醜悪少女は愛されたい
愛されたい。
愛されたい。
醜い少女は愛されたい。
きらびやかな宝石、素敵なドレス。
たくさんの者が溢れているけれど、どんな物だって無価値。
彼女はただ、愛されたかった。
普通の人ではありえない。
けれど化け物でもありえない。
その醜さは中途半端で、だから何物にもなれなかった。
人の仲間でもありえない。
化け物の仲間でもありえない。
彼女を受け入れてくれる存在はいなかった。
たった一人、醜悪好きの男性以外は。
彼は、醜いものが好きだった。
だから、ただ唯一の醜悪であった少女は、彼にだけは受け入れられたのだ。
けれど、その愛も醜い少女の心を満たしはしなかった。
男性が好きなのは醜悪さだけで、少女自身ではなかったからだ。
だから、誰にも自分自身を見てもらえなかった少女は、見てもらう事を「望む」のをやめた。
見てもらうのではなく、見させる事にしたのだ。
目的を、夢を見つけた少女は、何も言わずに男性の元から去った。
目的をとげるまで、夢をかなえるまで、何でもするために。
醜い少女は誰からも必要とされない。
けれど、それはその時までの話だった。