生きている決別
小さい頃から一緒だった。
貰って喜ぶ物も、言われて怒る事柄も、目指す夢も、なんなら進路まで一緒だった。
初恋の相手も、告白のシュチュエーションも、それの結果も一緒だった。
だけど別れた。
小さい頃から、なにもかも一緒だった。
だけど、決別した。
性別は同じで、顔立ちも同じ。背丈も同じだし、利き手も、利き足も、同じ。
嗜好品も、思考回路も、志向理由も、指向方向も一緒だった。
でも完全に同じなものはこの世に無いのは当たり前で、僕らにも違ったところがあった。
重い心臓の病気だった。現代医学での完治は難しいそうだ。
単純だった僕らは、それならば治す方法を見つけようと医者を目指した。
単純だった僕らは、同じ病気に苦しめられている人たち皆も助けようと思った。
「俺はお前じゃないし、お前は俺じゃない。
だからこそ出来なかったし、だからこそ出来る。
だから・・・、お別れだ。
後は任せた」
貰って喜ぶ物も、言われて怒る事柄も、目指す夢も、なんなら進路まで一緒だった。
初恋の相手も、告白のシュチュエーションも、それの結果も一緒だった。
でも、笑いながら言った君に対して、僕は泣いて何も言えなかった。
性別は同じで、顔立ちも同じ。背丈も同じだし、利き手も、利き足も、同じ。
嗜好品も、思考回路も、志向理由も、指向方向も同じだった。
でも、それから直ぐに君と僕は決別してしまった。
あの言葉が頭から離れない。
後を任された。
生きている限り何もかも同じだったはずの僕たちは、たった一つの違いで離れ離れになった。
それはこれからもずっと続いていく。
僕が生きている限り、あの時託された、君からのたった一度だけの決別(願い)は続いていく。
でも、大丈夫。完全に同じものが無いように、この決別が終わらないなんてことも、絶対にない。
今度そっちに行ったら、話したい土産話がたくさんあるんだ。
大丈夫。こんなにも同じだったんだ、絶対に気に入ってくれるはずさ。
いかがでしたでしょうか?
私には兄弟が居ますが、性別以外の趣味から何からまで真反対です。