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「・・・・ま、ママ?」
「かずちゃんが悪いの!!かずちゃんがいなかったら・・・!!」
「!・・・ママァ!いつものママに戻って!!痛い!ママ、痛いよぉ!」
彼女はいつかされてきたかのように子どもに手を上げた。髪を引っ張って子どもを引き寄せて殴り続けた。殴り続けた。
もしコイツがいなければ、修も子どもなんて考えなくて死に間際まで私のそばにいてくれたのに!!
殴り続けた。そして時間が過ぎていって、いつしか眠りについた。
そして彼女が目を覚ますと痣だかけの子供がいる。酒が回っていたため、全く覚えていない。でも酒が回っていない子どもは覚えている。だから子どもにとっては不可解な気持ちになるのだ。朝に抱きしめられても。謝られながら抱きしめられて、大好きだよ、なんていわれても。いまさら言われても、そう子どもは思っていた。でも、それでもこの人が母親であることに変わりない。大好きだった父親が愛した母親であることに変わりない。




