雨宿り
よろしくお願いいたします。
傘をさすと、何も見えなくなる
トンネルの中でも、さしたままでいいかい?
夜の帰り道はちょっぴり懐かしかった
立ちつくしている人の横を軽やかに通り越して
私を追い抜く人を道に通してあげた
横を見ると、切り取られた橋の風景
モヤがかかっているのは私の濁った眼のせいかも
追い越しちゃうと、世界が終わってしまう気がした
だから静かに、灯だけつけていった
雨が降らないから傘を閉じてみた
誰かが私の事を可哀そうと思ったのかも
大きな声は出せないけど
私だけじゃつかみきれない
先が見えないから
涙だけは流れない
泳いでみたい
暗いままの夜の中を
足がトン、と
地面に触れた
傘をさす
少しだけ違った夜の帰り道
はにかんで顔が赤くなってしまった私は
小声で囁いてみた
ありがとうございました。