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「ママ。みてみて。僕ね、こんなにも絵が上手にかけるんだよ。」
「みせて。」
母親が子どもに言うと、子どもはどたばたとある部屋に駆け込み、そしてすけっちぶっくと描かれた大きなノートをもってきた。そして母親の前に立ち、今日書いたページを開く。そしてこれだ、といって子どもはその紙を母親に見せた。
「まぁ!かずちゃんはこんなにも絵が上手にかけるようになったの!」
「うん。」
子どもは素直な笑顔を浮かべてうなずく。子どもにとって母親に褒められることはうれしいことだった。母親は子どもの頭を精一杯なでた。子どもはえへへ、と笑う。その子どもを母親は、自分もこういうふうにされていたら・・・・なんて思っていた。
そんな幸せそうな家庭。でも、子どもの体には数多くの傷跡があった。遺伝されてしまう。何もかも。
でも子どもは何もかも我慢していた。何もかも言わずに。それが普通だと言い聞かせて。




