第十八章 カウントダウン
腹が減った。
寒い。
体の底から寒い。
氷漬けの方がまだマシなんじゃねぇのか。
胃袋の辺りが変にスカスカして気色悪い。ロクに身体も動かねぇ、頭働かねぇ。
けど、そんなんフツーの感覚だ。満腹なんざなった事なかった。
捨て子は下民になるしかねぇから。
食い物、服、居場所、命。欲しけりゃ全部、奪うしかねぇから。
道端で行き倒れて泥舐めながら、俺ココで死ぬんかなっつってぼんやり考えて、あーまだ考えてんな、まだギリ生きてるわ、って生死の境目を掴もうとする。
まだ死にたくねぇ。俺の人生こんなもんじゃねぇ。
けど生きてんのも気色悪い。内臓の中ずーっと空っぽだ。
誰も通んねぇ。草も生えてねぇ。もうコッチより向こうが見えてんじゃねぇのか。
今のコレ、生きてるっつーコトなのか。もう死んでて、死んでるコト気づいてねぇのか。
それすら分かんねぇ。
そーやって、どーにか十年生きてきた。奥方様に拾われて、血の池渡るまで。
***
瞼を開ける。
あんまり焦点合わねぇから、開いたってのに気づくまで数秒かかった。
「・・・んあ・・・?ドコだ此処」
枕元でぼんやりしてた方、長い黒髪の娘がパチっと目を開いて覗き込んでくる。
と、横でうとうとしてた金髪の娘を乱暴に揺すった。
「チア!チア!起きた!『白刃』起きたよ!」
チアラは目を開けると俺の顔を見て涙ぐみ、そのまま覆い被さって号泣。大号泣。
アレ俺、死んじゃった・・・?
「馬鹿!ほんと馬鹿‼︎チア泣かせるとか最低‼︎」
「痛ってぇな!叩くんじゃねぇよ!エリィてめぇ怪我人の扱い分かってねぇだろ!」
「愛称で呼ばないでくれる⁈あたしはエリアナよ!」
「ハイハイ、エリアナさんよ。んでチアラ悪りぃがちょっと退いてくれねぇか?起きらんねぇ。・・・あのー、聞いてる?」
チアラには見えてねぇのか?もしかして俺、実はユーレイ・・・
「あー、俺どんぐらい寝てた?一週間ぐらいか?つか奥方様無事か?」
「はあ?一週間?一週間なわけないじゃないのよ!一月半よ!あたしたちがどんだけ辛かったか知らないでしょ!匙投げなかっただけ感謝しなさいよね!」
あ、良かった会話成立してる。
「なんつー最低な医者だよ。んで、奥方様とお世嗣どうなった?あとチアラ頼むから───聞いてる?おーい」
「わあああぁぁん!だって、だってみんな起きたのに!『白刃』さんだけ、いつまでも目覚めないんだもの!心配したの!大変だったの!助からないのかなって、もう会えないのかなって、怖かったの!死んじゃうかと思ったよぉ〜!」
駄目だコレ会話できてねぇ。
「おーい?奥方様はー?」
生きてんだろうな?
コイツらの感じからすりゃピンピンしてそうだけどよ。
「御存命よ!生きてるに決まってるじゃないのよ!リエル様も御無事!怪我の身で半月前から五柱会議に参加されてるわ!」
相変わらず元気だなあの人。あとまず起き上がらせてくれよ。何なんだこの状況。
「楽しそーだな、めっちゃ群がられてるぢゃねーか。流行ってるのか?オレもやるー」
まさかの『闇夜』乱入。
「うおい待てコラ潰れるわ!総体重幾らになると思ってんだよ!」
体重の話が出た瞬間凍りつく女たち。やっちまったと後悔するが遅い。
「レディに体重の話なんかするんじゃないわよ!デリカシーなさすぎ!馬鹿なの⁈」
「酷い!気にしてるのに!」
「痛い痛い痛い痛ぇよ!」
二人から一方的にぺちぺちボコられる俺。うわー可哀想。
「自分で言ってるぢゃねーか」
「きゃあぁぁ本当!」
だから叩くな痛ぇ!『闇夜』殴れよ!俺言ってねぇし!
