ゴブリンクッキー
村の端に住む村人にあるモノが押しつけ …依頼された
それをどうするかの話
題名自体がネタバレ
ゴブリンクッキー
みなさん、ゴブリンを知っているだろうか?
そうスライムと同様にザコ役、倒しても討伐証明所以外使い道無しで有名なゴブリンだ。
ネット小説ではこのところその地位は向上し、転生したらゴブリンになって活躍したり、主人公の名脇役になったりと活躍している。
まあそれでもザコ役なんだけどね。
ちなみに、自分は気が付い時にはゴブリンじゃなく農家の次男坊に転生してます。
前世を思い出してから、この世界から見ると変な事をしていた様です。
成人になったら家族に家から出され、農村の端っこで一人暮らしをしています。
でも、開墾や種まき・収穫などは村全体でやるので食うに困らない状態で、ただちょっと変人扱いになっているだけなのだ。
なぜ今になって転生をカミングアウトしたかというと、目の前にゴブリンの死体の山があるからだ。
この世界にはネット小説の様に冒険者がいる、魔物などを倒し糧を得るあれだ。
たまに強盗紛い…いや強盗をするのもいる。
前世では日本という所に住んでいたが、犯罪者に優しい国だった。
人を殺しても更正の余地があるってことで死刑にならず、衣食住完備の施設でのんびり過ごすという変な国だ。
まあ、法律を勉強している人間が犯罪をしても更正の余地があるなんていうことになるくらいだ。
この世界では強盗や殺しは死刑だ、それは無惨にね。
そんな状況でも犯罪は減らない、どこの世界でも権力者が犯罪をするからだ。
何だろね?法律で犯罪と書かれているのに議員だと捕まらないって、議員の条件に犯罪行為を行った者は成れないってすればいいのに。
議員半分位になるんじゃね?
話がだいぶそれたがゴブリンだ。
なんでもゴブリンの集落が出来て被害が多く?なったことで、ある村から領主に話が行き、冒険者に討伐依頼が行って根こそぎ討伐したそうだ。
何の被害があったかは知らない、ここの村じゃゴブリンの被害ってなかったからね。
だがこの世界でも、ゴブリンは討伐証明箇所以外に利用価値が無いそうだ。
昔に討伐証明箇所以外を放っていたら、しばらくしてそれを食べる魔物が集まり大変な事があって、それ以来燃やすか埋める様にしていたそうだ。
そして伐証明箇所以外の残った所を獣や魔物が食べるということなら食べれるんじゃないの?と疑問に思った偉い?人が犯罪者に食べさせて実験した。
捕らえた者の食費もばかにならないそうだ。
どこの世界いつの時代でも変わらないね。
なんの肉を使ったかは教えずに食べさせた感想はこうだ
ゴブリンステーキ
・まずい
・苦い
・渋い
ゴブリンスープ
・まずい
・苦い
・渋い
・お茶混ぜた?
ゴブ…
ゴブ……
ゴブ………
・
・
・
とりあえず
・まずい
・苦い
・渋い
この三つが共通して食べれたモノじゃないというのが常識になったそうだ
この試行錯誤の記録は食べれるけど食べたくないという結果以外価値無しとされ城の書庫に放置されていた。
そして時が経って、紙で出来た貴重な本であるからオークションという名目で処分することになった本に埋もれていたが、題名からして落札する者が一人もいなかったから焼却処分にしようとしたそうだ。
そんな本がたまたま城に来ていた前領主様の目にとまり、燃やすならと貰ったそうだ。
それでも領主館でしばらく放置されていたが、ゴブリンの大量討伐があったことで思い出され、変わりものとして何故か領主館にまで知られている自分にゴブリンを処理する報酬の一部として押しつ…渡されたのだ。
有無を言わさずにね
さすがに村長には話が来ていたのか、臭いが漏れない位にたぶん密閉されているかもしれない箱物が作られた。
箱物といっても票集めや賄賂、人気取りのために無駄に作るあれじゃなく密封するために本当に箱型の物だ。
資材は先に届いていたからただ組み立てるだけのお手軽箱物です。
自分の家より大きいんですけど?…
もしかして自分、文字が読めないと思われいるのかな?被害のあった村人?が口頭で依頼を読み上げている。
だって持ってきた冒険者とゴブリン討伐のあった村人は領主からの指名だと言ってにやにやしていたからね
村長に依頼書を渡し、受け取りの代筆をさせていたからたぶんそうだろう。
なんだろね、領内の村でも格差があるのか、ゴブリンを運んできた他の村人が村長に対して偉そうだった。
向こうの村長なのかな?
