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雪の涙は葉に落ちて  作者: 大塚 博瞬
第1章 メリコイル
6/30

1-5 ここにいる理由1

1/14 冒頭の文を追加。

 日が顔に当たり目が覚める。ベッドから起きて顔を洗う。

 当たり前である筈の一連の動作に違和感を感じるのは、ジェノでの怪我の影響だった。

 リハビリのために手持ちのナイフをバックから取り出し、右手で回す。指の動きがぎこちなく、子供の頃に出来ていた筈の事が今は出来なかった。

 ナイフが右手から、床に落ちた。






 メリコイル・南区・宿屋『コイルの里』。朝を迎えたハンターの宿は、騒々しく人が行き来している。

 武器を片手に未開の地に赴く者。

 事件解決のため街に繰り出す者。

 そして、それを眺めながら朝食を食堂で食べる者。

「みんな忙しないですなあ」

 ルーネはコーヒーを啜りながら携帯端末で朝のニュースを見ている。情報規制をしているからか、失踪者が出たという情報は一切ない。

 この街の市長は本当に隠しているのだ。事件そのものを。

 朝の日差しが窓から差し込み、コーヒーの表面がオレの顔を写す。

「ハンターの朝なんてこんなものだろ。オレがハンターになる前は朝早くから先生に蹴りを入れられて、魔獣の住む森の中に放り込まれたぞ」

「アハハッ。苛烈だねえ、君の先生」

 先生ーーコーラス・ラブラドライト。親のいないオレを育ててくれた人。オレにハンターのイロハを教えた人。苛烈な人。大雑把な人。

 そして、強すぎる人。オレとは真逆の人。あの人に振り回された日々は、悪夢の2字がピッタリと当てはまる。

 少しの寒気を体に覚える。それを揉み消すように、オレもコーヒーを啜る。

 ああ、普通にうまい。

「で、これからどうする? 被害者親族への聞き込みや、事件現場で犯人に繋がる証拠の捜索。1口に事件解決と言ってもやるべきことは沢山あるが」

「やることね。実はもう決めてあるんだ」

「ん?」

 やることは決めている。確かにそう聞こえた。

 もう一度コーヒーを啜る。

「決めてるって、一体何をするんだ?」

「じゃあ逆に聞くけど、君は何をすべきだと思う?」

「……そうだな、さっき言った通りだ。被害者親族への聞き込み、それから、」

「事件現場で証拠の捜索でしょ。……あのさあ、それ、治安維持局の仕事じゃない?」

「む……」

 確かに。オレ達は今まで治安維持局が捕まえられなかった犯人を、この手で捕まえようとしているのだ。治安維持局のやり方をなぞるのは賢いやり方ではない。

「じゃあ、お前は何をするんだ?」

 ルーネはコーヒーを飲みながらこちらを見る。

「本当に分からない?」

「ああ、分からないな」

「ほらほら、あるでしょ? 推理小説の鉄板ネタ。誘拐事件が起きた時に、探偵がやってのける無謀で勇敢な行いが」

「探偵様はいつだって無謀で勇敢じゃなかったのか?」

「アッハッハ。言うようになったじゃないか」

 愉快そうにルーネは笑う。

 目の前にいる探偵は本当に無謀で、勇敢だ。だからこそ、こいつがやろうとしている事は不安だ。

 一見、楽天家で陽気な彼女は、しかし、心の奥底で何を考えているのか分からない。野心と行動力を常に持っている、いい意味で腹の黒い探偵だ。

「じゃあ、小説フィクションを読まない君にも分かるように、僕の考えを教えてあげよう。……ハイリスク&ハイリターンな賭け、僕はこれを『囮作戦』と名付けたのさ」

 囮作戦、と彼女は言った。名前からして、囮を使って犯人を誘い出し、そこを捕まえる策なのだろう。例によって破天荒な作戦だ。

 だが、それを行うのは些か良くないように感じる。

 腕の携帯端末で資料を確認。昨夜の内に資料には一通り目を通してある。

「ちゃんとした計画はあるんだろうな。無ければ治安維持局の2の舞だぞ」

「3人目の局員消失の事だね?」

「ああ」

 昨日副局長から渡された資料。その一部に記された治安維持局の記録。



 昨年 2月 10日 夜間見回り中の局員消失。


 昨年 3月 13日 囮を使った捜査の立案。調整に入る。


 昨年 4月  1日 本日より、人員6人による囮捜査開始。西区観光区画を中心に捜査を進める。

 昨年 4月 11日 囮捜査継続中。捜査に進展無し。

 昨年 4月 21日 囮捜査継続中。捜査に進展無し。

 昨年 5月  1日 囮捜査継続中。捜査に進展無し。本日より北区・商業区画を中心に捜査を進める。

 昨年 5月  9日 囮捜査中、囮役の局員が消失。連絡が途絶える。

 昨年 5月 11日 本日をもって作戦を中断。再開は絶望的。



 丁度1年前の記録。囮捜査、つまり彼女が提案する所の囮作戦は、囮役の消失という形で失敗に終わっているのだ。対策を立てない限り、治安維持局と同様の手段で作戦を進めるのは良くない。

