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訳アリ姉妹  作者: アーク
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魔道王国

ソレイユ王国とセレス王国は元々、魔道帝国グリモワールと言うひとつの国だった。


遙かむかし時の皇帝が夭折したおり、皇帝の甥ソレイユ公爵と皇帝の従兄弟の嫡子セレス公爵が皇位継承を争い、結果として巨大な帝国は2つの国へと分かたれた。


小競り合いは現在でも続いており、セレス王国の貴族であるシアンとソレイユ王国の貴族であるマーガレットとの婚約は、そんな両国が和平へと歩み寄る為の両王家の意図が絡んだ政略結婚でもある。


多くの民衆が、国の上層部の考えを理解する事は難しく、シアンが生まれ故郷であるセレス国内を歩く際には美桜の用意した面を付けて正体を隠す様にしている。


曰く、美桜の故郷である東方の国ブロッサムに伝わる由緒正しき祭具でもある面なのだそうだが、口が変わった方向に曲がった男の面は逆に注目を集める気がしてならない。


リリーの村には竜族が多く暮らしている。


竜族は長い耳とツノを持ち、その身体には鱗が生えているのでこの面もある意味違和感は無い。


ただ、シレナの里以外で竜族が多く暮らすこの村で特定個人を見付け出すのは難しいかもしれない、と考えていると、幼女が声を掛けてきた。


「誰か、お探しですか?」


シレナの里では血を分けた伯爵家の人間以外は

「人の世界に関わってはならない」と言う掟のもと、幼子ですら話しかけては来ない。


驚きつつ、「マック、と言う人物を探している」と伝えると「...ついて来てください」と幼女は言った。


「カロは、説明するのがニガテです」


カロ、と名乗った幼女は、様々な土地を旅するマックから世界や知識を学んでいると言う。


「知る事は良い事です」


半目で、表情が変わらないのでどこまで本気か分からないが、ついて行くしかないのでシアンはカロの後をついて歩いた。


リリーの村外れの洞穴を進んだ先に、若い竜族の男性が釣りを楽しんでいた。


「釣果はどうですか?」

「ボーズだわ。どうも、釣りの神様に見放されてるなー」


男性は振り向くと、「アスカロン様?!」と驚いて腰を抜かしていた。男性の様子を気にする事なく、カロが事情を説明すると男性は直ぐに居住まいを正してシアンを見た。


「マーガレット様の婚約者様が、何故こんな辺境の村に来たんだ?」

「フィニ侯爵から、コーデリア嬢の捜索を依頼されたんだ。マリアと言う少女から、コーデリア嬢が今リリーにいる、と言う旨の手紙を受け取った、と聞いて来たのだが...」


「生憎、ここにコーデリアはいないよ」、とマックは告げた。3年前に失踪して以来、リリーには戻って来てはいない、と言われてしまい、また、振り出しか、とシアンはため息をはいた。

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