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「うん。」
「つまり、やり方はいろいろあっても答えは一つなわけでしょ?」
「うん。」
「人生の答え、それってなんだと思う?人は最期の最期にどこにたどり着くと思う?」
「天国・・・?」
「そう。人は必ず、死を迎える。あなたも、私も、あのこにも・・・・でも・・・死にたどり着く方法は人それぞれ・・・いくつもいくつもある。その答えに早くたどり着くのか、それともおそいのか。いきなりひらめいて、答えにたどり着いてしまうのか・・・・・ね?似ていると思わない?」
「確かに・・・・・・」
彼は涙の跡を気にせずに考えた。確かにその通り、だと。
「・・・・・・・・・だから・・・・大丈夫、だよ。」
―――――――――――――――数学をこういうふうに考えるようになったのは、いつからだっけ?――――――――――――――――
「うん。」
彼は笑った。それをみて彼女も笑った。
「大丈夫。」
彼は彼女の言葉を繰り返していた。