「・・・・・・」
開いたままの襖から『紅』が入って来た。
助けてくれ。
「───『紅』?何だソレ」
「白菜だ」
「あー、そーだな。白菜だわ。で、何で持ってんだよ」
「見舞品だ。目覚める頃かと思い購入した」
「・・・・・・」
白菜?見舞いに白菜?しかも四分の一?何で?鍋でもすんのか?
助けを求めて辺りを見回す。
怪我人を挟んで騒ぐチアラとエリィ。やたら爆笑する『闇夜』。例のごとく迷走する『紅』。
・・・俺は考えるのをやめた。
***
やっと起きた!とか感動されたのも束の間、起き上がるより先にツッコミ地獄を食らわされ、またぶっ倒れた俺が目覚めたのはそっから二刻後。
「・・・・・・うえええええ・・・」
なんかもう踏み潰されたカエルみてえな声しか出ねえわ。
「あの・・・いきなり泣き出したりして、ごめんなさい。体とか、痛くない?」
首回したら、側で見ててくれたらしいチアラと目が合った。
いつものメイド服に白い大判エプロン掛けて、ふわふわのくせっ毛をツインテールにしてる。
あー、癒される。超かわいい。
「痛ぇのは痛ぇけど平気。てか毎回毎回世話かけてゴメンな。チアラの方がキツいんじゃねぇの?」
「チアラは、平気。だいじょうぶ」
言うや、黙り込んで自分の膝あたりを見てる。
なんかやたら歯切れ悪りぃな。いつももーちょい喋ってくれんのに。
大丈夫なハズだとか、キツいのに無視して言い聞かしてるみてぇ。
「チアラも寝た方がいんじゃね?ずっと無理してんだろ?おかげさんで俺もアイツらも元気だし、ありがとな」
こりゃまだ何かあるな。
無言でこっくり頷くけど、言おうか言わねぇかっつーカンジで目ぇ泳いでる。
「なぁ、違ったらそれでいーんだけどさ、何か悩んでる?」
イチかバチか聞くだけ聞こう。
違ったら目も当てらんねぇが、こんだけお膳立てしてくるっつーコトは何か言いてぇか聞いて欲しいんじゃねぇか。
「・・・・・・毒、が」
「?おん」
「植物から取ったものだったの。解毒剤もない猛毒で、体を麻痺させて心臓まで止めてしまうの。チアラが見たときには、二人とももう回ってしまってて」
泣かねぇよーにってチアラがちょっと息を吐く。
「助からないと思ったの。奥方様は指だったから、父様がお二人とも処置できたけれど、『白刃』さんも『紅』さんも、お腹を刺されて、あちこち傷だらけで。・・・どうして助かったのかなって、毒を分解する力なんて――」
「あるぜ?毒耐性。『雷』のなんざ別に――」
『紅』にとっちゃ大したコトねぇだろ、とか言いかけて、チアラが絶句してんのに気づいた。
「うそ・・・でしょ、なんで・・・っ」
なんで?
