妹の関係がどうなっていくのか、未夕の霊感については他の霊感がある人と比べ強く霊とのコミュニケーションを図れる以外に特殊な物があるわけでは無さそうだ。透の「色の目」については本人もこの力を調べながら使用しているようで乱発はしていない。そのせいでこっちは中々情報を仕入れづらいし警戒心が強く厄介だ。この不可解な二人はこれから起こる事にどう対処し、何を見せてくれるのか楽しみでしょうが無い。あの兄妹の力で私の望むモノを壊せるかもしれないと期待を抱いて私は次の用事のため桜庭兄妹のアパートを後にした。本当に頼むよ、チュートリアルのような使いやすい雑魚を準備したんだから見せて頂戴ね君たちの能力を…。不穏な事を思い浮かべながら彼女は次の客人がいる場所へと消えていった…。



 やってしまった。あまりにも未夕との添い寝が気持ちよすぎて結局その日は気がついたら22時を過ぎていた。隣には今だ眠っている未夕は起きる気配も無いし、起きたとしても寝惚けてこんな夜中に一人で夜道を歩かせるのは危険極まりない。それなら今更帰るのでは無く部屋に泊まった方がまだ安全だ。明日も学校はあるが未夕は制服で来ているし、未夕の替えのYシャツや私服下着と一通り揃っている。だから学校の心配は一切ないのだが未夕は僕と違って実家暮らしをしているため家の人達が心配するだろう。恐らく未夕は家の人に連絡をいれ無いでここに来ている。夜も遅いし泊まることを連絡しないと心配だろう、かわいい娘だから尚更心配するだろうな…。そんな人達に今から連絡を入れると考えると憂鬱だが連絡無しの朝帰りの方が問題になるため僕は嫌々自分の携帯で連絡をしようとした時に未夕の携帯の着信音が鳴り響いた。隣で寝ている未夕を起こして伝えようと体を揺すってみたが起きる素振りか背を向けられてしまった。尚も鳴り続ける着信音に僕は携帯のディスプレイで誰からか確認したら連絡しようとしていた家の人からだった。わざわざ自分の携帯からかけ直すのも面倒だったので僕は未夕の携帯を取りそのまま電話に出た。

『未夕ちゃん大丈夫?夜ご飯いらないって言ってたけどまだ帰ってこないから電話したの。』

「あー…もしもし透です…。」

『透さん?!え?私間違えちゃったかしら…。ごめんなさいてっきり未夕ちゃんに掛けたつもりで…。』

「大丈夫ですよ間違ってないので…。あの…すいません今日偶然帰り道で未夕と会って久しぶりだったので部屋で話していたらそのまま未夕が寝てしまって…。連絡が遅れて申し訳ないです…。」

『そうだったんですね。透さん元気だった?会いに行けなくてごめんなさい…それに未夕ちゃんまで見て貰って…。』

「全然平気なので心配しないで下さい。それより父にはこの事秘密にして貰えますか?多分バレたら未夕が怒られるので。それにこの件は僕に過失があるのでもし何か言われたら僕のせいにして下さい。その方が話も早いし平穏に終わります。」

『……わかりました。今日は未夕ちゃん友達の家にお泊まりということにします。でも透さんそんなに責任を感じないでね。未夕ちゃんも本当は透さんと一緒にいたいと思ってる筈です。』

