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元自衛官が明治時代に遡行転生!なんか歴史が違うんですけど!?〜皇国陸軍戦記〜  作者: ELS
第3章 明而陸軍士官時代

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第99話.合流

第99話.合流



山の中。

約束の時間、約束の場所で吾妻を待つ。

いや約束の場所を監視できる位置に張り込む、と言った方が正しいが。

獲物を待つハナカマキリのように、ジッと。岩陰に潜み、監視を続ける。


「待ち合わせが丸刈りの大男じゃあな」


暇にあかせて、そうぼそりと呟いたのをウナが耳ざとく聞きつけた。


「ダメなのか?」

「駄目じゃない。駄目じゃあないが、そりゃあ泥臭い男よりは小町娘と待ち合わせの方が楽しいさ」

「そんなもんか?」

「そうさ」と言って続ける。

「華が無いだろう。遠くから鮮やかな芍薬(しゃくやく)のような女性が見えれば、待っていた甲斐があったと心が躍る」


両手でボールのようなジェスチャーをしてみせる。


「それが団子虫頭(ダンゴムシヘッド)ならどうだ。逃げ出したくもなる」

「タカ、言い過ぎ」

「冗談だよ」


吹き出しそうなウナを見て、私も歯を見せずに口角を上げて笑う。吾妻の薄っすら青い丸頭が待ち遠しい。


「それにタカは結婚してるんだろ」

「……待て。何か来た」


シッと言葉を止めて、人影に着目する。ひょこりひょこりと丸い頭が物陰から覗いては消える。辺りを警戒しているのだろう、姿勢は低く周辺を観察しながら合流ポイントを目指している。


「アズマだ」

「ああ、しかし」


その背後を、かなり間隔は開けているがルシヤ兵が追跡している。つまり吾妻は尾行されているという事だ。


「ふん。ルシヤの方が一枚上手(いちまいうわて)だな」

「でもタカはそのもう一枚上だ」


雪兎のボルトハンドルを前後させ、薬室に弾丸を送り込んだ。殺意の塊が冷たい筒の中に閉じ込められる。「いつでも殺せる」という冷たい声が、この黒鋼の長銃から聞こえた。


ここから確認できるルシヤ兵は五名。

ウナを少し離れた位置に移動させて、敵の人数を確認する。視点を変えてみても敵は五名。悠長にしていると、吾妻も我々も危険に晒される可能性が高くなる。

伏射の姿勢を取り、照準器を覗き込んだ。


雪兎の銃口から真っ直ぐに、蜘蛛の糸が敵兵を貫くのが見えた。例の線だ、弾道予知の霊線。

それが敵兵二人を一直線に重ねた瞬間、引き金を引いた。


ドンッと言う轟音と共に雪兎が火を噴いた。

いつものように、肩に食い込む反動。銃口を飛び出した殺意の塊は、一人の頭をスイカのように割り、後ろにいたもう一人の太腿を吹き飛ばす。

「二人やった」ウナからの合図を受けつつ、次弾を装填する。


後三人。


再び目を向けると、混乱しているのか銃を構えて固まっているのが一人。照準を合わせてもう一度引き金を引く。今度は肩口に着弾して、血飛沫を吹き上げながら後ろに倒れた。

雪兎ほどの大口径ならば、身体のどこに当たっても致命的だ。手に当たろうが足に当たろうが、肉を巻き込み、血管に重大なダメージを与える。まず自力で動く事はできん。


後二人。

同時にウナからの報告。


「隠れた、もうここからは見えない」

「こっちもだ。私は右側から行く、ウナは左から回り込め!吾妻に撃たれるなよ」


そう言って左右に分かれて移動する。吾妻も私の狙撃音を聞いて上手く隠れたようだ。タタンっと軽い音が響いた。誰かが何処かを撃っている。しかし、煙も火も見えない。

身を隠しつつ、音の方へ向かう。


再び、小銃の音が聞こえた。焦る気持ちを抑えて、一度足を止めて地面に伏せる。

更にもう一発の銃声。音の方角からして、こちらが狙われているわけではないらしい。

そしておおよその位置は掴めた。

草陰から銃口を出して、雪兎を構える。

いるはずだ、どこかに。そして吾妻を狙っている。目を凝らして必死に探す。


いた。


上手く擬態しているルシヤの狙撃者だ。そして奴が小銃を構える先には、吾妻の姿があった。

させるかとばかりに、ルシヤ兵の頭部に照準を合わせた。狙う者は、中々狙われている事には気がつかないものだ。

銃口がブレないように、ゆっくりと引き金を落とした。彼奴等の小銃の音とは比べものにならない雪兎の咆哮。

音速を遥かに超える速度で標的の頭部に弾丸が吸い込まれていき、爆ぜた。


後一人。


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