その6 おっさん会議再び
そんな感じで洋服を色々見て、バッグや小物も色々見て。
更にペットショップの奥、触れ合い動物園で兎やハムスター、犬をモフって。
目一杯楽しむと4時間なんてあっという間だ。
引率者はそれぞれアイテムボックス持ちだから荷物は目立たない。
でも皆さんしっかり色々お買い物を楽しんだようだ。
「この世界では夜でも明るいのですね」
外に出て改めて気づいたという感じで皇太子が言う。
「誰でもが照明魔法を使える道具を持っている、そんな感じですね」
「街が星の様にあちこち光って見える」
天気がいいので夜景がよく見えるらしい。
私は運転しているので見ることが出来ないけれど。
1時間程で無事ペンションに到着。
いつものように美味しい夕食をいただいて、その後は皆さん戦利品を確認だ。
私と王様はまたもや部屋を追い出されラウンジにあるカウンターへ。
オーナーお勧めの酒を楽しみながらおっさん2人で談話中。
「敵の空間魔道士があそこまで高度な魔法を使えるとは思わなかった。対策は出来ると思うが不安は残るな」
確かにそうだろう。
あの世界の最大戦力は魔道士だ。
移動魔法を使える魔道士と強力な攻撃魔法を使える魔道士がいたら通常の兵隊が何部隊いようが相手にならない。
今回はたまたま防げただけだ。
「しかし今回のおかげであの移動魔法に有効な魔法禁止魔法陣は出来るのでしょう。ならしばらくはまた以前と同じ状態が続くと思いますが」
国王はため息をつく。
「やはりヒロフミの魔法の知識を借りるわけにはいかないか」
「ええ、危険すぎますから」
そう、私の知識を利用した魔法は危険すぎる。
あの世界の国のひとつふたつを消し去るのも簡単だろう。
何せ魔法で核分裂型原爆も、核融合型水爆も任意の場所に作成出来るのだ。
更に異空間の使い方によってはそれ以上の威力を持った爆発も作成可能だろう。
「もし脅しの為に無人の場所で大爆発を起こせというのなら出来ますけれどね。それこそ衝撃波があの世界を何周もするような爆発も」
地球での最大の核爆発実験で、通称核爆弾の皇帝爆発時、衝撃波が地球を3周した事は既知の事実だ。
その原理は単に巨大なだけの水爆。
魔法でなら少し時間をかければ出来ない事では無い。
「恐ろしい話だな。ただヒロフミの言う事だからきっと事実なのだろう」
「かつてこっちの世界に実在した兵器ですよ。魔法を使えれば再現するのはそれほど難しくはない。
こっちの世界では、かつて敵同士がお互い世界を滅ぼせるだけの兵器を相手に向けて、その脅威の均衡で辛うじて平和が保たれていたという時代があったんです。アトラスティアのある世界はそういう事態にならなければいいなと思っています」
「技術が進みすぎるとそういう事態も起こる訳か」
「ええ」
「そう言えばシェラ達の魔法もそこまでの威力があるのか?」
ふと気づいたように国王は尋ねる。
「確かに私の知識をある程度身につけていますが、そこまでの事は出来ないと思います。今回の異空間同士の戦闘も、おそらく私しか出来ないと思います」
時間停止型のアイテムボックスが私とジーナしか使えないのと同じ。
知識があっても、それを理解してイメージ出来るかは個人の能力にかかっている。
悪いが私は大学時代、天才どもに混じってその辺色々苦労したのだ。
旧帝大の物理学科、別名天才の墓場と呼ばれている場所で。
今回の空間魔法での戦いはその時の経験のおかげだとも言える。
「つまりは捕らえた敵の魔道士の知識を分析して、あとはこつこつ知識を積み重ねるしかないのだな」
「ええ。おそらくは」
「その辺の答を知っているヒロフミにそう言われてしまうと仕方無いな」
「申し訳ありません」
「いや、ヒロフミの判断は正しいと思う。今回助けて貰ったのが奇跡なり恩寵なりだったのだろう。あとはアトラスティアの我々がやらなければならない訳だ」
「そう言っていただけると助かります」
そう言ってちょっと付け加える。
「ただアトラスティアが攻め込まれたりするとシェラが悲しみますからね。もしあの敵の魔法についてわからない事があったら、口頭での解説でよければやりますよ」
国王が微笑する。
「なるほど、それが今回の参戦動機か」
「ええ」




