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かつて修という男がいた。修は幼馴染の葵とある日再会した。あまりの変わりように修は最初誰かわからなかった。でも葵は修の変わっていない様子に安心して話しかけた。本当に何年かぶりの再会だった。それからは少しずつ会うようになっていた。連絡を取り合い、食事も共にして、どんどん親密な関係に変えていった。そんなある日、ある食事の時に、ある彼女の誕生日に、ある時に、修は立ち上がって、彼女のすぐそばに座り込んだ。そしてポケットから小さな箱を取り出した。彼女はまさか、と思った。そのまさかだった。彼はその箱の向きをしっかりと何回も確認してから彼女の前に差し出した。そしてぱかっと箱を開けた。店のあかりにてらされてきらりと光る。わかってはいても彼女は驚いた。
「まぁ!!どうしたの?高かったでしょ?」
「うん。でも、君のためだから、頑張ったんだ。僕は、えっと・・・・君が、す、好きだから・・・・えっと、その・・・も、もしよければ、あ、いや、よろしければ、受け取ってください・・・。」
少しふあんそうな彼のかお。昔と変わってない、と彼女は思った。なら、昔と変わらないようにいじめてやろう。とも思っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
というわけで、彼の顔をじっと見つめる。そういう彼はそんなみつめないでよ~という笑みで目をそらす。
「いやだ。」
「え?」
少し悪ふざけ言ってみたけど、彼にとっては本気で言われたと思ったのだろう。目が密かに潤う。
「・・・・・・・・・・・・・もし、本当に私のことが好きなら・・・」
「・・・なら・・・・・・?」
「キスして。」