「ありがとうございます。お気持ちだけでも嬉しいです。こちらこそ未夕がいつもお世話になってます『お義母さん』。」

『いいえ、未夕ちゃんしっかり者だから大丈夫ですよ。今日の件は私が上手くいっておきます。…透さん、こんな私をお義母さんって言ってくれてありがとう。』

「……とりあえず未夕は責任をもって見守ります。それでは…失礼します。」

 僕は返事を聞くこと無く通話を一方的に切った。家族は苦手だ今だに慣れない。ぎこちない会話で周りからはきっと変な家族だと思われるだろうけど、僕の家族構成は少し複雑だししょうが無いといつも言い訳している。さっきの会話で分かるとおり僕達兄妹は母親とだけ血の繋がりは無い。僕と未夕はちゃんと血は繋がっているし父親とも一応血は繋がっている。お義母さんと子連れの父は再婚し今の家族関係が出来上がり、その関係に溶け込めずにいたため僕は高校から一人暮らしを始めた。溶け込めなかったのは当然だ。だって僕は父親から恨まれているんだから。恨まれて当然の事をしたし、あれは自業自得だったと解っているが後悔は微塵も無い。あるのは…何だろう…罪悪感も無いし抱いてる感情がないから正直どーでもいいし思い出したくもない。僕がそんな態度だったから父親は僕を嫌ってるんだろう。っと感傷に浸っていると寝ていた未夕が小さい体を伸ばし起きてきた。

「寝過ぎたね未夕。もう22時過ぎだよ。」

「ふふぇ…?22時過ぎ?22時?え!?22時!?どうしよ家に連絡してないし怒られる!」

「ああ、家には連絡した…というか未夕の携帯に着信があったから僕が勝手に出て今日は泊まるって伝えといたよ。」

「え…?泊まれるのは嬉しいけど…家の人と話したの…?」

「うん。お義母さんだったから上手く誤魔化してくれるって。ちゃんとお礼言うんだよ。」

「それはわかってますけど…、あの、ごめんなさい兄さん…。」

「気にしすぎだよ。そんな落ち込まないで今回は僕も悪いんだからお互い様だよ。」

「…お兄ちゃんがそう言うなら。でも謝らせて!私…お兄ちゃんに嫌なこと押しつけておいて寝てたんだもん…。お兄ちゃんごめんなさい…ごめんなさい。」

「…わかった。でももう謝んないでね、もし謝ったら怒るから。」

「…ありがとうお兄ちゃん。」

 未夕は勿論僕と家の人との関係を知っているため余計自分を責めてしまう。そんなに気にする事も無いのに未夕は自分のせいだと背負い込もうとするから僕は一度謝罪を聞いたらもう謝らせないようにしている。そうでもしないと未夕は結構引きずってしまい数日は泣きそうな顔をされる。僕にとってそれ以上の苦痛はないため未夕を宥めている。

「もう遅いし先にシャワー浴びてきなよ。僕は明日朝ゆっくりだから。」

「うん、それじゃあお言葉に甘えるね。」

「覗かないから安心してね。」

「何も言ってないですよ!なんですか折角欲望出さないようにしてたのに!兄さんのエッチ!変態!シスコン!」

「ごめんごめん。でも未夕はそっちの方がいいよ。僕は茶化しながらも気遣ってくれる未夕が好きなんだから。」

「っもう!シャワー浴びてきます!…急にそんな事言わないでよ…心の準備が出来ないよ…。」

 落ち込んで汐らしくなっている顔から顔を真っ赤に変えてシャワーを浴びに行った未夕を見守ると僕は寝床の準備に入った。やることは前と同じだが今回は仕切りは必要無いだろう。さすがの未夕でも今回ばかりは空気を読んで大人しくしてくれる筈だろう…多分…そう願いたい。押し入れから布団を2組出して並べて敷くとやることも無い僕は未夕が上がってくるまで横になって待った。それから20分ほどしてから未夕が上がってきて僕もシャワーを軽く浴びてから薬を飲んで寝床についた。今日は色々とあって疲れと薬のせいか長い昼寝をしたはずなのにすぐに眠気が襲ってきた。僕はその眠気に逆らわず身をゆだねて休むことにそのまま意識を失った。そして仕切りを作らなかった事を僕は朝になってから後悔することになった。



