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第十ニ話 缶コーヒー奢られるだけで、ちょっとしたバフがかかる

 

 本気をだした竜帝はエンシェントドラゴンに指示をだす。


「エンシェントドラゴン! 私の援護に回れ!」


 指示を受けたエンシェントドラゴンは、巨大な翼をはためかせて空中に飛び立つ。


超級特異能力エキスパートスキル竜王(ドラゴニック)の槍(ランス)!」


 竜帝の手に持つ槍の形状が変化する。


「この槍と鎧を装備した私が本当の私の力だ」


 フル装備となった竜帝の姿を見た、帝国近衛騎士団長は死を直感した。


「うーん、このままじゃ勝てないや。重装の爺ちゃんも限界だよね?」

「な、なにを言うか。吾輩はまだまだ戦えるぞ」


 帝国近衛騎士団長に限界と言われた帝国重装騎士団長だが。いつもの様な大きな声はだすことができなくなっていた。


「エンシェントドラゴン!」


 満身創痍の二人に向かって青い炎のブレスが放たれるが、エンシェントドラゴンのブレスは竜帝をも巻き込んでいる。


「なにをやって――」

上級特異能力ハイスキル! 口臭予防(ブレスガード)の盾!」


 帝国重装騎士団長が前に出てエンシェントドラゴンのブレスを防ぐ。

 が、青いブレスの中を平然と動いている竜帝は、帝国重装騎士団長の盾の前に現れた。


「ブレスと槍、両方は防げまい」


 竜帝が槍で盾を突くと帝国重装騎士団長は大きく吹き飛んだ。


「あとは人間界の竜騎士だけだ」


 吹き飛んで地面に転がった帝国重装騎士団長はピクリとも動けない。

 上級特異能力ハイスキルの多用で、生命力がもう息をするぐらいしか残っていないのだ。


「重装の爺ちゃんは眠ってて、あとは僕がやるから」

「お前も限界ではないのか? たった一人でこの私とエンシェントドラゴン相手に、すでに消えかけの命が何秒持つと言うのだ」

「僕は、死なないさ」


 絶体絶命のピンチにも関わらず、軽い言葉を口にする帝国近衛騎士団長に苛立つ竜帝。


「なら、この窮地! 脱して見せよ!」


 竜帝は穂を逆にして、柄の部分で超高速な突きを帝国近衛騎士団長の腹部に放つ。


「ごふっ……」


 内臓が口から飛びでてしまいそうな衝撃を腹部に受けた、帝国近衛騎士団長は竜帝の一突きで地面へ倒れ伏した。


「とどめだ、人間界の竜騎士。私の糧となれ!」


 竜帝は帝国近衛騎士団長にとどめをさそうと槍を振り上げる。


「ん? なにか様子がおかしいな」


 まわりの空気が変わった事に気がつき、竜帝は辺りを見渡す。


「むっ!」


 突如空から降ってきた火の玉を竜帝が槍で弾くと、大量の火の玉が竜帝に向かって降りだした。


「無駄だ!」


 無数の火の玉は竜帝に弾かれて一つも当たらない。


「誰かは知らんがこんなのでは私を倒す事はできんぞ」

「あら、倒せるだなんて思ってはいませんわ」


 王族の女性たちを引き連れて現れた連邦王国第一王女、アーシェラ・パステルティファが長い髪をかきあげながら話を続ける。


「あなたを倒すのは私達ではありません。ここにいる帝国近衛騎士団長と帝国重装騎士団長ですわ!」


 アーシェラは地面に伏している二人を指さす。


「なるほど、さっきの火の玉はそいつらを助けるための目くらましだったのか。だが、そいつらを回復してどうする? お前たちが束になったところで私には勝てまい」


 アーシェラが両手を組むと、他の王族の女性たちも両手を組んで目を閉じる。


「王家に伝わる秘術。術式を組むのに時間がかかってしまい、多くの犠牲をだしてしまいました」


 帝国近衛騎士団長と帝国重装騎士団長の上に魔法陣が展開される。


「英雄よ、目覚めなさい。秘術、英雄王(リコール)の帰還(リターン)


