新たな仲間?
「単刀直入に言おう、私と組まないか?」
声をかけてきたのはさっきの銀髪の男だった。
突然のことにカイは困惑していた
「おっと、すまない自己紹介が遅れた」
男は頭を下げた
「私の名はサルサ、歴史の研究をしている、さっきの君の度胸に感銘を受けた。ぜひ私と組んではくれないだろうか?」
と実に誠実そんな男だとカイは感じた
「うーん、どうしようか」
と悩んでいると、カイは腕を掴まれた
その少年はカイと同い年に見え、茶髪で頭に深緑のバンダナを巻いていた。
「おいおい、そんなガリ勉やめて俺と組もうぜ」
(なんなんだコイツ腕を掴まれたことに全く気づけなかった)
「俺はボルト、あんた見た感じ強そうだな」
サルサは割って入ってきたボルトに声を低くする
「聞き捨てならないな、君は私より会場に着くのが遅かったではないか」
「あぁ、そりゃ島からそのまま泳いできたからな、船に乗って来たのろまが調子乗ってんじゃねーよ」
「貴様‼︎」
2人はカイそっちのけで揉め始めてしまった
どうにかこの状況を落ち着かせることはできないだろうかとカイは戸惑う。
「おいおい、みんな仲良くしよーぜ」
とさっきの赤髪の青年が2人の襟をまるで子猫のように軽々と持ち上げた
「誰だ貴様何者だ!」
「邪魔すんじゃねー!」
と2人は赤髪の青年にかみついた
「まあ、そう言うな、みんなで協力した方が楽しいし、見つけやすいと思うんだが、お前もそう思うだろカイ坊」
カイはその声に聞き覚えがあった
「もしかして、アラン兄?」
「やっと気づいてくれたか、嬉しいぞカイ坊」
この男はカイの兄ジンの旧友であり、カイが兄の次に慕う男だった
「全然気づかなかった…3年ぶりくらい、それにしてもなんでこの試験に」
カイはアランが医者をしているのを知っていたため、今更ダイバーになりたいことの意味がわからなかった
それを聞くとアランは笑いながら答えた
「そりゃ、お前と同じでジンを探すためだよ」
カイは驚きながら食い気味に尋ねる
「アラン兄も兄貴を探してるのか」
「おう、あいつが死ぬわけねえーからな」
と答えるとアランはサルサとボルトに提案する
「で、どうすんだ…みんなで協力した方がすぐ見つかるし、楽しいと思うんだが」
少しの沈黙の後
「じゃあ、それでいいよ」
「私も異論はない」
とボルトとサルサは渋々了承してくれ、その場は治った
「よし、それじゃあ早速作戦会議と行きますか」
アランの声に3人は頷く
サルサが中心となり、作戦を立て始めてから15分ほど経った。
「それでは、3人に作戦を説明する」
「まず、私とアランがOクリスタルのありかを探してくる、そしたらカイとボルトに交代だ」
「わかった見つけたらすぐに知らせてくれ」
カイがそう言うとボルトが不満そうにつぶやく
「本当に大丈夫なのか、こんな奴に任せてやっぱり不安だね…」
「少なくとも、お前のような馬鹿とは違うのでな、もしかしたらお前の出番など無いかもな」
「なんだと!」
「やるか!」
「元気だなお前ら」
「もういいだろ2人とも、アラン兄も笑ってないで早く行って来てくれ!」
(本当に大丈夫かよ)
とカイは内心疑心暗鬼になった
「それでは、行ってくる」
「くれぐれも、無茶すんなよ」
カイはさっきと逆送り出す立場になった
(叔父さんもこんな気持ちだったのかな…)