「どーしてかなー?なんで昨日の今日で欲望丸出しになってるのかなー?」

「ぬフフ…兄さんの…大っきぃ…。」

「一体どんな夢見ているんだ。ックソもう一回左胸揉んでやる。」

 朝起きると仕切りが無いのを良いことに未夕は夜中の内に僕の布団に入り込みグッスリと眠っていた。幸いにも僕のズボンを脱がした形跡は無く美由も下着姿ではなくしっかり寝間着を着ていた。考えられるとしたら添い寝の延長戦上という感覚で迫ったのだろう。まあ添い寝だけならいいが、それ以上となってしまうと色々と困ってしまう。色々と聞きたいことがあったが、とりあえず掛け布団にくるまりグースカ寝てる未夕を起こすため、僕は布団を掛け布団に手を掛け仰向けになるように引っぱった。

「ふぃぐぅ…!うぅ…眠い…。」

「おはよう未夕。朝から悪いけど何で僕の布団にいたのかな?」

「兄さんの匂いに釣られて…気がついたら兄さんの布団にいました。」

「その時の記憶は?」

「鮮鋭に覚えてます。兄さんの匂いを嗅いで堪能してました。」

「それ以上はしてないんだね。」

「…はい。してません。」

「ちょっと待てなんで今言い淀んだ。何をした?今のがウソくらいこの目を使わなくてもわかるからね。それにこの目があるからウソは通用しないのは知ってるよね。」

「……バッチリ兄さんの息子の匂いを嗅ぎました。」

「はぁ…。早く学校の準備しなさい・」

「はい…。」

 美夕は悪戯がばれて怒られた子供のように肩を落としながら僕の目の前で制服に着替え始めた・本当なら目の前で着替えていることに怒らないといけないが、僕は美夕の着替え姿を見たかったし胸の成長も気になっていたので何も言わずジッと見つめた。さっき左胸を揉んだ時に前より少し柔らかくなっている気がした。単に美夕自身が太ったのか胸だけが成長したのかこれは大事な問題だ。胸だけが成長したなら嬉しいことで何も」問題ないが、もし美夕自身が太っていたのなら伝えてあげるのがいいだろう。何も知らないで同じことを繰り返し気づいたときにはもう後戻り出来ない状態になってしまったのでは後悔してもしきれない。だから僕は落ち込んでいるところに追い打ちをかけるようで気が引けるが心を鬼にして成るべくオブラートに包んで美夕に問い詰めた。

「美夕さっき左胸を揉んだ時に少し柔らかくなっていたけどもしかして少し太ったの?」

「はああああ!太った!?女の子のレッドゾーンに何軽々しく土足で踏み込んだあげく荒してるの!太ってません!太るわけないじゃないですか!何ですか仕返しですか!とにかく私は太ってません!太ってないもん!」

「ごめん、まさかそこまで気にしてるとは思っていなくて…。本当にごめんね…。」

「だから!そんなしみじみ誤らないで下さい!それじゃあ本当に太ったみたいじゃないですか!太ってませんよ!体重はしっかりキープできてるんですから!もう!やっぱり仕返しですよね!兄さんのおバカ!」

 何やらブツブツと文句を言っているみたいだけどこれ以上掘り下げるのも可哀想だからとりあえず太ってはいないということにしておこう。それにあんなに慌てる美夕も見れたし朝這いしていたことは不問にしてあげよう。朝から騒がしくなってしまったが美夕はずっと太ってない太ってないとブツブツ言いながらもちゃんと準備して遅刻することなくちゃんと登校した。僕も食器の片づけを終わしてから大学へ行けるだけの余裕を持てたため食器洗いをしながら考え事をした。何はともあれ今のところは平和に美夕といられているからいいが、昨日の今日で美夕に新しい問題が出てくるとは思わないが僕はどうも腑に落ちないことがあったため今日の大学の終わりにでもその事について調べておこう。念のための準備はあの人のおかげで終えているし後は何事も起きず僕の勘違いで終わってくれることを願うばかりだった。食器洗いを終わらせると僕も大学への準備をしちゃんと鍵をかけ、鍵がかかったのを確認してからアパートを後にした。