 王族は神話に出てくる英雄王の子孫といわれている。

 英雄王の因子を王族の女性たちが術式に変えて対象者に英雄王のバフを与える秘術が、帝国近衛騎士団長と帝国重装騎士団長にかけられると、二人の首飾りの魔具が砕け散り二人は目を覚まして立ち上がる。


「――生きてるのかな?」

「近衛の……よく生きててくれた……」


 二人は生きている事を喜びあうが、自分の力の異変に気がつく。


「なんだろうこの感覚、今なら誰にも負ける気がしないや」

「吾輩もだ。今の吾輩ならばあの狂乱の戦士、アルト・ウォルターですら倒せると思える」


 二人の英雄王たる姿を見たアーシェラの目から涙がこぼれる。


「帝国魔装騎士団長が魂を賭して、時間を稼いでくれたおかげです。騎士様、その力でみなをお救い下さい!」


 帝国近衛騎士団長は跪いて、アーシェラの手を取って、手の甲にキスをした。


「姫様、この帝国近衛騎士団長が帝国魔装騎士団長の分まで、貴女がたをお守りします」

「調子のいい事を。近衛の! くるぞ!」

「姫様達はお下がりください」


 エンシェントドラゴンが空中から青い炎のブレスを口から吐き出した。


「あのドラゴンは吾輩が食い止める。近衛のが彼奴を倒せ!」

「分かってるよ!」


 帝国近衛騎士団長は向かってくる竜帝と対峙した。


「少し強くなった程度で竜騎士最強の私に勝てるとでも?」

「あー、それ僕がもらうよ。竜騎士最強の称号をね」

「ぬかせ! 超級特異能力エキスパートスキル怒れる(デトロイト)竜王(ドラゴニック)の豪槍(ランス)!」


 竜帝最強の技、怒れる(デトロイト)竜王(ドラゴニック)の豪槍(ランス)が帝国近衛騎士団長に繰り出される。


「今の僕なら竜の力も使いこなせる! 超級特異能力エキスパートスキル怒れる(デトロイト)雷神の(ライジング)の絶槍(ランサー)!」


 二人が使える最強の技同士がぶつかりあう。

 その光景はまるでドラゴンとドラゴンが争っている様に見える。


「もう少し、あともう少し……」

「私と同等程度だというのか。――もはや下界の民とは思えん」


 最強の技をくらいあった二人だが、傷は帝国近衛騎士団長の方が深い。


「あと少し……。そうだ!」


 帝国近衛騎士団長は何かを思いつき、その場から超高速で離れる。


「なにをするつもりだ? ん? まさか!」


 竜帝は帝国近衛騎士団長を止めにいきたいが、空を飛ぶ術を持っていない。


超級特異能力エキスパートスキル怒れる(デトロイト)雷神の(ライジング)の絶槍(ランサー)!」


 瞬く間にエンシェントドラゴンを倒した、帝国近衛騎士団長は竜帝へと振り向く。


「英雄王の力、竜の力、魔槍の力、僕の力を一つにする」


 帝国近衛騎士団長の持っている魔槍が光り輝く。


超級特異能力エキスパートスキル、ロンギヌスの槍!」


 帝国近衛騎士団長が持っている全ての力を込めた魔槍を竜帝に投げると、周りの空間を捻じ曲げながらロンギヌスの槍は竜帝へと向かっていく。


「そんなもの、当たるわけが――」


 ロンギヌスの槍の捻じ曲げた空間に竜帝の体が引き寄せられる。


「ばかな! 竜騎士最強の私が、人間界の竜騎士などにいいいい!」


 竜帝の体にロンギヌスの槍が突き刺さると、竜帝の体は光に包まれて消滅した。


「勝った、勝ったよ。魔装の兄ちゃん……」


 辛くも勝利を収めた帝国近衛騎士団長は、全ての力を出し切って意識を失い、空中から落ちていくが帝国重装騎士団長が落ちてきた体を受け止めた。


「よくやった、さすがは吾輩の自慢の孫だ」


 連邦軍の右軍は苦戦を強いられていたが、グレン率いる中央軍、ナタリー率いる左前方軍は驚くほどに早く決着がついていた。


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