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一族の楔  作者: AGEHA
第二章 一族の意味
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協力者

黒塗りの屋敷の自室にある空間転移のゲートを潜り。


自宅マンションのリビングへリリア・セシルは戻ってきた。


「ふー……」


少し疲れた感じで、セシルはリビングのソファーに腰かける。


「ねえ、リリア?」


「どうしましたか、セシルさん」


ソファーの傍らにリリアも来る。


「さっき会ったセフィーラとエールだけど……あの二人が参戦したとして、貴方はデミスをなんとかできると思っているの? 私は絶対に無理だと思う」


「確かに無理だと私も考えています。あの二人ではデミスを倒せないでしょう」


「だったら、20億も無駄になっちゃうじゃん……一緒に戦う私たちの生存率にも関わるのよ? 杏里にも頼めないの?」


「私も杏里さんが一緒に戦ってくれるのなら心強いです。しかし、もしそれでも駄目だった場合を考えると……」


「そう……よね」


いつも強気なはずのリリアから、セシルは弱さを感じた。


わずかにでも希望を残していたいのだと。


そのせいで今回は戦力不足の状態でデミス戦を凌ぐ必要がある。


もうすでにセシルは嫌な予感を感じていた。


「……とにかく、ジスにも知らせないと」


思い出したように、セシルは語る。


セシルはソファーに置いていたバッグからスマホを取り出し、ジスに連絡を取った。


少しの間をおいて、ジスが空間転移のゲートを潜り、リビングへやってきた。


「先程は大変失礼しました」


やってくるなり、ジスは謝罪の言葉を口にする。


「構いません、私は怒ってなどいませんよ。R・クァール・コミューン内で耐性のない者はあの反応を見せてしまうものなので」


「もし私がビンタしなければ、今日から仕立屋になっていたよ。礼ならいいの、私に感謝しなさい」


リリアとセシルは真逆のことを話している。


「ありがとうございます」


ジスはどちらにも通るような単語を選んだ。


「ひとまず、ソファーに座りなさいよ」


二人にセシルが呼びかけ、リリアはセシルの隣に座り、ジスは座らずにそのまま立っている。


リリア・セシルのスペースを削ってまで座ろうとしない。


「エールさん、セフィーラさんに対デミス戦での協力が得られました」


リリアがジスに伝える。


「それは凄い。二人ともR・ノールコロシアムの上位ランカーたちじゃないですか。エール、セフィーラの両名が味方についたのならそれは頼もしい限りですね」


先程見せたリリア、セシルの反応と異なる。


まさにそれはデミスに相対したことのない者の反応。


「実はあんまり……って感じなの」


セシルの表情は硬い。


「あの上位ランカー二人が一緒でもですか?」


ジスは驚きを示す。


「我々は五人で、たった一人を相手にするはずですよね? デミスとは一体どのような者なんですか? 教えてください」


「デミスは……」


リリアがデミスについてを説明しようとした。


しかし、二度戦ったリリアであっても恐るべき強さを誇る者としか分からない。


命を懸けてまで倒したいと考えている者なのにもかかわらず、自らが知ることとはたったそれだけ。


デミスについてをリリアは知りたくなった。


「私もデミスについてをよく知りません。私と同じく徒手空拳で戦う、魔導人のファイターだとしか」


「ファイターじゃなくて、パラディンじゃなかったかしら? 興味ないけど」


なんとなく覚えていたセシルが訂正する。


「パラディン? 確か聞き覚えがあります。総世界史の文献に、過去に実在した兵種として載せられていました。あえて人を殺さず、戦い続ける猛者であると。しかし、その兵種は数万年前には消失したはずです」


「数万年前?」


ふと、リリアは思い当たることがあった。


デミスは封印を解いた際の時間経過の認識に乏しいことを。


まさかと思うが、封印は時間という概念から対象を切り離す方法なのでは?


御印の役割は、デミスを単に生き長らえさせていることに他ならないのでは?


しかしそれが事実だとして、なぜ時間から隔絶されていてもデミスは普通でいられるのか。


考え込んでもリリアには分からなかった。


「おそらく、封印されていたからでしょうね」


「私は思うのです。戦っている相手を殺さずに次々と打ち倒していく戦い方は、とても尋常な行為ではありません。その時に倒しても回復魔法さえ唱えられれば、すぐさま戦線に復帰できてしまいます。しかし、それでもなお歯が立たず、封印という手段におよばなくてはならなかったのですよね。そのような相手とどうやって戦いますか?」


「……それを今から考えるのよ」


セシルが語る。


今の話を聞いて、余計にセシルの気持ちが萎えていた。


実際にデミスはスクイードたちを殺さなかった。


あれだけの強さなのに、懇切丁寧に威力を調整して優しく戦ってあげていたのだろう。


とりあえず、三人で作戦会議に入る。


デミスと戦ったことのないジスに限り、色々と案が浮かんだ。


怖いもの知らずという意味ではなく、デミスと相対していないための反応といってもいい。


当然ながら、デミスと戦ったリリアとセシルは良い案が浮かばなかった。


あえて相手の攻撃を全て受けきってから、己の武力だけを頼りに全てを打ち倒している猛者。


それを見てきたリリア、セシルはとてもデミスを過小評価できず、まともな対応策など浮かばない。


「仕方がありません……」


一時間程の作戦会議を経て、リリアが諦めたように言葉を発する。


「出たとこ勝負で行きましょう」


はっきりした口調だが、リリアの目が泳いでいる。


本当はリリアが一番不安だった。


「とりあえず、リバースの二人を前線にしてデミスをいくらか削ってもらうのが手じゃないのかな? リリアだって文句はないはずよ、だってお金を払うのだからそれくらいはしてもらわないと」


「それも……そうですね」


リリアの声に力がない。


「リリアさん、私もいます。私にも頼ってください」


ジスが自信を持って語る。


「ええ、頼りにしていますよ」


相変わらず、リリアの目が泳いでいる。


リリアは嘘を吐くのが、とにかく下手。


本当は自らの勝利もありえないと考え出している。


「予約をしなくてはいけませんね……」


リリアはスマホを取り出し、R・ノールコロシアムへ連絡を取る。


戦いの場をR・ノールコロシアムにしようと考えていた。


連絡を取った結果、一週間後であればフリーで貸せるリングがあるとの返答があった。


リリアは事前予約を入れ、デミスと戦う日程が決まった。

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