「全く兄さんはデリカシーというのがありません。普通妹でも女の子に太ったなんて聞きますか。」

「それはお兄さんが悪かったね。女性に体重や数字を聞くのは万死に値するからね。あたしだったら殴ってたね。」

「坂本さんの言う通りです。兄さんにはそこら辺をもっと学んでもらわないとダメです。」

「井上ね、ほんとそろそろ覚えてよ。あたし泣くよ?泣きながら美夕に縋りつくよ?」

「そうなったらそのまま河辺まで運んで着用水泳を楽しませてあげます。」

「ひどっ!もうちょっと優しくしてよ!」

 兄さんのアパートから出てすぐのところでクラスメイトの坂下(?)さんと鉢合わせしてしまい流れで一緒に登校することになった。最初は知らない人に話しかけられたから逃げようとしたが向こうからクラスメイトと教えてくれたのでとりあえず害はないと思い一緒に登校するのを許した。なぜか向こうは私がいつもと違う通学路で来ているのを知っていたみたいで、昨日教室でブラコン宣言した私は隠す必要もないと思い兄さんの所からの朝帰りだということを告げ、今朝の太った事件の愚痴をこぼしていた。同性だからか私が体重のことで怒っているのにも納得しているみたいで学校につくまでお互い体重の話や男のデリカシーの無さについて語り合った。やはり同性で話せる人間がいると兄さんとはできない会話ができストレス発散や男性がどういう仕草でときめくかなど兄さん篭絡に役立てる情報を貰えるため少数でも作っておいた方がいいと感じた。いらなくなったり邪魔になったら棄てればいいだけだしそんなにデメリットは無い。だから私は昨日のことを利用してクラスでも喋れる同性の人間との交流を試みようと登校中隣の人間の話に適当に相槌しながら心の中で決心した。

「おはよー。」

「ああ、おはよう井上…と桜庭さんもおはよう。珍しいね二人で登校なんて大抵井上が空回りしてスルーされるのに。」

「皆さんおはようございます。兄さんのところから朝帰りしてたら偶然会ったのでその流れできました。」

「早速ブラコンが出てる。何だろう普通ならツッコミをいれるとこだろうけど桜庭さんの真面目な表情のせいで上手くツッコめない。」

「大丈夫です。私も兄さんから突っ込んでもらえず匂いを堪能するだけで終わってしまったので…。」

「あー…美夕まだ朝だからそんなに生々しいものはちょっとアウトかな。ほらもれなく教室がまた固まった。」

「うん、さすが桜庭さんだねって感じ。昨日で分かっただけだけど…これはもうこっちが慣れるしかないね。」

「うーん…私にはどうして皆さんがそんなに固まってしまうのかわかりませんが…。兄を好きになるなんて妹として当たり前じゃないですか。古代から続く男女の仲ですよ。」

「ははは美夕は今日も絶好調だねー。」

 朝の様々な話題でうるさかった教室は何故か私の言葉で静まり返り昨日と同じようになってしまった。ここにいる人達は一体妹を何だと思っているんだろうか、兄を好きにならない妹なんてありえないしそんなものは妹ではなくただのメス穴肉便器だ。私がそんな風に思っていると教室にどこかで見たことある様なガタイが良く顔が整った先輩がお辞儀しながら入ってきた。後輩の教室なのにしっかりお辞儀し先輩面せずズケズケと入ってこないところをみると礼儀作法はしっかりして清潔感があると思う。妹じゃないメスならこういういかにもなイケメンが好きなんだろう、その先輩が入ってくると教室の女子は髪を整えたり服装を気遣ったり黄色い声を上げていた。そのイケメンは誰かを探しているようで教室全体を見渡していると、探し人を見つけたようで私と目が合うとこちらに歩を進めてきた。