「や、そりゃ訓練したからじゃねぇの?」
「訓練・・・・・・」
「そ。あー、そんな泣くコトでもねぇと思うんだが・・・」
マジでゴメン、君の情緒が分かんねぇ。
「・・・・・・痛かったでしょ。奥方様が・・・、そんな」
「や、そんな言うほどの量でもねぇよ?チマチマ慣らしただけだしさ。飯食えねぇ方がよっぽどキツかったしな」
「・・・ごはん・・・そっか、食べれないことも、あったのよね・・・」
「まーあん時ゃアレだな、屋根あるトコで腹一杯食って寝れんだから、それ以外どーでもよかったっつーカンジかな。痛ぇっつっても膿んだり虫湧いたりするよりゃ全然マシだし」
「傷口に、虫・・・」
「一回あったんよな。あん時ゃマジで死ぬかと思った」
こーゆー暗くて珍しくもねぇ話、聞いてくれるよーなヤツいなかった。
だからっつって、何いらねぇコトまでくっちゃべってんだか。
「・・・そう・・・っ、ごめんなさい、知ら、なくて」
チアラがなったワケでもねぇのに、何回も何回もしゃくり上げて、それを必死で止めよーとして。華奢な肩が可哀想なぐれぇ震えてる。
「──泣いてくれんだな」
俺が泣かしたっつーのにハンカチもねぇし、槍ダコだらけの俺の手は痛ぇだろうな。
女の子泣かすとか最低だろ、マジで何言ってんだよとか思う一方で、救われた気になってんのも確か。
下民にとっちゃ至極普通のよくあるコトで、仕官出来てるとか嘘みてぇな話。
「なんか、ホッとするわ。貴族サマにもチアラみてぇな子がいるんだなって思うとさ」
「き、貴族様って・・・っ言わないで!」
「・・・ごめんな」
しょっちゅう世話になってるクセに、言われてみりゃ逆差別よな。
「毒じゃ死なねぇから気にしねぇでいーよ。特に『紅』はマジで効かねぇ」
「・・・無傷じゃないわ。『紅』さんが言ってたの。体がしびれて、動けなくなって来たから、ぎりぎりのところで逃げたんだって。吐血して倒れたって、奥方様もおっしゃってた」
「んじゃけっこう喰らってんな。アイツが怪我するとか珍しい」
「『白刃』さんも、ぜったい安静にしててね。お腹の傷、毒のせいでちゃんと塞がってないの。何度も膿んで、ただれて、ほんとにひどかった」
「おう。ごめんな、世話とか心配ばっかかけて。ありがとな。『闇夜』とか隊長とかはもう治ったん?」
「・・・ん。『闇夜』さんはね、奥方様といっしょに敵の短剣使いを罠にかけたの。でもね、作戦がばれちゃって、短剣使いと戦わなきゃいけなくなったんだって。勝てないと思ったから、出血をごまかして致命傷のふりをしたって言ってたわ」
ごまかすって何だよ。え?何アイツ手品師なの?
「『炎』さんは、庭園で忍びと、ジュノって言ったかしら?剣豪を足止めしていたの。爆発が起きたときは奥方様のほうへ行こうとしたけれど、火がすごくて近づけなかったって。奥方様と『白刃』さんが見えたから、退路を確保して将軍に連絡したそうなの。けがはひどくなかったから、奥方様について行ってるわ」
あ、ソコはスルーなん。
マァ『闇夜』だしな。今更か。
「あんがと、了解。ちな俺らって、全治あとどんくらい?」
「えっと・・・、んっとね、『紅』さんはもう治ってるの。『闇夜』さんは、あと、半月くらい、かな。『白刃』さんは・・・その・・・」
視線落として、居づらそうに身じろぎする。
良くねぇんだな。下手すりゃ治んねぇかもな。
マァ、傷だらけで腹刺された挙げ句、猛毒ブチ込まれてんのにピカピカに治る方がおかしいわな。
初めっから、薄々分かっちゃいたけどさ。俺はアイツらと違う。ズバ抜けた才能なんざ持ってねぇ。
「こーゆー役ばっかさせてごめんな。気ぃ遣わねぇでいーから教えてくれん?」