「実は犯人のやり口は大体分かってるんだ。だから治安維持局と違って対策は立てられるよ」

 当然のようにルーネは言う。彼女の付ける右手薬指の指輪がキラリと陽光を反射させる。

 言われたことに対して、驚きはしない。彼女は4級ハンターが10年間功績を積んで昇格できると言われている3級ハンターに、わずか2年でなったのだ。

 異端中の異端。奇才中の奇才。そんな彼女には、むしろ驚く方が失礼に値するだろう。

 丁寧に彼女の考えを聞く。

「お前はこの事件の全容、どこまで見えてるんだ?」

「それはまだ言えないな。僕はただ犯人について考察しただけ。仮説の段階でものをを言うのは無粋ってやつさ」

「……じゃあ、作戦の内容は?」

「そっちもまだ教えられませーん」

「言ってくれなきゃ、動こうにも動けないんだが……」

「だって、君に全部教えちゃったらつまらないじゃない? アハハッ」

 あれ、なんだか様子がおかしい。会話が成立していないようだ。

 面白おかしく仕上がっているとしか思えない彼女の脳は、どうやら誠実の2字が欠けているらしい。2週間旅をして分かったが、彼女のからかい癖は目に余る。

 ルーネは少しだけ、顔を引き締めて続ける。

「まあ本当の事を言うと、犯人がどこにいるか分からないから君に言えないんだ。もし君に教えちゃったら、ハンターや局員になりすました犯人に作戦がバレるかもしれないでしょ。君は正直者で分かりやすいから」

 オレに事の詳細を教えないのも計算の内、ということか。それならそれでいいのだが、少しはこちらに配慮してモノを言って欲しい。

 全く、オレの爪の垢を煎じて飲ませたい気分だ。そうすれば、少しは『節度ある、調和のとれた思考』というものが出来るようになるだろう。

 いや、それだと彼女が愚か者になってしまうか。無能な愚か者は1人で十分。彼女は奇才で聡いままでいてもらわなければならない。ならば、

「オレは、君の爪の垢を煎じて飲みたい気分だよ」

 そうすれば彼女の、悪い意味で超人的な思考にオレが追いつける。無駄な気苦労をしなくてすむはずだ。

「……どうも、ありがとう?」

 どうも嫌みだということが伝わらなかったらしい。今日はとことん会話が成立しない。

 しかし、まあ、こんな日もあるか。意思の疎通とは、どれだけ仲が深い間柄でも容易に出来はしないのだから。

 ルーネはコーヒーの残りを全て飲み干し、口を開く。

「リーフ君。僕はこれからシンボルに向かって囮作戦の準備を進めようと思う。差し当たって、君には同じ依頼を受けているハンターの所に行って、捜索を北区以外でするよう頼んで欲しい」