まあこの村は、領というより国から見ても端も端である。
未開の地に接する村だからバカにされることもよくあるそうだが、ここはいたって平和である。
たま~に獣や魔物が降りて来るくらいだ。
偉そうな態度にさすがに村長も、もてなすほど村に余裕がないと言いつつ早く帰れと思っていたようだ。
話はゴブ本にもどり、読んだ感じでは毒性は無い、腐敗しにくいというのと食べた人は何故か健康になったということだ。
後、食べ残し等を肥料にしたら翌年豊作なったと書いてあったが討伐現場で燃やすか埋めていることからあまり知られていないようだ。
そうそう、さっき報酬の一部と言ったけど自分に渡されたのはゴブリンと依頼書、箱入りゴブリン本だけだった。
ゴブ本が入っていた箱は領主様の印がしてあったので開けていなかった。
本と一緒に報酬一覧と“結果出たら来てね”という手紙と通行証も入っていたのだ。
まあ、生活できているからゴブ本だけでもじゅうぶんな報酬だと思うんだけど中抜きはいかんと思うよ?
ここの村長から領主様に話が伝わると思わないのかな?
さて話を戻すがゲームやネット小説の様なゴブリンとこの世界のゴブリンはかなり違う様だ
この世界で言われ聞くゴブリンはこんな感じ
・いつの間にか居てすぐ繁殖する
・旅人や村人の娘が苗床にされて他は殺される
・大量に繁殖すると村を襲う
でもゴブ本筆者によるゴブリン観察では
・体臭臭くない
・他種族で繁殖しないむしろどうやって増えてるの?
・草食(薬草や茶の木等)かも
・数が増え集落を造ると開墾する
等だ
ゴブ本の解体新書っぽい項目を参考にゴブが新鮮な内に処理しようということにした
昨日まで討伐をしていたからか、まだ狩りたてのモノは血抜きして血を採取した、適当に樽へ
血も流れないほどに古そうなモノ(2日以上)は燃やして肥料に混ぜて
そして本番です
ゴブ本の感想にあったゴブリンスープの感想に
“お茶混ぜた?”
というのがあったので試しにゴブ本にあったレシピを元にゴブリンスープを作ってみた
自分の感想
“濃く煮出していろいろ混ざってまずくした抹茶風味のなにか?”
である
そう抹茶、ならゴブだけ抽出してスープにしたらどうだろう。
結果
“濃く煮出してまずくした抹茶?”
になった
部位別で試行錯誤して作ったゴブリンスープの感想
“皮→スープと言うより抹茶だね”
“肉→薬草臭い鶏肉スープ?”
“骨→薬草と抹茶を混ぜた感じ要は薬茶”
それ以外は肥料行きです
ちなみに前世記憶を思い出してから、この手のモノによくある鑑定っぽいのが出来るようになったので毒など異常効果は無いことは確認済み。
そりゃそうだろう、いくらゴブ本があっても変なモノ食べて死にたくないからね。
そして鑑定の結果は感想とほとんど同じで
“皮→抹茶:まったり効果あり”
“肉→薬草漬け鶏肉スープ?疲労改善の効果あり”
“骨→薬茶の様:滋養強壮の効果あり”
となった
あと血の結果は毒消しや豊作効果あり、栄養剤だと。
どっちにしろ肥料はもう少し放置だ、いい感じになったら土に混ぜておこう。
さてゴブリンスープの試行錯誤結果を元にあるモノを作ることにした
その名を“ゴブリンクッキー”
…だって一人暮らしになって生活に余裕ができて、いまある食材からできるお菓子を作ろうとクッキーの材料集めた終わって家に戻った時にゴブリン処理依頼が来たからだ。
厳選した部位のゴブリン皮を綺麗に洗い埃と肉滓などを取り除いたうえ乾燥
注意:洗う際は皮に水が染み込まない様に
これでもかと言うくらい粉砕
さらに繰り返し篩にかけ均一の粉末を作る
通常のクッキー生地を作り混ぜ焼く
以上
出来ましたゴブリンクッキー、鑑定結果はこう。
“じょうずに出来たゴブリンクッキー、抹茶風味?リラックス効果あり。但し材料を聞くと大概効果激減、場合によっては反転。”
と出たので実食。
鑑定で毒等ないことは解っているけど自分慎重派なので以前やらかして出来たポーションを念のため置いときます。
ゴブ本で料理の結果解っていたし、鑑定で大丈夫なのは解っていたけど今回はね。
もぐもぐ
…抹茶味のクッキーだね、もう少し甘味足して作りなおしたら領主に持って行こう。
しまった問題発覚、合う飲み物が無いっ!
水でいっか