氷堂くんと日向さん
今日から高校一年生となるというのに、俺は全くもって気が乗らなかった。いや、厳密には違う。今日だけじゃなく、いつも学校は気が乗らないものだ。別に勉強が嫌いなわけじゃない。ただ、学校という限られた空間内における人間関係の複雑さが見てて嫌になるというだけのこと。友達だの恋人だの俺にはどうだっていい。まあ強いて言うならこれでも思春期男子ではあるので、人並みのそういうことに関する興味はあるのだが…
そんなことを考えながら、俺は重い足取りで学校へと向かっていた。そんな時だった…
「おはよー!藍!」
「……おはよう、凛。相変わらず朝から元気だな」
「えへへ、それだけが取り柄だからね!」
「そうだな」
「もう!そこはさ、『凛は他にも良いところたくさんあるよ』とか返すところでしょ!?」
「他の奴ならともかく俺にそれを求めるか?」
「いや…まあ藍がそんなこと言ってきたら逆に寒気がしてくるかもしれないけど」
「それは言いすぎだろ?俺だってそういう事言………わないな」
「でしょ?まあでも不思議なのはこんななのに藍ってモテるから世の中っておかしいよねー?」
「?俺にモテる要素なんてあるか?」
「いやいやその見た目に成績優秀、スポーツ万能ってなったらモテるでしょ!」
「そうなのか?でも他の奴らからモテたって鬱陶しいだけだけどな。俺は……」
「俺は?」
「俺は凛にだけ好かれたらそれでいいんだから」
「藍…!私も藍にだけ好かれたらいいよ!でも今日から高校生だね!凛は部活とかやるの?」
「俺か?俺はやっぱりバスケかな?」
「バスケかー。まあ、藍といえばバスケだもんね」
「そうか?」
「そうだよ!なんてったってU15の代表にも選ばれてたじゃん!」
「まあそうだけどな。だからどうということもない」
「これだから藍は…」
そんなこんなで学校に着き、クラス発表で凛と同じクラスということに安堵しながら俺はふと廊下にある張り紙に目がついた。
「……なあ凛」
「何?藍」
「バンド…組んでみないか?」
「え?」
これが俺と凛と仲間たちの未来を大きく変えることになることを俺達はまだ知る由もなかった…
さあ、始まりました。推し×推し3作品目はLIGHTNINGのお話になります。本編である僕の推しが僕推しだった件を読んでいても読んでいなくても読めるような作品にしますのでぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m