無題
一枚のプリント用紙に
殴り書いた言葉は
縦横無尽に連なり
飛びちり、広がり
形にならない思いが
渦を巻く
人の数だけ世界はある
出会いたい、聞きたい、話したい
時はおそろしく早く過ぎるから
あふれる思いがいつ枯れてしまうか
わからないから
ここから早く出たい
ここから早く出たい
私は考えるより先に
書いていた
思いばかりが大きく大きく膨らんでいく
「なに書いてるの?」
私は言葉を手の中で丸めると
「書きたいものを書いてた」
と、答えて丸めたものを
ポケットにしまった