被虐趣味
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
耽美奇譚です。残虐趣味的描写があります。
苦手な方はご注意下さい。
日曜日の午後、僕は個人経営の喫茶店に居た。値段は平均的、味も平均的、取り入って魅力あるものと言えば、此処の女将だろうか。何処か未亡人めいた薄幸そうな色白に、これまた同じ匂いのする翳りのある目がぐっと埋め込まれている。大層な美人という訳でもない。けれども付け入りそうな雰囲気は何時だって心を擽りにかかる。
僕は黙ってティーカップを傾けながら、ちらり、ちらりと支給をする女将に目配せをする。相変わらず青白く、地に足の着いていない顔をしている。
木目の扉が開いて、男が一人入り込んで来た。黒の学生服に帽子。それに眼鏡と来た。見るからに真面目そうな外見。女将は客の相手をする為に、その学生に近寄った。
「いらっしゃいませ。お一人でしょうか?」
「ええ。でも先客が居るのでお構いなく」
学生服はそうにこやかに笑うと、僕が座ったテーブル席に向かって迷うこと無く歩いて来た。狐の様に笑って前を陣取り、長い脚を組む。全く、友人だからと言って、傍若無人な所は感心しない。死んだ目で学生服を睨むと、何処吹く風と言ったように口笛を吹いた。
「そう睨むなよ」
軽快な言葉と共に、彼は鞄の中から一冊のノートを取り出して、何やら書き留め始めた。どうやら筆談を行う予定らしい。
――君、あの女将に惚れているのかい?
――惚れるというよりは興味がある。あの薄幸そうな顔がどうにも好奇心を擽って堪らない。
「ふふふ……」
堪えきれないという様に口元を抑え、蠱惑的に笑う。人を誑かしているようで、やはり良い気はしなかった。彼は女将を一瞥すると、また筆を走らせる。
――噂によると、あの女将は大層な被虐趣味であるそうだ。毎晩、夫にしめ縄で縛られ、鞭で打たれて居るそうだ。
「その名残かもな」
――薄幸そうではあるが、陰気さがない。ただ不幸な乙女として昇華されている。それはあの女将が。
「堪らない被虐趣味に他ならないだろう」
相手が言うのを見越して口を開いた。彼はそれを聞いて、静かに手を叩いた。音が出ないように肌同士を合わせるだけのもの。
「女将さん、注文を」
「ただいま」
彼の言葉を受けて、ぱたぱたと此方に駆けてくる。注文をメモしようとした際に、僅かに袖口が捲れ上がる。そこに現れたのは、蚯蚓脹れだった。何度も鞭で打たれた様な。腫れぼったくも扇情的。女将はそれに気づいたら様子はない。
「僕も紅茶を戴きたい」
「かしこまりました」
女将が本当に被虐趣味なのかは分からない。夫に毎晩、虐待めいた行いをされているかも分からない。だが、薄幸さを“みずぼらしい”という言葉だけで済ませないのは、やはり彼女の性癖に由来するものでは無かろうか。
以外、何でも許せる方向け。
エログロ、残虐趣味的に耐性がある方のみ、宜しく御願いします。
何処まで書いて良いのか分からない耽美奇譚。
構想しているのが結構な曖昧ゾーンなので。
もっとエグくしたいなぁと思ってます。
あ、『残酷な描写あり』のタグありましたね。
と言う訳で、次はそんな話を書いていきたいなぁと。
目隠し、縛り、鞭打ち、二人だけの秘密。
そんなネタで書いて行きたいです。