その1 異世界行きを決めました
お昼少し前、シェラは無事家に帰ってきた。
何か考えているようで無口だ。
まあ考えている事は大体想像つくのだが、あえて私からは言わないでおく。
「じゃあ御飯にしよう。テーブルについて」
おにぎりとサンドイッチ、あとおかずを適当にアイテムボックスから出す。
なお今は家なので暖かいスープも付ける。
まあ魔法でお湯を作って粉スープの素を入れるだけだけれども。
「いだだきます」
食べ始めると同時にアミュがおにぎりを指して尋ねる。
「これはどうやって食べるの?」
「これまそのまま手で掴んで食べる。中におかずが入っている。こんな感じで」
試しにひとつ中が見えるところまで食べて、みせてやる。
これはネギトロマヨの方だな。
「私も食べてみる」
「辛い奴もあるから注意してな。食べられなかったらそこへ置いておいてくれ」
作っている途中で気づいたのでワサビ入りは8個中4個に減らしている。
一方でシェラはやっぱり無口だ。
元気が無いようにも見える。
色々な魔法が身について、おそらく元の世界に帰る事も可能になった。
だから帰るべきかどうか悩んでいるのだと思う。
一般人なら自分の好きな世界に居ればいいのだがシェラは王族だ。
それなりに色々義務も義務感もあるのだろう。
本当はシェラが何か言い出すまで待っているのが正しいのかもしれない。
ただシェラが一人で悩んでいるのを見ると何か可哀想に思えてしまう。
だからつい、私は口に出してしまった。
「一度シェラがいた世界にも行ってみるか。どうなっているかを確認しに」
「いいんですか」
反応は早かった。
「ああ、気になるだろ。今のシェラなら向こうへ帰る魔法も使えるだろうしさ」
「でも危険な事態になる可能性もあります」
「それでも行って確かめてみたいんだろ。なら行ってみた方がいい。それにシェラも今なら向こうのどんな魔法使いにも遅れをとる事は無いだろう。私も一緒なら万が一の場合でも何とかなるだろうし」
「本当はアミュをお父さんにお願いして、一人で行くつもりでした」
「何も一人で抱え込むことは無いだろ。その方が私も安心だしさ」
「でもお父さんは何も危険な目に遭う必要は無いんです。これは私が王族だからやらなければならないだけで」
「私は自分がそうしたいと思うからシェラに同行するだけだよ。シェラを危険な目に遭わせるのは嫌だしね。会ってまだ三日目だけれど、それでも“お父さん“のつもりだしさ」
「お姉ちゃん、何処か行っちゃうの?」
アミュのこの一言にシェラがびくっとした。
やはり妹にこう言われるのは辛いらしい。
「危ないかもしれないから、お父さんと一緒に待っていてくれる?」
「アミュ、お姉ちゃんと一緒がいい!」
「ずるいとシェラに言われそうだけれど、多数決なら2対1で決定だな」
確かにずるい言い方だなと自分でも思うけれど。
「だから食べ終わったら皆で向こうへ行く準備をしよう。食べ物とか装備とか、どう動くかの作戦をたてたりしてさ」
「でも出来れば急ぎたいんです。万が一の事態もあるかと思うと」
まあそれもわからい訳じゃ無い。
「じゃあ食べ終わったら着替えて行くとするか。でもまずは状況確認、充分に安全を心がけてやろう」
「わかりました」
「アミュもちょっと色々大変だけれど、いい子でついて来られるかな」
「うん」
そんな訳でシェラ達のいた世界へ行くことが決定した。




