007_not荒野のガンマン。
すっごい、すっごい、
おおきい、ながーい、かおー、うまー?
ばーん!ばーん!
どごーん。
「はいよーシールバー♪」
歌うように節をつけ、手綱と拍車でもってして馬を操る”cowboy”
食肉用の牛は地方によってはメジャな家畜であり、それを肉食の凶暴な獣より守るための戦士としてのガンマンは、それほど珍しい職種ではありません。
その左手に握られているのは、少し離れた世界からの輸入品か、現地の銃加工業者による、それの完全コピー品でしょうか、もしくは、漂流迷宮の産物か、ともあれ、鈍色の拳銃です。
コルトM1877、若駒を意味する名前を冠した往年の名銃器です。仕様弾丸は、.41ロングコルト、通称”サンダラー”、ダブルアクションのイカしたやつです。
引き金を引くだけで、トリガーが戻り、薬莢のケツを叩くという、最高のギミックでありまして、連射性に優れています、ちょっとだけ、機構が複雑なので、ガンスミスが大好きすぎて、なかなか作業台から離れらないかもしれなやんちゃなボーイという感じでしょうか?
後期モデルはそれほど故障率は高くないようではありますが。
ちなみに.41は拳銃の口径を表していまして、銃口の内径が、100分の41インチであることを意味しています。
インチとは共通世界の度量系でありまして、mks単位系と二代派閥を競っている単位系でございます。”残念ね”の彼女が住んでいる世界では、ややヤードポンド法、それも米国式のものが優勢ではありますが、研究者やら職人の各人が趣味やらそれぞれの仕事の高効率化を図っている現状において、混在している単位系が混乱を招いている面も確かにあるようでございます。
*この辺りは、別項 スラング
”てめえインチだな” などを参考にしていただけると幸いです。
さて、基本犬頭の獣に限らず、彼らは、集団で狩りをすることが多いわけでございます。
最小単位は4匹くらいでありましょうか?
まれに、親子やつがいで2匹単位で狩りをしたりしていたりもします。
頭は犬そのものでありますので、知能もそれなりのものであるようでございますが、それゆえに、本能的に群れでの狩りを行い、はぐれが出ることは少ない、ように観察されているわけではありますがゆえに、
おかわり登場です。
村の北側には森林が広がっています。ある程度、獣対策として、下草やらを刈って、木造の柵から離れたところまで、見通しを良く村を配備しているわけでございますが、
その、林の切れ目から、3体ほどの犬頭獣が走り寄ってきます。
銃声に怯えた様子はなく、むしろその音に興奮したような、歯をむき出して、威嚇しながら、駆け寄ってきます。
栗毛の馬に乗った、華奢な青年は、ニヤリと笑って、手元の”サンダラー”をそいつらに向けるのでありました。