054_みちゆき、寄り道、誰の道。
ルート66を西へ時速40マイルほどの巡航速度で、移動中。
時刻は昼前、宿場町からは今朝出発。
ちょっと非常識なくらいな速度で馬が走ります。
いいえ、しっかり非常識です。
大人一人、子供一人を乗せて、息も切らさず、体もぶれず、淡々と疲れも見せずに延々数時間、走りっぱなしはまあ、普通ではございません。
基本同じパーティでありますので、取得した経験点がお馬さんへも流れています。
これがまあ結構な激戦を、いやまあ、軽く壊滅させていましたが、実際のところは、高levelの獣を退治していましたので、比例してお馬さんへもかなりの経験点が分配されまして。
かなりのlevelUPを果たしています。
ヒトと同じように、各種能力値へのボーナスが振り分けられまして、かなりの肉体的かつ精神的成長を果たしています。いやもう、内燃機関を搭載しているのかという馬力です。
お馬さん一頭なのに、百馬力くらいはあります。
馬一頭の馬力は百馬力だぞ、とか画像が作られるくらいに、ちょっとよくわからない状況に陥っているわけです。
当然知能も上昇していますので、そのうちに対話が可能になるのではなかろうかなとか、既にヒトの発言やらは理解しているであろうかなとか、既に低レベルのヒトより頭が良いのではなかろうかなという、存在に成り上がっています。
ちなみに同パーティ上に、ヒト種以外が存在して、成長した場合、倫理的な問題が発生したりいたします。
それほど難しい話ではなく、例えば、羊飼いとその羊が同じパーティであると判断されて、十分な経験を積んだ場合、賢くなった羊が大人しく家畜として存在し続けることができるのか、というお話でありまして。
これが、食肉目的で育てていた動物が対象であった場合にどうなるかというと、かなり悲惨な成り行きになる場合があったりします。
対話できる対象を屠殺して食料にするという流れは、まあ、こう、控え目に言って地獄かなという倫理観は、一応、混沌に塗れている世間にも存在するわけでございまして。
ゆえに、当たり前のお話でございますが、家畜を同じパーティに入れて、経験点を分配するという行為は、一般的には行われません。賢くなった家畜に対応することが、前述の通り後味が悪すぎるわけでございますがゆえに。
ですが、まあ世の中は広いわけでございまして。
経験点を注ぎ込んで、levelUPした食材は美味しいという文化もございまして。
いやもうそのような国や地域の文化はこれはこれで独特のものがございますがゆえに、対話可能な対象を食材にすることによる禁忌が薄いと言いますか、それそのものを神聖なものとして捉えていたり、それはそれ、これはこれで、認知が歪んでいたりすることもあったりしまして。
なかなかに、物語のネタとして重宝されていたりいなかったりするわけでございます。
「馬肉ってのもうまいんだよなw」
「じゅるり」
「かんべんしてください」
しゃべりました。
以降この馬はしゃべります。




