037_厄介ごとを高く買う。
「宿を探してるんだよ、そういえば」
「そうだったー」
当初の目的を果たそうとしています。
よろず厄介ごと解決ギルドにて夕食後、普通に珈琲とココアを飲みながら、店員に話しをふるガンマンでありました。
「はいはい、社員割の効くおすすめお宿ありますよ、ぶっちゃけここの上階なんですけどね」
バーテンダー件、よろず厄介ごと解決受付の青年が答えます。
”秘密結社”よろず厄介ごと解決ギルド、ですので、所属員は、社員になるのでしょうか?
構成員でもいいような気がしますし、
戦闘員とか言っても意味が通じるような気がします。
「社員証明って、黒いマスクを顔にかぶって奇声を発していればいいんだっけかな?」
「いー!」
怪しすぎるでしょう。
普通に身分証明書のカードで良いようでございまして、そもそも食事なのどの支払いもそれで済ませたわけでございますれば、問題ないわけでございます。
不思議技術で本人との紐付けが確実になされている身分証明書でありまして、謎素材で作られていて、頑丈かつ薄型軽量、機能としては、本人確認と仮想通貨のやり取りとかが備わっています。
「便利だから、お嬢のも作るか?」
「いいの?」
ガンマンさんの階梯が幹部クラスなので、そこからの紹介なら問題なく作成できるようでございまして、さっくりと、手続きが進み、……進み?
進みません。
「……そういやお嬢、名前なんだっけ?」
「”ざんねん”さん?」
いやさすがにそれはないなー、という雰囲気が、受付バーテンダーと師匠のガンマンのあたりで作られていきます。
「とりあえず、女ガンマンなら、”ジェーン”かなぁ?」
「うーん?」
「いや、それはまずくないですか?”ビリー・ザ・キッド”に”カラミティ・ジェーン”が揃ってしまいますよ?」
受付バーテンダー青年がツッコミを入れます。
「ししょーって”ビリー”ていうの?」
「本名だぜ!」
びばしっと、親指を立てて、片目をつむり、いたずらっぽく下を出す、ガンマンでありました。
「うーんじゃあ、”早きこと風の如し”で”ウインド”……じゃ可愛くないか」
「風つながりでシルフ”Sylph”とかどうです?こう最新鋭の戦闘機のような感じで」
そして結局、その語尾をちょっと変えまして。
「彼女のお名前は”シルフィー”で登録させていただきました」
ぱちぱちぱちと拍手が鳴ります。
「登録ありがとうございます。
秘密結社よろず厄介ごと解決ギルドにようこそです、ご一緒に最初の依頼はいかがですか?」
にこやかに、受付バーテンダー青年が語りかけてきます。