 そこまで言って、彼女は空のコーヒーカップを見つめる。そこに小さな世界があるかのように、まじまじと。

「……やっぱり、こういうのは嫌かな?」

 そう呟く。

 彼女はオレと違って多くのものが見えている。その見えたもの全てを観察し、考察し、推理する。だからオレはいつも置いてきぼりだ。

 けれど、危険を顧みず、無謀で、勇敢で、1人で先に進みながら、最後にはちゃんと並んで歩いてくれる。彼女はオレの知る限り、最良の探偵ハンターだ。

 ならば彼女の言動も、提案も、問題はない。完全な意思疎通が出来なくとも、オレは彼女を信用する。相手への説明も、捜査箇所を変えて貰うだけなら何とでもなるだろう。

 オレもコーヒーを全て飲み干す。

「いや、問題ない。作戦の詳細を教えて貰えないのは確かに不満だが、それが最善だと言うのなら我慢するさ。だが、その分成果は上げてもらうぞ、名探偵」

「……全く、本当に言うようになったなあ、君は。ああ、オッケー! 任せてよ!」

 胸を叩いて、彼女は自信満々に言い放った。


 朝食を片づけた後、9階の自室に戻って支度をしていた。

 ルーネは昨夜各ハンターと連絡をとっていたらしく、オレは彼らが指定した場所に赴く運びになった。

 武器を持ち運ぶケースを開け、コートの裏にナイフを6本、専用のウエストポーチに携帯水晶を4点入れる。

 先生の指示で普段から持ち運んでいたせいで、今ではこれがないと落ち着かない。

「それじゃあブラウンさん、行ってきます」

「おう。気をつけてな」

 武器の手入れをしているブラウンさんと挨拶をすませ、部屋を出る。

「おっ」

「あっ」

 扉を開けると、同じく部屋から出てくるスノウと鉢合わせる。

「おはよう、お寝坊さん」

「……シロ」

「うぉあ!」

 スノウがいきなりシロを投げてけてくる。『厄災型の魔獣・影猫』のシロが顔に飛び乗って、顔を引っ掻かれた。

「い、いきなり何するんだ! スノウ!」

「私をバカにした報いです。私より先に少し起きたからって調子に乗らないで下さい」

 バカにしたつもりは微塵も無かった。だが、スノウは冗談として受け取らなかったらしい。

 無理矢理シロを顔から引き剥がし、スノウの所に放り投げる。それを軽々キャッチしたスノウは、小さく縮んだシロを右腕に戻す。

 体の大きさを変えられる魔獣。姿が見えない魔獣。人に懐く魔獣。いつ見ても不思議に思う。

「そんなにシロを雑に扱ってやるなよ。かわいそうだ」

「シロと私は一心同体です。雑に扱ったりなんかしません」

 本人にとって、あれは雑に扱った内に入らないらしい。

「ああ、そう。……ところで、下まで一緒に行くか?」

「………はい」

 小さな声でスノウは答える。スノウが前を歩き、オレがその後を追う。

 もう夏は近いと言うのに、彼女は赤の頭巾を被り、オレは黒のコートを着ている。いつも通りだ。

 人と人との意思の疎通は難しい。

 会話をしたところで、今スノウが何を考えているのか分からない。

 だが、昨日より彼女らしさが戻ったことは何となく分かる。

 今のオレは、それさえ分かればいい。






「うっ、気持ち悪い……」

 一人で朝食を食べ終わり、私は口の周りについたケチャップをハンカチで拭き取る。


 大皿に大量のスクランブルエッグと、大きな3本のソーセージ。別の皿にはごまのドレッシングがかかったサラダと1粒のイチゴ。その他、2枚の食パン、ヨーグルト、ブラックのコーヒー。

 それがここの朝食だった。


 うん、確かに豪華だ。満腹感を通り越して、胃から吐き気が込み上げてくる程に。

 口元を手で押さえながら、何とか立ち上がる。

 私が1人で暮らしていた頃は、朝食は乾燥したパン一つで済ませていた。だから、質が上がったことは素直に喜ぶべきなのだろう。だが、この量は何だ?

 この宿が私の肝臓をフォアグラにしたいのか、それともハンターは全員が全員大食漢なのか。真実はいつも1つだ。まあ、どちらが正解なのかと言われたら、多分どちらも違うのだろうけれど。

 少しは残そうとも思ったが、こんな言葉を母様が言っていた。


『食べ物を残してはだめよ、スノウ。私達は生き物の命を奪って生きてる。お肉はもちろん、野菜やお魚、果物だってそう。私達は彼らに、敬意を払わなければいけないのよ』


 母様の教えは絶対だ。だから食べれるだけ食べて、後はシロにお掃除してもらうのは何の問題もないはずだ。私達は食べ物を残さなかったのだから。

 自身の食の細さを実感しながら、誰も乗らないタイミングでエレベーターへ。そのまま4階401号室へ向かった。


 扉の前に立ち、ノックを3回。『開錠の紋章』が働き、ロックが解除される。

 部屋の中に入ると、椅子に座る人が1人。

「探偵さん、帰りましたよ」

 苦しいながらに声をかける。が、反応はない。回り込んで顔を覗き込むと、彼女は目を閉じていた。

 2度寝、だろうか。探偵さんにしては珍しく、だらしのない姿をさらしている。

 起こそうと手を伸ばすが、肘を立てて眠る彼女の姿が何だか様になっていて、自然と手が止まってしまう。

 私の視点を切り取ったら、『午睡をする女』なんてタイトルが似合いそうな絵画が完成することだろう。

 暫くして、探偵さんが目を開ける。

「……あれ、戻ってたんだ。随分と、遅かったね」

 探偵さんが歯切れの悪い声を発する。様子からして彼女は寝ていたのだろうが、時計も見ないで私を遅かったと言うのはどういうことなのだろう。まるで予言者のような事を言う人だ。

 いや、彼女は探偵なのだから、日の光や影なんかを見て今が何時なのか推理したのだろう。そんなことをされても、今更驚かない。

「2度目のおはようですね、探て……」

 探偵さん。そう言いかけて、口が止まる。

「ん? 僕の顔に何か付いてる、ってあれ?……あれ?」

 彼女は自分でも気づかぬうちに、唐突に、突然に、両目からポロポロと涙を落とし始めた。

 私も呆気に取られる。

 彼女に何があったのかは分からない。嬉しくて泣いているのか、悲しくて泣いているのか、それすらも分からないほど感情が絡み合って泣いている様子だった。


 ただ、『支配の指輪・原典オリジナル』を使っても分かり得ないと思っていた本当の彼女が、何となく見えた気がした。


 探偵さんは椅子に座ったまま涙を手で拭い、白い袖を透明に濡らした。私がハンカチを差し出すと、彼女はそれを目に当てる。

「いやあ、ごめんね。……なんだかみっともないね」

「そんなこと、ありませんよ」

 泣くという行為は気持ちを整理する作業だと思う。心という器が感情という水で満たされた時、人は器を壊さないために涙を流す。水が行き場所を失えば器は割れ、最終的に壊れてしまう。だから人は泣くことが許されているのだ。

