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第13話 逃亡終了

朝……俺は目を覚ますと外を見る。

今日もいい天気だ。

まるでミズキと逃げていたことが嘘のようだ。

それにしても一日ちょいの短い逃亡だったな。

まぁミズキのことを知れたのはよかったけど。

えーっと、俺に普通の日常が戻ってきたと言えば……微妙だろう。

だって……あんなことがあったからな……。


今から数日前……。

広場で倒れてから目を覚ましたとき、俺は城の一室で寝ていた。

起きるとすぐに尋問にかけられた。

まぁ王女と一緒に逃げていたから誘拐犯と誤解されてもしょうがないだろう。

と思いつつもどうすればいいか全くわからない。


数十分後……俺は尋問から解放された。

どういうわけかわからないがとりあえずよかった。

どこかわからないが俺は個室に連れて行かれた。

そこには国王とミズキとおっさん、それに兄貴までいた。

「何で兄貴がここにいるんだ!?」

「まぁそこは気にするな。それよりライクの話を聞け」

というか何で国王を呼び捨てにしてるんだ。

まぁ俺もミズキを呼び捨てにしてるけど……。

俺は兄貴に言われた通り国王の話を聞くことにした。

「尋問をさせてしまって悪かったね。まずはわびるよ」

国王が頭を下げると俺はすぐに焦った。

俺みたいな一般人に国王が頭を下げるなど……。

国王は頭を上げると話を進めた。

「話はミズキとレイ、それからシロにも聞いたよ」

「えーっと、その前に……」

俺は兄貴の名前が出てきて兄貴に視線を送る。

「シロがここにいることを疑問に思うんだね。その理由は簡単だよ。シロは僕の恩人であり、親友だからね」

「兄貴が?」

「うん。小さい頃、僕が迷子になったときに助けてもらったんだ。それ以来国民のことを色々教えてもらったりして親友になったんだ。だからここに来てもらったんだよ」

そうだったのか……。

まさか兄貴が国王と親友だとは……。

「それで妹が世話になったね。でも……」

国王はおっさんと兄貴に目を向けた。

「悪ふざけが少し過ぎたんじゃないかな?」

「いや、その……」

「まぁ何というかな……。久しぶりに面白そうだったからな。つい……」

いまいち話の内容がわからない。

「これも嬢さんのためを思ったからであって……」

「その性でクロくんは風邪をひいたんだよ。それはちゃんと謝らないとだめだよレイ」

すると国王の言う通りにレイは俺に頭を下げた。

「すまなかった少年」

「なぁ一体何のことだ?」

「実はクロくんと初めて会った崖でレイはクロとミズキを捕まえられたんだ。それなのにレイは面白そうだからって二人を逃がしたんだ」

「はぁ!?」

確かに崖から逃げたときに追いかけてこないのは可笑しいとは思ってたがそんな理由があったとは……。

「それにシロはレイに便乗して協力してたし」

「ちょ! ライク! それは言わない約束だろ!?」

「おい兄貴……。どういうことか説明してもらおうか?」

俺は兄貴の肩を掴んでニコニコ笑っていた。

本心はまぁわかるだろう。

「えーっと、だからな……。出かけたときにそこのおっさんに会って、そのことを聞いて面白そうだったから便乗して……悪い」

「悪いじゃなーい!! 人が必死で逃げてるのに面白がるな!!」

ったくふざけるにもほどがあるだろ。

そこで俺はあることを思い出す。

「何かこれ以上怒ってもしょうがねぇからいいけどよ。ミズキが逃げてた理由は何だったんだ?」

「…………」

やはりミズキは何も言わない。

代わりに国王が答えてくれた。

「見合いが嫌だったからだよ」

「は? 見合い?」

「そう。僕としては早めに身を固めてもらいたくてね。でもいきなり誰かと結婚というのもあれだからね。とりあえず見合いをして同棲をしてもらおうと思ったんだけど、ミズキが嫌がってね。それで逃げちゃったんだ」

……正直に驚いた。

あまりに馬鹿っぽい理由で。

国王はミズキのことを考えて見合いを提案したんだからちゃんと見合いしろよ。

まぁそんなことじゃ言えねぇよな。

「それで今から見合いをさせるわけにはいかないし、でも僕としては早めに身を固めてもらいたいんだ。それで……」

そこで国王の目線が俺に向く。

えーっと、何となくわかりますが、何を言いたいんですか?

「ミズキの婿になってくれないか?」

それはつまり……結婚しろと。

俺は何も言えず呆然としてしまった。

するとミズキが顔を赤くしながら俺に言ってきた。

「わ、私を助けてくれるって、い、言っただろ? じゃ、じゃあ最後まで、付き合え」

確かに言いましたけどまさかこんなことになるとは……。

俺はその答えを言えなかった。

心の中では答えは決まっていたがミズキの気持ちが気になる。

「俺なんかでいいのか? 昨日会ったばっかの俺なんかで。お互い何もわかんないだろ?」

「それは大丈夫」

ここで国王が口を挟む。

「クロくんにはミズキと同棲してもらってお互いのことを知ってもらうから」

へ……ま、マジですか?

「い、いや、でも俺は家で普通に暮らしたいし……」

「じゃあクロくんの家で同棲することにしよう。それならいいんだね?」

「そういうことじゃなくて! 俺はミズキの気持ちを知りたいんです! もしミズキが俺のことをその……好きとか思ってなくて同棲するとかだと……」

何故だか俺が赤くなってしまう。

ミズキは美人でしかも王女。

どこに不満があるかと言ったら少しわがままなところ。

でも断るような理由にはならない。

だからこそミズキの気持ちが知りたかった。

「じゃあミズキはクロくんのことをどう思ってるか正直に言ってみて」

そう、俺が知りたかったことはそれだ。

ミズキが一体どんなことを言うのかわからなかった。

でも最初に口にするのがそんなこととは……。

「言うことを聞かなくて鈍感で誤解を生むようなことをする」

うわー、何だよそれ。

そういうことじゃねぇだろ。

「でも……。初めて会った私のことを助けてくれた。本当に何も知らないのに何の見返りもないのにただ私を助けることに必死になってくれた。だから……私は……クロのことが…………好きになった」

顔は本当に真っ赤だがずっと俺を見ていた。

ミズキの気持ちも聞けた、自分の気持ちもわかっている。

それなら俺が口に出すことは……。

「ミズキと同棲させてください」

それを聞くと国王と兄貴は笑顔になった。

「わかった。じゃあミズキを任せたよ」

「はい……」

俺は真剣に力強く答えた。

その言葉が本当だということをわかってもらうために。

読んでいただいたこと感謝します。

ようやく逃亡が終了しました。

日数にして一日ちょっとと短いです。

第13話だけは特に長いです。

本当は第13話と最終話を合わせようとしたのですが、あまりに長くなるのでやめました。

この小説も次で最終話です。

感想と評価お待ちしています。

それでは失礼します。

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