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推しとなり  作者: 亜瑠真白


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ノーマルモードがデスモード5

「お待たせ!」

 私はカウンターで料理を受け取り、席を取ってくれていた斗真君と合流した。

「カレーとホットサンドにしたんですね。」

「うん!やっぱりこの2枚のカードが欲しくて。」

 席に着き、斗真君にカードを見せる。カレーの方についてきたのは、職業体験に来た2年生達がアクアピアの制服を着た集合写真。ホットサンドの方は、柱の陰から職業体験に参加しているメンバーの様子を伺う先輩、後輩達のカードだった。

「だってもう良すぎじゃない!?この集合写真、笑顔でダブルピースしてるらむねちゃんはもっちろん最高に可愛いし、その隣で照れてる愛実ちゃんとか、聖那ちゃんに寄りかかって眠そうにしてる涼ちゃんとか、メンバーの個性が溢れ出てるよね!それに、こっちのカードは心配そうに見守ってる表情が愛おしい!他の2枚も今度貰いにこよっかなぁ…斗真君はカレーとホットサンド、どっちがいい?」

「じゃあ、カレーで。」

「りょーかい。」

 私はカレーが載ったトレーを斗真君の前に移動させた。

「それじゃあ、いただきます…ん、美味しい!」

 ホットサンドを一口頬張ると、こんがり焼けたパンの中からとろっと溶けたチーズとジューシーなベーコンの風味が広がる。

 ふと視線を感じて正面を見ると、斗真君がニコニコとした表情で私を見ていた。

「どうしたの?もしかして、顔になんかついてる!?」

 慌てて口元をぬぐうが、それらしきものはない。

「すいません、そうじゃなくて…その、ホッとして。」

「え?」

「だって菜々子さん、今日の朝からずっと様子が変でしたよね?口数は少ないし、いつもと違って不自然というか…でも、いつもの菜々子さんが戻ってきて安心しました。この場所を選んでよかったです。」

 不自然なのバレてたかぁ…でも今、斗真君に言われるまで朝の不安な気持ちは完全に忘れていた。斗真君がここに連れてきてくれたおかげだ。勝手にあれこれ悩んで楽しめないなんてもったいない。不安要素は一旦棚上げして、今この時を目いっぱい楽しもう!

「心配かけてごめんね。でも今はこの通りすっかり元気だよ!斗真君のおかげですっごく楽しい!」

「そうですか。僕も、楽しそうにしている菜々子さんが見られて楽しいです。」

 そう言って斗真君は嬉しそうに笑った。


 昼食を終え、私達は再び順路に戻った。斗真君が館内マップを開く。

「次は海獣のコーナーみたいですね。」

「いいねいいね!斗真君は何好き?」

「ペンギン可愛いです。」

「あー」

 脳内に斗真君とペンギンの姿が浮かぶ。一羽のペンギンにじゃれつかれて、困ったように、でも嬉しそうに笑う斗真君。可愛いと可愛いの組合せって最強すぎるでしょ…!

「斗真君、何羽も集まっちゃったら私がどうにか対処するからね!」

 斗真君が揉みくちゃにされるのは流石にペンギンといえども許可できない。

「何の話ですか?」

 不思議そうに首を傾げる斗真君。そうだ、普通はペンギンと触れ合ったり出来ないんだった。つい妄想が爆発してしまった…

「ごめん、何でもない。ペンギン楽しみだね。」

「?…そうですね。」

 順路に沿って進んでいくと、ペンギンがいるコーナーについた。岩場のある水槽には30羽以上いそうなペンギン達が、歩いたり泳いだりしている。

「可愛い…!」

「ここにも音声案内があるみたいですよ。」

「それは聴かないと!」 

 私はヘッドホンを装着し、ボタンを押した。

『ここは私、大沢愛実が紹介するよ。この水槽にいるのはケープペンギン。ペンギンって南極とか、寒い場所に住んでいるイメージがあるかもしれないけど、このケープペンギンは南アフリカ大陸の沿岸部に住んでいるの。名前についている「ケープ」っていうのも、南アフリカのケープタウンからついたって言われているんだ。パタパタ歩く様子が可愛い…で、でも!私の一番可愛いは小鳥遊らむねちゃんだもん!…って、本人に聞こえてたらどうしよう!』

 愛実ちゃん…いつかその想いを素直に伝えられる時は来るのかな…?

 私はヘッドホンを外した。そして斗真君の方を見る。

「もう少し、ここの水槽を見ててもいいかな?」

「もちろんです。」

 その返事を聞いて、視線を水槽に移す。こういう場所はいろんな物語があって見ていて飽きない。

「ねえ、斗真君見て!あっちの岩にいる三羽、ポーズ取ってるみたいじゃない?」

「本当だ。面白いですね。」

「そっちのプールにいる子は岩場に上がれなくてバタバタしてる!」

「うわぁ、惜しいですね。頑張れ!」

「おお!よかった上がれて。ふふ…みんな可愛いなぁ。」

「僕はそんな菜々子さんが一番可愛いです。」

 完全に油断していて一瞬言葉は耳から通り過ぎて行った。

「…え!?」

「もう少し見ていきますか?それとも先に進みます?」

「え、あ…えっと、じゃあ進みます。」

「分かりました。次はイルカのプールみたいですよ。楽しみですね。」

「そ、そうだね…」

 これだから天然人たらしは…突然放たれた弾丸に、鼓動が早くなった。

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