チアラが真剣な目で頷く。
喉がこきゅっと鳴った。
「短くて、三か月。長かったら・・・分からないわ」
短くて三か月か。
なんか拍子抜けしちまって、笑ったら不思議な顔で覗き込まれた。
「や、治るだけいーわ。何なら生きてるだけでありがてぇわ。腹一杯食えるし、楽しく生きれてっし」
こーやって世話焼いてくれる子も、心配してくれる子もいるし。
「・・・うん・・・・・・。そう、かも。・・・だからね、ぜったい死なないでね。お願い、生きててくれたら必ず治すから」
「死なねぇよ。ちょっとやそっとじゃ何ともねぇって」
「お願い」
伝う涙と必死の懇願。また泣いてんのは、俺が濁したせいなんだろうな。
「・・・分かったよ」
ごめんな。ホントごめん。
『五本槍』は全員、どーにも出来ねぇ時は奥方様の盾になって死ぬ。俺も含め、そーゆー連中。
奥方様がケッコー残酷なのも知ってて、共にその血塗られた道の先を見てる。
辿り着いた時俺らがいなくても、奥方様がその先歩いてくって信じてる。
その為だけに、秒で全部擲てる異常者。
俺が死んだらどんな顔すんだろ。どんだけ泣いてくれんだろうな。
死んじまったらなんも見れねぇけど。
傷庇いながら起き上がって、声も出さずに泣いてるチアラに笑いかける。
こんなキレーに澄み切った目で、真面に名前すらねぇ俺らの為に必死になって祈ってくれるチアラには、口が裂けても言えねぇよ。
***
翌日、未明。
仕込み杖を背に括り付け、小柄な暗殺屋は道無き山中を疾駆していた。
七人いる構成員が全員呼び出されるなど、滅多に無い。
大抵三、四人は任務に出払って居る。それだけ重大な知らせがあると言うことか。
何かと考えながら、木立の中をセラは駆ける。
リネラと異なり、秘密警察に領地は無い。元はゼセロが創設した治安維持部隊であるから当然だ。
各地に拠点は点在するが、本部はレオン領にあり、セラの居たディエゴ領──現在はトラス領だが、近いうちにまた変更するだろう──からは最も遠い。
殆ど休憩も取らずに夜を徹したが、恐らくは皆既に揃って居る。
彼の人の言葉が頭から離れない。
白磁人形に命を灯した、たった一言の記号の羅列が。
ありふれた音を繋ぎ合わせて生まれた言葉が。
──嗚呼どうして?狡い。狡い。私は貴方が死んだと思って、何もかも殺して死んで来たのに。六年掛かって消した命を、言葉一つで宿してしまうなんて狡い。生きて無い方が生きやすいのに。
知りたくも無い。考えたくも無い。何も思いたく無い。夢など見てはならない。
久方振りに、本当に久方振りに任務以外の思考が巡る。
──邪魔だ。集中しろ。
漣立つ湖面を凍てつかせ前だけを見る。走り乍ら呼吸を整え、疲労に蓋をして速度を上げた。
──忘れろ。私は人であってはならない。
***
「みんな集まったね。セラは国を横断して来たわけだけれど、平気かい?」
セラの首肯にカーボが微笑む。
「大した用事でもないけれど、いちおう本業だからね。組織を挙げねばと思って集まってもらったんだよ」
「ふん・・・僕の美貌ならばいくらでも眺めるがいい」
「阿呆か!ゼセロの要請に決まってるだろ」
モンドとイムルの応酬は何時もの事だ。慣れ切って微笑むカーボは宛ら、孫の成長を喜ぶ祖父である。
「なァによ、放っておけばいいわ。無茶ぶりばっかの貴族サマなんて」
「そうも行かないから集まって居る」
「ならァ、もったいぶってないでさっさとやりなよォ」
元師匠を窘めると、リアンはフンと外方を向いた。
彼女の経歴は一切不明だが、どこぞの令嬢でもあったのか。
「そうだね、始めようか。おおかた想像はついているかと思うけれど、ゼセロ『五柱』のルーアから出撃命令だよ」
