表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々のイデア  作者: 花都
クーデター編
39/70

第三十章 篝(前編)

 けっこー居んじゃん、刺客。マジで将軍気づいてねぇの?そーゆー作戦なの?っつーコトは向こう、俺らの状況知ってんの?

 意思疎通出来ねぇ挙げ句、コッチ全身ギットギトなんだけど。んなコトある?向こう今何してんの?

 

 てな感じで進んでたら、パタタッて壁越しに軽い足音が聞こえた。

 ぜってぇ武人じゃねぇな。マァ奇襲だし、さすがに逃げ遅れもするわな。っつーコトは侍女?

 足音が向かってんのは回転扉の方。俺もソッチ行きつつ、五感総動員で周囲を探る。

 

 屋敷裏門の兵舎方面からざっと二十人、距離二十丈。さすがにすぐ追いつかれやしねぇが、ちょっと危ねぇな。

 助けるか?イヤでも平の侍女だったら、『五本槍』()の存在バレちゃマズいワケで。

 

 あークソ、答え決まってるくせ何やってんだ。

 タラタラしてっと、あの娘が八つ裂きにされちまう。

 

 腹括って開けた扉の先にいたのは、今一番会いたくねぇ女の子だった。

 

 何でこの子外にいるん?状況的に考えて、あん時エリィが通路に逃してんだろ。

 イヤアレか、刺客と血まみれで逆に危ねぇから出てきたんか。あ、んじゃ半分俺のせいか。

 

「チアラ───」

 薄く開けた扉から手招きする。

 平常心、平常心だ。右手だけならギリ大丈夫なハズ。

「えっ?『白刃』さん⁈」

「おー、そっち危ねぇよ」

 右手の先しか見えてねぇハズなのに、チアラは何の疑いもなく走って来る。

 この子マジ警戒心ねぇな。ココは君が育ったよーな平和な世界じゃねぇんだよ、危ねぇだろ。

「ひゃ───痛、っ・・・」

 内心侘びながら引きずり込んだら、思ってたよりずっと軽いチアラは吹っ飛んで来た。

 

 げ。

 

 咄嗟に抱き止めはした。怪我しねぇようにいちおう。でもコレはコレで鎖帷子が痛ぇわ。

 しかも血の匂いしてそう。

 

「や・・・手荒にしてゴメンな。やっといて何だけど大丈夫?」

 イマイチ状況分かってねぇ顔で、チアラがかろうじて頷く。ケガしてねぇかとか色々聞きてぇけど、時間ねぇから全部カット。

「ゴメンな。顔上げねぇで何個か聞いててほしいんだけど」

 首動かせねぇよーに、抱きしめてるみてぇな格好のまま押さえる。

 

 さっきから可愛い子連れ込んで何やってんだ俺。奇跡的に生還しても後でエリアナに殺される。

 

「まず一コ目。疑いもせず寄って来ちゃダメでしょーが。俺が刺客だったらどーすんだ」

 デコピンで叱る。

 女の子に手ぇ上げたんも誰かに説教かましたんも、俺のくっだらねぇ人生で初だな。んで間違いなく人生最後。

「だって・・・、『白刃』さんの声だったから」

「ちょっと訓練したヤツなら、声マネぐれぇ出来るモンなの。ちゃんと気ぃつけねぇと殺されちまうぜ?」

「ご、ごめんなさい・・・」

「別に怒ってねぇよ。分かってくれたらいーの」

「・・・うん・・・あのね、エリィがどうなったか、知らない?・・・あの・・・チアラをね、逃がしてくれようとして。・・・・・・それで・・・・・・」

 途中から涙声になって。俺の上着を掴んでくる手つきが、マジで縋りついてるみてぇな。

「助けて・・・ほし、くて」

 華奢な肩が震えてる。

「あーね」

 しゃくり上げながらチアラが頷く。見てらんなくて、頭ポンポンする。

 なんか既に脳内エリィがブチ切れてっけど。

「だーいじょぶ。足挫いたらしーけど無事、ピンピンしてんぜ」

「ほ・・・んと?」

 顔上げかけたチアラを引き戻す。

「おー、なんか知らねぇけどすっげキレられたぜ、助けたっつーのに理不尽過ぎねぇ?」

「───ふふっ」

 チアラはまだ震えてる。けど、泣いてんじゃねぇのはすぐ分かる。

「ほんとに、大丈夫なのね」

「んなしょーもねぇウソつかねぇって」

「分かってるわ。ありがとうね」

「はいよ。コレで最後だし、ちゃちゃっと説明すっからさっさと行ってやんな」

 

 プラン通り行くと、この先を刺客が占拠してること。かと言って出ちまうと裏門から来た連中にカチ合うこと。

 早口気味に説明して、ちょい違う道を提示しとく。

 エリアナの目的地はこーゆー時用の屋敷外シェルターだろうし、侍女はもともと皆バラけてその予定だった。やっぱソコが一番安全だろう。

 刺客云々は過去形なんだが、「全部殺したから今血まみれ」とか言えるワケねぇし。

 んな穢れたコト、まっさらなこの子は知らねぇでいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