想起
オレは疑問が膨らんで自分の中で訳が分からなくなりそうになっていた。 なぜなら、
オレと同じ斎藤というサラリーマンがここの宿屋の管理人をやっていて、自分とよく似てるという事だ。
そしてオレはとりあえず同姓同名の人でたまたま似たりよったりの顔の男が前に管理人をしていて
元の世界に帰って行った。 という事にしておいた。
オレはそれよりも昨晩のドラゴンが気になった。 牛舎の中でアリタリアが世話していたあのドラゴン。
あれは一体何なのか? それが俺にとって自分のこれから先と今のこの状況の謎を紛らわす考えだった。
「なぁアリタリア。あのドラゴンって何なんだ。」
「え? あれですか? エルクリードちゃんの事ですか? あぁ~あの子は大人しくていい子ですよ。」
メスドラゴンだったのか... あれ 意外だったな。
「そう言えば、旅人さん あなたの名前は何ですか?」 アリタリアは唐突に聞いてきた。
「え... いやあの...その... 」
オレは回答に困った。 もしも斎藤と言ったとして、同じ人だとしたら、オレは同じ世界を繰り返して...
その瞬間オレはある「記憶」が煮えくり返ってきた。