「「「「「「⁈」」」」」」
想定の範囲を超えて居る。
当然だ。これ迄家柄を傘に着た中流貴族ばかりだった。適当に動いてはのらくらと躱して来たが、今回ばかりは不可能である。
『五柱』の実力は本物だ。その指示ならば、国の命運を決める程の大仕事となる。
「いままでにない大物登場だね。命令内容を要約すると、『ナナァの最後の生き残りを殺せ』だよ」
「所在が分かったのか⁈」
ライダンが身を乗り出す。乗り出し過ぎて首領に頭突きした。
「痛て・・・。ああ、分かったそうだよ。ルーアのたれ込みだけれどね。とは言え私たちを貶めても得はないし、信用できるんじゃないかな?」
辻褄は合う。一級犯罪者を根絶やしにすれば内乱は終結する。
そうすれば、六十年続いた内乱を収めたルーアの発言力は増し、貴族達が出し合った懸賞金は有耶無耶のままで終わらせる事が出来る。
表向き存在し無い組織に支払う必要も無い。
ならば次は。
「・・・考えが有る」
皆の目が此方へ向くのを待って口を開く。
「暴動を煽って戦力を分散させる。先に忍びを始末して情報線を断つ」
「陽動作戦か。悪くないな。この僕が完璧かつファンタスティックな
「暴動はともかく、神出鬼没の忍びはどうする気なんだよ?下手すると本人に聞くしかねえぞ」
モンドを押し退けイムルが腕を組む。参謀らしく頭の回転が速いが、本人曰くモンドとは犬猿の仲らしい。
「現在は緑翔草について薬問屋と交渉中。移動は少ない」
緑翔草は傷の治りを早めるとても貴重な薬草であり、仕入可能な問屋は限られて居る。
頭領の生死は組織の一大事、何時もの様にふらふらと出歩く事は無い。
「ホイホイ信用出来る訳ねえだろ。どこから仕入れた」
思い切り疑われて居るが仕方あるまい。
内部との繋がりが無ければ入る情報では無く、とすればまず利用されて居るからだ。
──それでも良い。使い捨てだとしても寛容過ぎる罰だ。使われて居る間の保証は為されるのだから。私が彼にした仕打ちは百倍も酷いのだから。
「私が行けば良い。疑惑通りだとしても被害が無い」
「無いわけじゃないけれどね。セラが行きたいと言うのなら、行ってもいいよ。他に行きたい人はいるかな?」
「オレも行くぞ。セラと組むのが一番やりやすいもんな」
「いつものペアだな。スアラ行けるか?」
急に話を振られたスアラは上品な仕草で首を傾げた。きょとんとした表情が年相応に無垢だ。
「わたくしですの?」
「陽動役だ。リネラに対する暴動となると、けっこうハードル高えからな。わざわざ暴れるほど不満ねえだろ。貴族煽ったらこっちが危ねえ」
「それもそうですけれど。リリアは制御が効きませんわ」
「一般人はボヤでも起こして逃しとく。本拠の位置はセラが知ってるとさ」
「疑うなら尚更危険な賭けになる。何故態々危険性を背負う」
「どっちみちそうだろ、秘密警察はリネラより小せえんだから。安全圏狙って下手打つより大胆に攻めようぜ。セラなんかそうそう騙せねえからな──」
「なんかすげー」
「褒めてるのか今のは」
「──そこのと違って」
「言われて居るぞライダン」
「?」
「あとエミリアを呼応させられる。ま、本拠にいるとも限らねえけどな。これはスアラ以外無理だ」
「それでしたら」
スアラはおっとりと微笑む。
「向かわせていただきますわ。イムル様、お願いしますわね」
手綱役を頼む、と言う事だ。
「あいよ」
「決まりだね。頼んだよ、みんな」
「御意」
「はーい」
「了解」
「分かりました」
思い思いに承諾して散って行く。
産まれて初めての興奮に肌がゾクゾクする。杖を握る手に自然と力が篭る。
国一つ絡め取る大蛇の頸に今、彼等は近付きつつ有った。