 身も心も普通じゃない私が言える口ではないのだが、私を反面教師とするなら、探偵さんが泣くことがみっともないなんて事はない。

「その、よくあるんですか? こういうこと」

「……頻繁にって訳じゃないんだけどね。物語に感情移入しすぎると、こうなっちゃうんだ」

「でも、本なんて読んでないじゃないですか」

「夢を見ての。あまり気にしないで」

 変な人、と思う。

 気にしないで、なんて言われたら余計に気になってしまう。

 けれど、誰にだって聖域はある。私が母様との思い出を他者に話したくないように、探偵さんにだってそういうものがある。きっと、夢の話はその1つなのだ。

「あー、あっ、あ。うん、よし。止まった止まった。ハンカチありがとね、スノウちゃん」

「いえ」

 差し出されたハンカチを受け取る。よく見ると、まだハンカチの端にケチャップが付いたままだった。

 気づいてないよな……。

 恥ずかしくなり、急いでポケットしまう。

 探偵さんは自分の腕のピコピコで何かを確認している。

「そろそろ出かける時間かぁ。けど、その前に」

 探偵さんは伸びをして椅子から立ち上がり、私に近づく。身にまとう雰囲気は元に戻り、いつもの探偵さんが目の前にはいる。

 ここは、探偵さんが元気になってよかったと思いながら、外に出て行く彼女を私が見送る場面なのだろうが、生憎と私は笑顔がつくれない。そもそも笑顔をつくる気になれない。

 なぜならば、いつも通りの探偵さんが満面の笑みを浮かべている時、彼女は決まって無茶なことを考えているからだ。

「僕が考案した作戦を聞いて欲しいんだ。スノウちゃんにはある役割を引き受けて貰いたいんだけど」

 ああ、やっぱり。


 探偵さんが出て行くと、部屋は静かになった。

 探偵さんの計画は今日の夜から始まる。だから私はそれまで暇になってしまった。これからどうしたものかと思案し、取りあえずベッドに寝転ぶ。

 私の過去に、暇な時間というものは存在しなかった。体を休める時間は無かったし、あったとしても私自身がそれを許さなかった。だからこういう時、何をしていいか分からないのだ。

 趣味という趣味は特になく、けれど強いて言うならば人形作りがそうなのだが、ここでは人形を作れない。

 だから、部屋でごろごろしているか、外に散歩へ出るかの2択だった。

 コンコン。

 突然、扉をノックする音が聞こえる。愚か者さんも探偵さんもいない今、この部屋を訪ねてくるのは1人しかいない。正直出たくないが、一応扉の前まで行き呼びかけてみる。

「誰、ですか?」

『ブラウンだ』

 やっぱりか。ため息をつきながら扉を開ける。

「よう、お嬢ちゃん」

「なんですか。冷やかしにでも来たんですか?」

「なんでそういう事になるかなあ……。俺は出掛けるから、一応声をかけに来ただけって話さ」

 なんで声をかけられなければいけないのだろう。出て行くのなら、1人で勝手に出て行けばいいのに。

「お嬢ちゃんも夜までは暇だろ? こんな部屋にいないで外を見て回ったらどうだ」

 ブラウンさんの言葉に、何故か私は苛立ちを覚える。

「余計なお世話です。さようなら」

「おい、ちょっと」

 強引に扉を閉めて、話を切り上げる。

 蛮族さんと話していると、何だかモヤモヤする。


 彼と私の関係は、雲に隠れる太陽に似ているのだ。

 晴れて欲しいのに、太陽は姿を出してくれない。

 雨が降ってくれれば家という殻に閉じ籠もれるのに、空はずっと曇り空。

 雨降って地固まることもなければ、日の光が指すこともない。そんな関係。


 きっかけは分かりきってる。

 ジェノで私の行いを、蛮族さんが否定したこと。そこできっと悟ってしまったのだ。

 この人とはどうしようもなく相容れなくて、根本から住む世界が違うんだって。

 ベッドに飛び込み、マクラに顔を埋めて息を吐く。しかし窒息しそうになり、すぐに顔を上げる。

 はぁ、もどかしい。

 私が人間関係で悩むなんて、なんだかすっごく、変な感じだ。

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