「桜庭さん少し時間いいかな?昨日のことで少し話があって。」

「大丈夫ですよ。昨日のことなら少し場所を変えた方がいいですよね。…あまり聞かれたくないので。」

「うん、それじゃあ中庭でいいかな。あそこなら朝は人も少ないし聞かれる心配もないと思う。」

「わかりました。あまり時間もないので少し急ぎましょうか。」

 あー、思い出したこの人私に告白してきてフッた人だ。男性なんて兄さん以外に興味がなかったから忘れていた。その先輩と一緒に教室を出ると一気にざわつき私と先輩の話題で盛り上がっているようだ。静まり返ったり盛り上がったり忙しい人達だと思いながら先輩とは会話がないまま中庭まで訪れた。中庭は先輩が言っていた通り人も少なくまばらに人影が見える程度だった。確かにここなら教室から遠くもなく昨日の件みたいな話しをしても周りに聞かれる心配もないし秘密話をするにはちょうど良い場所だ。私と先輩は中庭に設置されているベンチに腰を掛けると先輩は私の顔色を窺うように見ては少し気まずそうにしていた。フラれた後輩と一緒にいるのだから気まずくなるのは当然か、私は全く興味もないし気にしないが先輩はそういう訳にはいかずベンチに腰かけてからなかなか先輩から話を切り出してこなかった。こうなることぐらい予想はついていたと思うが本番になったら尻込みするタイプなのか私はそんな先輩に苛立ちを覚えはじめこのまま話す様子がなければ帰ろうと思った矢先、ようやく先輩は口を開き話し始めた。苛立ち始めた時に話すとかタイミング悪いし今まで時間の無駄だったから早く言ってほしかった。

「桜庭さん昨日のことなんだけど…噂になってて人から聞いた話なんだけど、あんなことをした原因は俺にあるみたいで…。それを今日桜庭さんに謝りたかったんだ。ごめん…。」

「先輩のせいではないので気にしないでください。きっと私の方にも原因はあったと思いますし…。彼女たちも反省してるのか今日は何もしてきてないので平気ですよ。」

「桜庭さんは悪くないよ!俺が人目も気にしないで告白して自爆したのがそもそもの原因だから…。」

「だとしてもそれ以降は何もなかったのにどんどんエスカレートしていったのは先輩じゃなく私の責任ですから…。」

「桜庭さん…、こんなこと言える立場じゃないのはわかっているけど何かあったら言ってほしい!桜庭さんの力になりたいから…。」

「ありがとうございます。そう言っていただけるだけで嬉しいです。でも今のところは本当に何もされていないので大丈夫です。それに私には兄さんもいるのであれぐらいへっちゃらですよ。」

