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訳アリ姉妹  作者: アーク
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情報収集

ソレイユ王国マギノア地方にある、小さな村。


首都からは馬車で3日程のこの村にかつて侯爵家は居住しており、貴族らしからぬ奔放な領主アーノルドは村人達から慕われていた。


アーノルドは【赤い目】の娘が産まれた事で北方の湖に浮かぶ小さな島に家族と僅かな使用人と共に移り住む様になり、村人達は涙を流して侯爵家の人々を見送ったと言う。


「【赤い目の娘】は生まれて直ぐに処分された、と聞いているよ」


そう語る老婆に礼を言い、シアンは一息ついた。


「産まれた場所に立ち寄っているかもしれない、と思ったが、外れた様だ」


コーデリアを養育しているマックと言う人物は北の国ロゼの霊峰にある竜族が暮らす村の出身で、コーデリアが失踪する以前は良く彼女を連れて様々な場所を旅していたと侯爵に聞いた。


シレナの里で情報収集をすれば1発で見つかる、とは頭では理解しているのだが、あの里の様子を考えると足が重くなってしまう。


伯爵家は遠いむかしに竜族と契った為に歓迎されているが、分家から養子として入り跡取り教育を受けているシアンは「ただの人間」として扱われている。


養父と里に足を運べばまだマシだが、伯爵家の跡取りとして、ひとり赴いた時は長老ですら口を利いてはくれない。


竜族が他種族との交流を忌避する傾向にある事は理解してはいるが、血を引いてはいない、とはいえ、次期当主なのに、と常々感じている。


「マック殿は、わざわざ人間の屋敷に奉公に上がっていたのでしょう?ならば、好意的に受け止めて貰えるかもしれませんよ」


護衛騎士の美桜はそう言うが、初めて次期当主として里に足を踏み入れた時の針のむしろの様な視線を思い出すと身震いしてしまう。


マックは変わり者で、同じ竜族からも煙たがられているらしく里を少し離れた霊峰の山麓に居を構えている。

竜族の棲む霊峰を探索するには、長老の許可が必要となる。


どうしたものか、と考えていると10歳前後の少女が「ねぇ」と話しかけてきた。


「マックおじさんの事、マリア知ってるよ!今よりもっと小さい頃に、良く遊んで貰った!」


マリアはマックと、その養子だと言うコニーと言う少女に遊んで貰った事があるのだ、とにこにこと笑って口にした。


「コニーはね、前髪がすっごく長いんだよ」


マリアの語るコニーがコーデリアだとすれば、【赤い目】を隠す為に前髪を伸ばしている事は容易に想像出来た。


「コニーに、文字を教えて貰ったの。3日くらい前にきたお手紙に、今はセレス王国のリリーにいるって書いてあったよ」


お兄さん達、コニーを探してるんでしょう?と笑顔で言うマリアから有力な情報を得た事でシアンは肩を撫で下ろした。


(本当に、分かりやすい御方ですね...)


美桜は呆れながらも、直ぐにリリーに出立する、と言う主人の横に並んで歩いた。

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