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いじめは人を醜くみせる

作者: 飽兎





私には、好きな人がいました。


同じ陸上部で、はにかみ屋で、県大会出場に向かって突き進む姿を頼もしく、格好良く思っていました。その時、確かに私にはそう映っていました。


でも学年が変わり初めて同じクラスになったとき、その惨状を目撃してしまったのです。


一人の不細工な男子に暴言を吐く、なのに無視をするその姿。


それだけなら、まあ有りがちな光景だなーのひとごとで終わっていたと思います。


私がショックを受けたのはその時の好きな人の顔でした。

醜く歪み、眼だけが爛々と光る様は、今思い出しても嫌な気持ちにさせられます。しかもそれが笑っているのだと気付いたときの私の心情は、気持ち悪い、の一言に尽きます。


あぁ、なんで私はこの人を好きになったんだろう。

「気持ち悪い顔、変な喋り方!」と囃し立てる自身の方が気持ち悪く、変で、醜いのに......なぜ?


そんなことをぐるぐると考えながら、私は教室を出たのを覚えています。

 


それから、いじめられていた不細工な男子は特に自殺することもなく、そのいじめが大事になったりすることもなく、平々凡々なままこの学校での生活は終わりました。


好きだった人とはそれなりの距離を保ったまま、本当に何事もなく私達は卒業し、別々の道を歩んで行きました。



ただ一つ、私が好きだった人の姿を見るたびにあの醜い表情を思い出した以外は。






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