「そっか…お兄さんいるんだったよね…。あのデパートで会ったのがお兄さんだよね?」

「はい、人込みに酔って気分を悪くして死にそうな顔をしていたのが兄さんです。ちなみにあのデパートに行った時にこのヘアピンを買ってくれたんです。」

「その星のヘアピンってお兄さんからのプレゼントだったんだ。」

「一生の宝物です!」

 私は買って貰ってから今もつけている星のヘアピンを先輩に見せると先輩は少し浮かない顔をしていたが気にせず笑顔でヘアピンを見せつけ、憂さ晴らしを込めた小さい仕返しのつもりでやった。私は少し顔を下に向け先輩から表情を見られないようにした。そして一気に苛立ちがあふれてきた。さっきから先輩の話を聞いているとイライラしてしょうがなかった。自分のせいだ何だとこいつは一体どれだけ自分に自信がある感じがいナルシスト野郎なんだ。自分がフラれたからファンの子が暴動を起こしましたって言いたいのか?それで自分に非があるから謝りたいと、とんだアイドル様だ。馬鹿かこいつは、こいつが誤ったからといってあいつらが辞めるのであれば初めからそうすればいいのにそれをせず大事になってからこうして謝罪に来るなんてなんの意味もないし自分が罪の意識から逃げたいだけの卑怯者だ。兄さんだったら異変があった時点で対策を考えて大事になる前に食い止めてくれるだろう。そもそも大事になった時点で手遅れなのにこいつはそれに気づいている様子はないし、何かあったら力になるなんてほざいてる。何かあったら?それはもうこいつの手には負えないほど状況は悪化し何をしても手遅れのことなのにそんなことを言っている。正直もう関わってほしくない。それが一番の解決策なのに未練がましいのかこいつはその方法を取ってこない。そうなるとこっちから一方的に拒否したらまた面倒な奴らが湧いて出てきそうなため、こっちからは強気に出れない。もう本当に面倒臭い、これだから顔がいいだけで何にも考えられないバカの相手はしたくない。顔を下に向けていたせいか先輩は黙っていてくれてこれ以上苛立ちがでることは無く、先輩も沈黙が心苦しいのか横目で私を見るとベンチから立ち上がった。

「そろそろHRが始まるから教室に戻らないとね。付き合せてごめんね。」

「いえ…先輩のお気持ちは嬉しかったので大丈夫ですよ。」

「それならよかった。じゃあ俺は戻るね。そのヘアピン可愛くて似合ってるよ。」

「ありがとうございます。私も教室に戻りますね。それでは失礼します。」

 先輩が戻るのを見てから私もベンチから立ち上がり教室へ向かって歩き始めた。心に苛立ちを残しながら中庭を出て廊下を見渡すとHRも近いため誰もいない。念を入れもう一度廊下を見渡すも生徒の姿はなかったため私は教室に戻る前にこの苛立ちを吐き出そうと思った。

「ッチ、っはぁ~…気持ち悪。何がヘアピン似合ってるだ、兄さんからの大切な贈り物を汚すな。ああ~もうまた面倒くさいことになるじゃん…、そこわかってんのかあの雄猿。わかってないからやってきたんだろうな…、ックソあいつにも霊を憑けるべきだったか。」

 あいつが今私に会いに来た時点で面倒ごとが起きるのは明らかだ。まず、あいつらは私が先輩をフッタことに逆恨みしてきたのに中庭なんて人目がつきにくいところに二人でいるとわかったら何をされるかわかったもんじゃない。それに教室に来るなんて愚策もいいところだ。原因が分からず来たのならまだいい、だがあのバカは自分が原因だってわかっているのにわざわざ火に油を注ぐように教室に入ってきて注目集めて名前指定で呼び出したあげく昨日の件のことで話したいとかご丁寧に説明までしやがった。せっかく昨日片付いたのにそれを掘り返して燃料投下までしやがってあの無能のクソ猿が絶対に許さない。あいつの行動原理はあくまで自分の罪の意識から逃げる卑怯者で臆病者の自分勝手なものだ。そんなのに付き合わされるなんて最悪だ。滅べ。

「うだうだ言ってもしょうがないか…。とりあえず教室に戻んないとな…ああもう絶対質問攻めされるじゃん…さようなら平和な1日…。」

 これから起こることを想像しうなだれながら教室へ戻っていった。そして案の定教室へ戻ると同時に女生徒から先輩と何を話したのか関係はどうなのか、兄さんとは三角関係になるのか等いろいろな質問がとんできたのは言うまでもない…。その日は先輩との関係を話題にされてしまい、図らず2日連続で話題の中心人物となってしまい昨日とは違う疲れがその日一日中襲ってきた。



 私もまだまだ甘くてバカだった。兄さんがちゃんと警告してくれたのに何もわかっていなかった。この日のせいで相手を本気にさせてしまって行動を起こさせるやり方とキッカケを与えてしまった。ちゃんと兄さんの警告を理解できていれば防げたのに…兄さんは私が思っている以上に私のことを理解してて心配してくれていたことを近いうちに後悔と一緒に味わうことになった。


A jump to the sky turns to a rider kick.

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