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「え?」
「376たす530は?」
「は?え、えっと・・・・」
彼は何回も自分の指を折っては広げて、また折っては、を繰り返していた。あたふたする彼を見て、彼女は意地悪に言った。
「904」
「え?そうなの?全くわからなかったよ。なんでわかるの?」
「数学が得意だからよ。じゃ、もっと簡単なのにするね。」
「32わる16は?」
「え、えっと・・・・36個の栗があります。それを16人で分けるとしたら、一人分は・・・・・えっと・・・・・あれ?このこにはあげたっけ?」
「じゃ、12わる3は?」
「えっと・・・・・栗が12個で・・・・あ、3!」
「・・・・・・・・・・・4、ね。」
大声で言って、小学生で学ぶような割り算を間違えていた。
「え・・・・・あ。」
「・・・・・・とにかく、あなたのように、栗で考えようと、分数で考えようと、ケーキで考えようと、覚えていようと、答えはただ一つなの。」




