その6 本日の復習
疲れた。
結局あの後、絶叫系を7箇所巡り、VR系も2箇所行き、その間ちまちまスイーツを食べまくるという苦行をしてしまった。
「疲れたけれど楽しかったですね」
「アミュはまだまだ大丈夫」
こんな感じで2人とも笑顔だったからいいけれどさ。
アラフィフにはちょっと体力的にしんどい。
まあそんな感じで帰りのマイクロバス内。
大人3人はぐったりだが、王子王女の皆さんは元気だ。
「ねえ今日乗ったものでどれが良かった?」
「うーん、私はフ●ヤマかな。景色もいいしいかにも王道という感じで」
「僕はタカ●シャだな」
そんな感じで盛り上がっている。
そんな訳で国王と王妃は帰った後、風呂と夕食の後は早々と休んでしまった。
でも元気な皆さんにはまだまだイベントがある。
「それでは今日撮った写真の確認、スタートです」
キッズルームでジーナがそう宣言。
各引率者が撮った写真は全てジーナのパソコンに転送済み。
そして王子に王女、マリエラがパソコンを操作するジーナの回りを囲んでいる。
「まずこれは国王陛下と王妃殿下が欲しがるでしょうから印刷します」
トーマスの前で私が撮った国王グループ集合写真だ。
「うちのグループは集合写真って無いよね」
「ジェットコースターにのって変顔している写真か、基本的に何か食べている写真だよな」
「それはそれで記念だよね」
「でも他人にはみせられねー!」
「どっちにしろアトラスティアで見せられないでしょう、こんな精巧な絵は」
「魔術でも無理だよな」
そして問題写真も出てくる。
「兄貴、いい大人がこれは無いだろう」
皇太子殿下がトー●スのプラレールで真剣に遊んでいる写真だ。
「いや、こんなサイズで動く玩具というのは珍しくてさ、つい」
そしてその後、トーマ●のプラレールを購入している殿下の姿も。
「いやこれはさ、ワーラ用で」
「僕はトー●スだけでいいと言ったけれど、お兄ちゃんがエドワードもジェームスもパーシーも欲しいって買ったんだよ」
「あとはレールが揃えば良かったけれど無かったんだ」
「それは明日のお買い物で買えるかも」
「そうか、それはいい!」
「お兄様お兄様、本音が出ている」
「しまった!」
そうしている間に、最初に印字をかけた国王グループ集合写真が印字完了する。
「おお、これは凄い。本物そっくりだ」
「宮廷絵師でもこんなに精密には描けませんね」
「肖像画の場合は絵師の前で2時間近く身動き出来ない状態ですしね。これはボタンを押せばすぐ記録されるようですけれど」
うん、皆楽しそうでいいな。
シェラとアミュも一緒に楽しそうにしているし。
「何ならあとで肖像画大会もやる?」
「そうか、ここでもあのスマホで写真というものを撮れるんだ」
「そうよね、私達の写真、変顔ばっかりだし。でも服がちょっと今一つかな」
「首から上だけにすれば大丈夫です」
「そんな事も出来るの!」
確かに王子王女の皆さんは美形ばかりだからそれもいいかもな。
でもやっぱりシェラが一番綺麗で可愛い。
透き通るような肌、栗毛の長い髪、すらっとした綺麗な体型。
そんな事を思いつつ監督を兼ねて皆の後から様子を見ていたのだけれど、私も大分疲れて眠くなってきた。
もう少し起きていないと……
◇◇◇
「お父さん、お父さん」
何だろうと思って目をあける。
暗くなっているけれどここは……キッズルームか。
監督しているついでに寝てしまったんだな。
取り敢えず身を起こす。
電気は非常灯だけになって、いるのはシェラだけだ。
「皆は?」
「十二時を過ぎた時点で皇太子殿下が解散させました。明日も楽しい事がきっといっぱいあるから、皆よく寝ておくようにって」
さすがは最年長、玩具相手には精神年齢が下がるが基本は真っ当だ。
本当はそれは私の仕事だったので大変有り難い。
「何かこちらに来てから毎日なんですけれど、本当にありがとうございました。特に昨日今日はあまり話す事が無かった兄や姉、妹や弟達と色々話す事が出来ました。ほとんど話した事が無いクシャナお母様とも遊園地で話が出来ましたし、本当に嬉しいです。全部お父さん、いやヒロフミさんのおかげです」
「私は単に場を設けただけで、あとはシェラ自身の性格の良さとか頭の良さ、考えた方の良さのおかげだと思うな」
「そんな事はありません。全部ヒロフミさんのおかげなんです。今まではシャープールお兄様以外の方とはどうしてもぎくしゃくしてしまって、定例的なご挨拶を交わす程度しか話せなかったんです。それがさっきみたいな感じで話せるようになったのは、ヒロフミさんが色々考えてくれたからです。本当にありがとうございます。
だからそのお礼に、ちょっとだけ魔法を使わせて下さい」
何だろう。
シェラは顔を近づけてくる。
またあの知識伝達の魔法かな。
シェラの両手が私の肩を掴んで、そして顔が近づいて……
唇に柔らかい感触。えっ!
更に何か吸われるような、そして自分のではない何かを吸っているような。
キス、でも只のキスでは無いぞ、何だ。
シェラは更に私をぎゅっと抱きしめるように身をくっつける。
息が出来ないけれど何故か苦しくない。
でもまずいだろう、これは。
シェラはあくまで私の子供扱いのつもり、でも何故か逆らえない……
どれ位かわからない時間が過ぎた後。
シェラは私から身を離した。
「それでは、おやすみなさい」
そう言ってすっと姿を消す。魔法移動だな。
私は暗いキッズルームに取り残される。
今のは何だったのだろう、本当にあった事なのだろうか。
そんな感じに疑いながら。




