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第五話 安全確認も、反復で身につく


 聖帝七騎士の一人、邪帝と対峙するジン。


「いまいち言葉が良く分からんが、大した自信だな」

「そりゃそうや。ワイは他の聖帝七騎士とは一味違うでぇ」

「武器も鎧もない、そんなちんけな服装で騎士だなんて良く名乗れたもんだ。神経がどうかしているんじゃないのか?」


 ジンの辛辣な言葉をハハハハハと笑い飛ばす邪帝。


「ワイには武器も鎧も必要ないんや。それと神経がどうかしとる言うのは当たっとるで」


 邪帝から凄まじいオーラがあふれ出す。


「まともに生きとったらおもんないやろ? 世の中、おもろいか、おもろないかの二択や。ワイの奴隷爆弾はどうやった? あれは傑作やったやろ! なぁんもできへんカスどもがプチプチ死んでいくんやで? もう笑いが止まらんかったわ」


 ジンは邪帝の言葉に舌打ちをする。


「ライトに匹敵するクズを初めて見たぞ。もう喋るな、特異能力スキル! 万物を砕く(クリア)王者の矛(ランス)!」


 無数の透明な槍が空中に出現し、出現した槍が邪帝へと飛翔して、その音速の槍は邪帝の体を貫いた。


「笑いが分からんやつやなー。怪我したらどないすんねん」


 自分の体を貫通している透明な槍を、何事もなかったかのように一つ一つ抜いていく邪帝。

 平然としている邪帝の体からは一切血がでておらず、血の代わりに虫がボロボロとこぼれ落ちる。


「まぁ話しにきたわけちゃうからええか。笑いが分からん奴は……死んどけや!」


 邪帝がジンを指さすと、邪帝のオーラが黒い霧状になりジンに襲い掛かる。


「2S! 安全(Safe)エリア(area)


 ジンは絶対防御シールドを張って、迫りくる霧を防ぐ。


「虫? オーラを一つ一つ虫に変化させたのか?」


 迫りくる霧の正体は、数えきれない程の虫の大群だった。


「ちょっとちゃうなー。ワイはよこしまなる虫どもを使役できるんや。ワイのオーラを餌に神界から呼び出したんやで。どや? すごいやろ?」


 ドヤ顔で自分の能力を喋る邪帝。


「虫使い、か。お前の様なゴミクズにはもってこいだな」

「ちんけな下界の民のカスが、ワイをゴミクズ呼ばわりするとかビックリするわ。『超越者』やからって調子に乗んなよ!」


 邪帝が右手で中指を立てると、黒い霧が邪帝を覆っていき、ジンの前から邪帝は姿を消した。


「転移? 瞬間移動? めんどうだな、特異能力スキル! 安全(Enemy)確認(check)!」


 特異能力スキル安全(Enemy)確認(check)と、ジンの持つユニークスキル、工場作業員の矜持により獲得したパッシブスキル熱源(サーモ)探知(グラフィー)と、KYT(危険予知)を合わせたジンの完全守護領域を展開する。

 完全守護領域を展開したジンには、もはや赤チン災害すらありえない。


「ここにはいない、か。一度どこかを経由する系統の特異能力スキルとみた。なら、あのゴミクズがしてくる事は決まっている」


 なにかを察したジンは横へ大きくステップする。

 ステップした直後、ジンがさっきまでいた位置の真上から邪帝が姿を現した。


「うそやん! 魔異動虫マドギワムシとのコンボでもあかんのか?」


 ジンに攻撃を察知されて、奇襲をかわされた邪帝が驚きの声を上げる。


「初見でこれ避けたんはあんさんが初めてやで。あかん、おもろなってきてもうた。もうアレ使うわ、ワイも使うん初めてやから、どないなるかわからんけどな」


 邪帝はポケットからなにかを取り出し、一口で飲み干す。


「お、お、おお! これはすごいで! こっちでもこの力が使えるようになるんやな」


 なにかを飲んだ邪帝のオーラが異常なほどに膨れ上がる。


「こっからや、こっからおもろなるで! 特級特異能力エキスパートスキル! 獄潰(Dark)しの(insect)頂き(master)!」


 邪帝の膨れ上がったオーラが真っ黒な霧となり、邪帝の体をまるまる包み込む。


「これや、これやで! あんさんには悪いけど、五体満足で死ねると思わんといてや」


 黒い霧の中から出てきたのは、異形な姿をした人型の昆虫を思わせる邪帝の姿だった。


「人間界でワイのお気に入りの、魔虫を使えるんはテンション上がるわ。人間界で使える力はだいたい六十パーセント、魔剤のおかげで今のワイは、百二十パーセントの力が出せるんや」

「ゴミカスがゴミムシに変わっただけにしか見えないが?」


 ジンが話し終わると同時に、フッと邪帝がジンの前から姿を消す。


「今のが見えたか? ワイと魔異動虫マドギワムシとのスーパーコンボや」


 瞬きする間より早くジンの後ろに回り込んでいた邪帝。


「見える、見えないは俺には関係ない。ゴミムシがいくら素早くても、俺を倒す事は不可能だ」

「ゴミカスが言うてくれるやん。ほな、いくで! ハイパーコンボや!」


 邪帝はそのままゆっくりとその場で軽く飛び上がる。


 邪帝が飛び上がった事をジンが確認した直後、邪帝の姿はまたしても一瞬で消えた。


 今度は消えたと同時にジンの足元に現れ、ジンのアゴに邪帝の鋭いアッパーが繰り出され、ジンはそのまま上へ吹き飛ぶ。


 吹き飛んだジンを追いかける様に飛び上がった邪帝は、一撃一撃が必殺となる様な重く激しい連打をジンに見舞う。


 連打の最後、邪帝はその場で一回転して、遠心力のかかった踵をジンの腹部にぶちこみ、空中で強烈な踵落としを食らったジンは、ものすごい勢いで地面へと叩きつけられ、地面と衝突した爆音が発生して、地面が衝撃を受けた事によりクレーターができる、はずだった。


「今のが見えたか? ただ早く動いてみただけだがな」


 しかしジンは無傷で邪帝の後ろに立ってクククと笑っていた。




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