プロローグ
少年は見下ろしていた。一人で。
短い髪を少し揺らせながら、小さな体を浮かせて、ちいさな目が、それを見下ろしていた。その小さな目の先をたどると、小さな小さな真っ赤な家があった。真っ赤になっている家があった。
これは一体、どういうことだろうか。真っ赤になっている家になんの罪があるのだろうか。
一体、この少年に何の罪があるというのだろうか。
「・・・・・・・・・・・もう、みないほうがいい。」
後ろから、いつからいたのかわからないが人がいた。少年よりも10cmぐらい高い少女。大人っぽい声を発する。
「いや、まだ、犯人がわかってないんだ。だから、もう少し・・・・」
少年は少女を見ないでずっと家を見ていた。
少女は少年を哀れむような顔で見ていた。
少女は人型の形をしていて、人間離れをしていた。真っ黒い服。袖からは真っ白な腕が伸びている。服からでている真っ黒な髪。真っ赤な唇。真っ赤な目で少年を見つめていた。袖から出ている真っ白な腕の先には大きな灰色の鎌が握られていた。
「・・・そうか。」
少女はそれだけを伝えて舞い上がった。
「見つけたらまた、戻ってくる。しかし制限時間は一日だ。それ以降は、たとえ見つけられなくても、連れて行くぞ。」
振り返らずに少女は言うと消えた。