才能が無い人に夢なんて叶えられるの?
前回の誤字多かったんで気をつけます
カタカタカタカタカタ…
外は晴れて子供が元気に公園で遊んでいるのにも関わらずここ、玖乃家では週末の真昼間からカーテンを締め切って真っ暗な部屋でパソコンだけが光を放っていた。
「ダメだ、ダメだ、ダメだ、こんな作品誰が読んでも面白くなんてないし第1氷砂糖先生が描くイラストに相応しくない。」
書いては消して、書いては消して、ただそれの繰り返しだ。
「あーあ、流石国語の成績は毎回2のテストだって平均点も取れない脳みそだ。」
諦めようかな、そんな言葉が頭の中を横切った。
椅子にもたれ天井を見上げる。才能がないやつがラノベを書いて新人賞にしたって落ちることは確定なんだ、落ちて悲しむより書かないで遠くから見守った方がいいんじゃないのか。
隣にある本棚に目を向けてみる。
そこには透明なカバーを付けられ、透明なケースに入れられた『君と最後の学園祭。夢にまで見た景色』が丁寧に保管されていた。俺の初恋とも言えるそのイラストはいつみても心を奪われる。
「そういえばまだこれ読んでなかったっけ…」
ケースから丁寧にだし傷一つ付けないように慎重に開く。
俺は先にあとがきを読む派なんだよね。そんなことを思いながらあとがきのページを開く。
「この作品に色付けをしてくれてありがとうございます。か…」
氷砂糖先生への謝辞をつい言葉に出してしまう。
この作者さんも氷砂糖先生の絵が好きなんだろうな。
「俺の方が氷砂糖先生を想う気持ちは上なのに…」
氷砂糖先生の事が好きだっていう気持ちは誰よりも勝る自信がある。
でも氷砂糖先生は俺の存在なんて知る筈も無い。だからこの気持ちが伝わることなんて絶対にない。
でもこの作品を作り上げて氷砂糖先生がイラストを描いてくれるたら…
「そんな夢みたいなことあるわけないか」
俺はパソコンを閉じてベッドにダイブした。
「イラストが初恋なんて知られたら小烏とか友永さんに絶対笑われるんだろうな…」
諦めよう。俺には無理だ。氷砂糖先生の絵に相応しい作品なんて書けるはずがない。
1回寝て夢なんて忘れよう。いつも通りの生活をして極普通の人生を送ろう。
そんなことを考えながらまぶたが重くなってきたのですぐに俺は寝てしまった。
諦めさせるの早すぎた感じもするけど別にいいや