第2話 馬鹿でもいい
今の状況に至った回想は終了。
それで今はリーダー格の男と美少女が話している。
「嬢さん、早く来てくださいよ。こっちも忙しくないわけじゃないんですから」
「嫌だ! 私はお前達とは行かない!」
「嫌だっていうのはわかりましたが、見ず知らずの人に助けを求めたらその人も困るじゃないですか?」
正論を言ったので俺は頷いていた。
この人はよくわかってるじゃないですか。
「こいつだって了承してるからいいんだ!!」
おい、俺は助けるなんて一言も言ってないぞ。
リーダー格の男は溜め息をついて俺に声をかけた。
「私はレイ。君の名は?」
「俺はクロ」
「それでは少年と呼ばせてもらおう。いいか?」
いや、何で名前訊いたんだ?
別に少年って言うなら訊かなくてもいいじゃないですか。
「って、呼び名はどうでもいい! あんた達は何者なんだ!?」
「そんなことより少年、さっきの話は本当なのか?」
「へ? さっきの話? ……ああ、あれか。いや俺はそんなこと言ってねぇし、勝手にその人が話を進めてるだけっすよ」
「お、おい! ふざけるな!!」
ふざけるなって言われても本当のことだし。
しかも助けろってどうすればいいんだよ。
前にはレイ、いやおっさん達がいて、後ろは何度も下りたことあるから下りれなくない崖だけどあんたがいるんじゃ……。
おっさんはもう一度溜め息をつくと面倒くさそうに頭を掻いていた。
「だそうです。だから早く来てください」
「それでも! ……それでも私は行きたくない」
美少女は俺の服を掴んで後ろに隠れた。
さっきの気の強い美少女とは大違い。
でもこの美少女が本当に行きたくないことがよくわかった。
まぁどんな理由があるのかは知らないけど。
だから俺の取る行動は……。
「あんたを助けてやろうか?」
「へ?」
俺が馬鹿なことを言ってるのは美少女やおっさん達の様子を見ればわかる。
それでも女をこのまま見捨てるのも男としてどうかと思ったから。
「少年、本気で言ってるのか?」
「男が女を見捨てられるわけねぇじゃねぇか。そのかわり……」
「え!?」
俺は美少女をお姫様抱っこした。
美少女が見た目と同じで軽くて助かった。
俺はおっさん達に背を向けて美少女に言った。
「どうなっても知らねぇからな!!」
読んでいただいたこと感謝します。
後々関わる新キャラを出してみましたが、本当に後で関わるのか心配です。
感想と評価お待ちしています。
それでは失礼します。