014_とある牝馬の備忘録。
我輩は馬である、名前はまだ出てない。
どこをどうしてこうなったのかは、とんと覚えてはおらぬ、気がついたら、野原を駆けていた。
背に、我の飼い主を乗せて。
子馬のこれの記憶はうっすらとあるような無いような、ただ、思い出そうとすると、うっすらと幸せな感覚を伴うので、それほど悪いものではなかったのではなかろうかなと、予想する。
ただ、前後の繋がり、ここに至るまでの記憶が曖昧と申すか、そもそも、そのようなものがあったのかどうかとか、気になることしかり。
木の股から生まれるようなものでは無い、という知識があるがゆえに、ここまでのエピソードが不自然なまでに消えていることに違和感を感じているわけではあるが、実は馬並みの脳みそしか無いので、悩むことも続かない、のではなかろうかと。
甘い食べ物がうまい。
いつも世話になるな飼い主。
ばくばく、
美味すぎて馬になってしまうな、いや我輩、本当に馬なんですけどね。
うむ、汗をかいていたので布で体を丁寧に拭かれると気持ちが良い、
おお、かゆいところをブラッシングしてもらうと、心地よさが素晴らしい、
良い手つきであるなぁ、うっとりである。
一通りお世話が終わった段階で、飼い主と、一緒にいる少女が話をしながら、野営の準備やら食事の準備やらをしておるな。
飼い主は、雄であり、同乗した少女は雌であるようであるが、やはり番になるのであろうか?
我輩のご主人様を取らないで、とか、そのような態度を取るべきなのであろうか、
その反応は”美味しい”のであろうか、
芸人的に、
……いや我輩、馬だがなー
このように考えるに、実は我輩は、いわゆる一般の馬らしく無いのではなかろうかな、と、苦悩することも多少はあったりするわけではあるが、やはりその悩みも続かない、わけである、何せ我輩ただの馬であるからして、脳みそが小さいのである。
世の獣とかはこのようなことでそもそも悩み出さないのであろうなぁとか、感慨ぶかい感じで思考を続けるわけではあるが、基本能天気にできている馬感覚であるがゆえに、深くは続かない、のではなかろうかとか、予想するわけでござる、語尾がちょっとおかしいような気がするな。
飼い主というよりは、パートナーなのであろうかなとかも思ったりもするわけである、なぜなら、こやつ足が遅いからでるな、何せ二本しか足がない、こちとら、4本である、二倍であるぞ?
一足す一足す一足す一、で四ではないぞ?
全て掛け合わせて、一かける一かける一かける一で、合計一である!
……あれ?
違う違う、一の4乗で、……やはり一ではないか!
おかしいのである、足したら単純に倍になるのではなく二十くらいになって、二百倍だぞとか言いたかったのであるぞ、
まあ難しいことはいいのである、何せ我輩、馬であるからな。
名前はそのうち出てくるであろう。
へばな!




