008_ざんねんな少女とガンマン。
うひゃぁ!
すごー!
乾いた破裂音が三回、それが全てを決定づけました。
吸い込まれるように、.41ロングコルト弾が、飛び、犬頭獣の犬頭の額を、撃ちぬきます。
「かかか、七面鳥を撃つより簡単だぜぃ!」
ちなみに七面鳥、”Meleagris gallopavo” はその文化的背景も含めて、混在漂着しています。
過去には外来種問題も多少発生したようではございますが、おおよそ他の、漂着生物群と同様に、自然環境へ組み込まれています。
顔色が本当に7色変化するというようなジョークが本気になった進化というか変化もしていたりしますが、概ね肉質に基本的な変化はなく、家畜化鳥肉の一種として市場に流れています。
また、特別な、祭日などの食材になるところも、文化的な同化を果たしていたりします。
家畜化された際に、多種多様な育成技術、それも混沌世界のそれ、によって、肉質さえ七色のものを持つものも開発されたりしています。
家畜化された鳥を銃で撃つほどには簡単なことであったよなぁというような意味合いで、
”Turkeyshooter” などと表現したりもしています。
今更ではございますが、使用されている言語もその背景文化を含めて多種多様な地方、時代の漂着物を元にしておりますので、それが奇妙にミックスされた物となっております、カオスですね。
ともあれ、”サンダラー”の銃口から立ち上る煙をどこか子供っぽい大げさな仕草で吹き消して、ガンマンは、くるくると、銃を回して、左腰に装着しているホルダにすちゃっとしまい込みます。
「怪我はないかいおじょうさん?」
「ないー!」
テンガロンハットを斜めに被り、キザに尋ねる、騎乗のガンマンです。
対して、少女は大きく両手を上げて、ニッパりと笑って答えます。
ありゃ?子供じゃん、幼女、というにはちょっと育っているけれど、スタイルとか言動とか、まんまガキじゃんかよ、格好つけて損したような気がするぜ。
と、ガンマン内心でがっかりします。
「ありがとー、おじさん!」
「そこはかっこいい、いかしたお兄さんで頼むぜ!」
「はーい、いかれたお兄さん、ありがとー」
「……わざとじゃないよな?”いかした”な?」
「?」
不思議な顔をしたのちに少女は、あー、と声を上げて、林の方を指差します。
ガンマンもそちらの方に視線を向かわせると、
数えることも嫌になるくらいの、犬頭獣がぞろぞろと、棍棒とかの原始的な武器を片手に、
小走りで、出現しているのでありました。
ガンマン、ニヒルに笑って、一言です
「あ、こりゃさすがにやべーw」