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第五話 単調作業が続くと、デジャブが多くなる


 激高した勇者が魔王に切りかかる。


「死ねぇぇぇ! 化け物ぉぉぉ!」


 剣帝の力で勇者の剣技は全て特異能力スキルになる。


「遅い!」


 神速の勇者の剣を、魔王は片手で受け止める。


「くそがぁぁ!」


 勇者は後ろへ飛んで距離を取る。


「俺が英雄で、俺が勇者で、俺が神なんだよぉぉぉ! 超級特異能力エキスパートスキル! 世界の終焉ワールドエンド!」


 全てを食らいつくす深淵の闇の斬撃が魔王に放たれる。


「お前を倒して復讐は終わりだ。 超級特異能力エキスパートスキル! 擬似連(Repeat)続予告(opening)!」


 勇者の闇の斬撃に対して魔王は虹色に光る斬撃を放つと、虹色の斬撃が闇の斬撃を丸ごと飲み込み、勇者は虹色の光に包まれた。




――――――――――




 あぐらをかいているジンは動かなくなったライトを見ながら共和国の地酒を呷る。


「どんな気分なんだろうな、擬似連が終わらないっていうのは。俺ならいっそ殺してほしくなるな」


 空になったマイグラスに共和国の地酒を注ぐ。


「これで全部終わったんだな」


 なみなみ地酒を注いだグラスをグイっと飲み干す。


「まぁとりあえず酒だな。外も終わったようだし、帰ってまず祝勝会だな」


 ジンがいるところにまで連邦軍の勝どきが聞こえている。


「ヨシ! これで復讐は終わった。これからは異世界ライフをまったりと堪能するか。連邦の盟主も適当にラミアにでもぶん投げて、各地を巡るのも悪くないな」


 立ち上がりこれからの異世界ライフの楽しみ方を考えていると、なんの混じり気もない純粋な闇の気配をジンは感じ取る。


「冷や汗……? 俺が?」


 今まで感じた事の無い禍々しい闇の気配に、ジンの額から異世界にきて初めての冷や汗が流れる。

 ジンが感じた純粋な闇の気配は、人型へと変化してライトの前に姿を現した。


 人型の闇には目も口もなく、実体のある影のようだが言葉を発した。


「神聖剣、女神のやつ余計な事をしおって」

「お前は一体……?」


 人型の闇はジンへと振り向く。


「我は邪神、神界の闇の穴の最下層、虚無の世界(ニートランド)の支配者。ジン・シュタイン・ベルフ、貴様も悪くはないがライトほどではない。貴様には悪いがライトは預かるぞ」


 邪神がライトに手をかざすと、ライトは闇に包まれて消えてしまった。


「俺の獲物をどこにやった? 邪神、神といえど許さんぞ」

虚無の世界(ニートランド)へ送ったのだ。完成度は九十パーセントだがもうよいだろう。追うなら追ってこい、この世界を見捨てるというならばな!」


 両手を上へと伸ばす邪神。


「何をする気だ?」

「もう人間界も、魔界も必要無い。全て滅び虚無ニートになるがよい」


 空から闇の魔物、闇の魔虫、闇に堕ちた天使の軍団が現れて連邦軍と戦闘を開始した。


「貴様がここを放置すれば、瞬く間に世界は闇一色に染め上がる。それでも良いなら神界の闇の穴の最下層、虚無の世界(ニートランド)までくるのだな」


 そう言い残して邪帝は闇とともに姿を消した。


「まずは連絡か。お前たち聞こえるか? 戦闘中なら無理に話さなくていい。今、連邦軍を襲ってきているのは邪神の兵隊だ。こいつらは人間界と魔界をまとめて滅ぼすつもりらしい。お前たちだけで食い止められそうか?」


 すぐに答えたのはナタリーだ。


「――ん、こっちは、問題ない。杖、忘れずに、もってるし」

「杖は俺が言うまで忘れていたけどな。忘れっぽいのが中々治らない、困ったちび娘だ」

「――むぅ」


 次に答えたのはラミアだった。


「ジン様、遅れて申し訳ございません。エポナ嬢とミーシャ嬢たちの回復に手間取ってしまって……。こちらも戦力は回復し終えたので問題ございませんわ!」

「エポナ嬢とミーシャ嬢? なにがあったかは知らないが、仲良くなったようだな。ナタリー以外に嬢をつけるなんてな」

「ラ、ライバルとして認めただけですわ!」


 ラミアが照れているところでグレンが答える。


「こちらも問題ありません。強いて言うなら死にかけのホークとアスモの回収を、別部隊にお願いしたく存じ上げます」

「グレン、なにかいい事でもあったのか? ラミア以外に気を回すなんて」

「いえ、ただ本物の強者と相まみえましたので」


 最後に三帝騎士団、帝国近衛騎士団長が答える。


「こっちは大損害を被ってしまい、我々以外はまともに戦えません! 至急援軍をお願い致します!」

「ほう、まともな話し方もできたのか? 常にひょうきんな奴だと思っていたぞ」

「ジン様、俺にもやっと男ってのが分かったんですよ。すいません、これで通信終わります!」


 竜帝に加えてエンシェントドラゴンと戦った、連邦軍右後方の軍団は被害が一番大きかった。


「あっちに一番強いやつを当てるか。さぁてどんなもんか楽しみだ。3S! ベテラ(Summon)ン召喚(souil)!」


 初めてジンが使った3Sベテラ(Summon)ン召喚(soul)は、ジンが今まで倒した魔物、魔族を一日だけ転生前の全盛期の姿で召喚できる。


 ジンの周りには数えきれない魔物たちが召喚されており、最前列には魔界の盾と呼ばれたゴーレム衆、前魔王四天王、炎の魔神スルト、水の邪精霊ウンディーネ、疾風の王シルフィード、雷の化身サンダーバード、そして前魔王の姿も確認できる。


「久しぶりだと言いたいところだが時間がない、散らばって連邦軍を援護せよ! 前魔王は娘に懺悔の意味も込めてラミアのところへ行け!」

「仰せのままに」


 魔界最強だったものたちが戦場に赴く。


「あとは大丈夫そうだな。俺はこのまま神界へ行く、お前たちの力を信じているぞ」

「――ジン様、気を付けて、ね」

「ジン様! お帰りをお待ちしておりますわ」

「ジン様、ご武運を」


 みんなの返事を聞きクククと笑うジン。


「ああ、行ってくる。全てを終わらしにな」


 ジンは神聖剣、天地開闢(ビッグバン)の剣(ブレイド)で次元を切り裂き、天界にある闇の穴の最下層、虚無の世界(ニートランド)へ単身乗り込んだ。






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