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女は夜になって酒を飲むようになっていた。夜と昼との違う姿。ストレスが溜まって、飲む、飲む。
だれも彼女を止めない。彼がいたときは、彼がそういうのがいやだったから、やめていた。でも、もう。止める人はいない。子どもは密かに見ていたがそんな力はない。所詮子どもの力だ。大人の力に勝てるはずもない。財政的にも大変になって働き出した。でもその働き場でもストレスが溜まる。そしてアイツとの関係でもストレスを感じまくる。ストーカー。人々はそれ以外にアイツをなんと表すのだろうか。やっと引っ越して、なれてきた、というのに、また突き詰められた。子どもという弱みを握られて、でもお金持ちというわけで最近はやっとしっかりと話すようになった。でもあの態度が彼女にとってはストレスの塊となっていた。
「もう!!なんなの!!」
バン、とコップをテーブルでなぐる。子どもは後ろで彼女を見つめてびくっとはねる。それに彼女が気づいた。
「かずちゃん~」
そういって酔っ払いながら子どもに近づく。




