新たな力
試験終了まで40分を切った
カイは自信満々に出ていったボルトをジンに重ねていた。
「帰ってきたら、一緒に釣り行こうね!」
[ああ、俺の方がでかいの釣ってやるよ」
そう言いながら出ていったものの、ジンは帰ってこなかった…
ボルトのことを信じていたが、やはり心配だったのだ兄と同じようになるのではと…
「やっぱり、俺も行こう…」
再び渓谷に来たカイは唖然とした
地滑りによってさっき来た時とは形が変わっている
(くそ、やっぱり嫌思いが的中した)
カイは必死にボルトを探した、すると海底に横たわっているのを見つけた。だか、海流が強すぎてとても助かることができない。
「O2システムが使えれば…俺も一緒に行っていれば」
カイは自分の行動を悔やみ、うつむいてしまった。
その時、足物に何か落ちていることに気づいた
「これって…Oクリスタル!」
ボルトは意識を失いながらもなんとか渓谷の外に届けてくれていたのだ。
カイは心を奮い立たせた
(ありがとうボルト、こんな俺に信じて託してくれて、本当にありがとう…)
そう心の中で思いながら
Oクリスタルを箱に挿し込んだ。
すると光を放ちながら箱が開いた
「O2 SYSTEM ‐ TUPE A」(O2システムタイプA)
と刻まれた六角形のメーターがついた金属と宝石でできた、筒状の小さなボンベが出てきた
(どうやって使うんだ、このバルブを回すのか?)
バルブを回した瞬間カイは白い泡のような物に包まれた、それはダイバーにとって最強の盾であり最強の矛である。
「息が‥できる!それに全く冷たくない、これならボルトを助けられる!」
〔酸素残量100% 取り扱い説明…〕
「そんなこと今はいい、まずはボルトを…」
カイは全身を動かし、水を切り裂きながら走った
「すげー!俺、海の中を走ってるよ」
カイは初めての体験に興奮を抑えきれないままボルトの元に走った。
(ボルトもう少し待ってくれ…)
ボルトを脇に抱えたまま回収に向かった
「とりあえず五、六個貰っていくか」
カイはOクリスタルをポケットの中にガサツに詰め込んだ。
(よし、後は会場に戻るだけだ)
目的を達成し安堵したのも束の間、衝撃の事実が飛び込んでくる。
「試験終了まで後20分!ボルトを抱えたままじゃ間に合わない、どうすれば…」
〔取り扱い説明〕
「また喋りだした?」
〔このスーツは胸を叩いていただければ酸素を消費することで、高速移動することができます。〕
「高速移動、それなら間に合う」
カイは自分の胸を思いっきり叩いた
〝どっ”という鈍い音が鳴る
その瞬間、カイは自分の体に異変が起こったと確信した、全身に滞りなく血液が流れ、全身がだんだんと熱くなる。
(なんだ…身体中が熱い、体のあちこちで血が動き回ってる)
「周りが遅くなってる…いや俺が早くなったのか!」
その速さは、さっきとは比べものにならなかった、物凄い轟音と共にあらゆる物を砕きながら進んだ。
異変が起こっていたのはカイの全身だけではなかった
「メーターがガンガン減ってる!これそんな酸素食うのか!」
(まあいいや会場までフルスロットルだ!)
カイは走った待っているサルサ、アランそして身をていしてクリスタルを託してくれた
〝ボルト”のために…