春雨
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「今日は雨だ」
「詩衣ってホント変わってるよね…」
「えっ?」
「雨降ってて喜ぶとか、お前はカエルかっ」
「とか言って、美嘉だって部活無くなって喜んでるじゃん」
「それはそれ、これはこれ」
「はいはい」
お昼休みも後半に差し掛かり
私たちは、次の時間の愚痴をだらだらと喋っていた。
「お前らの声うるさすぎ」
「まあ、主に美嘉だけどね」
「はぁ?和樹に言われたくないっての」
和樹、陽斗、美嘉、私は
小さいころからのご近所さんどうしで
かっこよく言えば”幼馴染”とか言うやつ。
「うわ、雨降ってきてんじゃん」
「そっちは?部活あるの?」
「当たり前だろ。サッカーは雨でもやるんだよ」
「水泳だってできるだろ?」
「屋外プールしかないの。風邪ひくでしょ?」
それぞれが部活に所属している中
高校生になっても、私はひとり帰宅部。
「じゃあ今日は弟君たちの面倒見放題だね」
「うん。まっすぐ帰って迎え行かなくちゃ」
「詩衣も部活入ればよかったのにな」
「ほんとにね。書道部とか立ち上げちゃえば?」
「私に部長とか向いてないしね」
「まぁ、昔からそうだったもんな」
「確かに」
キーンコーンカーンコーン_____
「やべ、坂田がキレる」
「じゃあまたね」
「うん」
チャイムとほとんど同時に先生が入室し
みんなが慌てて席に着く中
私は強く降る雨に耳を澄ましていた。