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第90話 明かされる真実 2

 静寂に包まれた中、俺は緊張のあまり唾を飲んだ。一見普通の質問がこんな重大なことなんて知らなかったからだ。適当に言っただけなのになぁ。


「魔王は命令を下し、無理矢理でも魔物を従わせる権利を手に入れた。そこで、魔王はもっと戦力を拡大させたいと思うだろ?だから魔王は魔物を作り出す方法を思考錯誤しながらも見つけ出そうした」

「じゃぁ原因は魔王だっていうのか?」

「そ、それは違うと思うよ」


 ミィトが口を開ける。


「魔王は特別な周波を出しているっていう研究結果がある。この周波のせいで農作物が育たなかったり汚染された空気が流れ込んだりしてくるんだけど……周波を出すことは多大な魔力(エネルギー)を使った証。魔物を作るのなら魔力もいるよね?だけど、最近は周波が出たっていう記録もない。なのに300ほどの魔物を進軍させるなんて、可笑しいと僕は思うな……」


 確かに、ミィトの推理は間違ってはいない。『周波』という名前は知らないが、同じ話なら俺の知っている御者から聞いたことがあるし、ミィトの推理が正しければ魔王は300の魔物を無駄にしたことになる。魔王が馬鹿ならまた話は違ってくるが、彼の言うとおりなんじゃないか?


「……よくわかったな。お前の言っている通りだ」


 やはりな。


「そして、悟様の質問だ。魔王が原因だと言ったな?」

「ああ」


 もうミィトに説明されたけど今更何を言う気だ?


「その推理は、当たってもいるが外れでもある」

「……?どういう意味だ?」

「魔王の仕業ーーそう考えるるのも無理はない。だが、実際は魔王は()()()()()()()()()()

「協力?和樹じゃなくてか?」

「和樹ではない。魔物を生み出せるーーいや、魂を操れる唯一の人物だ」


 その一言だけで、誰なのかがわかった。


「で、そいつはどうして魔王と協力なんか?」


 俺たちの味方じゃなかったのか?


「そこまでは魔王自ら語ってはくれない。俺たち魔族にも伝えられていないことだ。本人もあまり漏らしたくない情報なのだろう」


 ふむふむ。情報は漏らさない、か。馬鹿説が消えたな。


「その情報……誰か知っているやつはいないか?盗み聞きしたとかそんな感じで」


 カゲマルは少し考える素振りをする。しかし、首を横に振ってしまった。


「魔王は自分の部屋を厳重に結界で囲っていた。まずあの高度な結界を解くことすら難しいし、このことから考えて盗聴することは不可能に近い」

「そうか……」

「いや、待て」


 ハッとした目つきで、カゲマルは俺を見据えた。


「1人いる」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【確か、そいつは滝の近くに住んでいたような気がする。言葉を交わしたことはあまりないが、場所なら知っている】


 カゲマルの言葉を思い出し、馬車に乗りながら俺は遠くなっていくチカ大国を眺めた。この馬車の御者はマイルさんだ。早速お願いしたのである。


 ……本当に短い間だったが、楽しめたことは楽しめたな。


 シーファにも事情を話した。話の途中ひどく驚いていたが仕方がない。なんてったって、テズが魔王の味方をしているからな。無理もない。


「ぼ、僕が付いてきてよかったの……?」


 そして、横に体育座りで座っている美女ーー今の人格は男だが、美女は美女だ。


 ミィトを連れてきたのだ。万が一の時に備えて、付いてきてもらうことにした。気弱な性格のため誘いは断らなかった。多少の罪悪感が心を抉る。


「そこの滝ってのはどこにあるんだっけか?」

「エルシャルト国の近くだ。確か……『深淵の滝』とでも言ったか……?」


 ん?どこかで聞いたことがあるような……。


「深淵の滝!前行ったじゃないですか、サトル。ほら、龍がいたところです」

「あ、あそこか」

「知っているのか?悟様たちは」

「前行ったことがあってな。もしかしてカゲマルの言っている魔物ってその龍のことか?」

「多分、な。さっきも言った通り俺はあまり会話したことがない」


 また会えるとはな。名前は確か……ミストだったけか?一回会った時はシーファがミライに乗っ取られて暴走した記憶がある。そして、そのあとすぐに何かに怯えて姿を消してしまったのだ。


「ミストかぁ……あの頃は俺たちもまだまだ未熟だったけど、今は新しい仲間がいるからな。俺も、一段と強くなった」


 ほとんど独り言だったつもりが、シーファとカゲマルには聞こえてしまったようだ。


「私も、ミライと和解してさらに強くなりました。ミストさんも認めてくれるはずです!」

「悟様の仲間に入れて本当によかった……。本来なら、今頃俺は魔王にこき使われていたかもしれない。どれも全部悟様のおかげだ。……ありがとう」

「お前ら……俺も、仲間になれてよかった。俺は、宇宙一幸せだ」


 シーファとカゲマルの表情がほころぶ。


「……ミィトはこれからどうするんだ?」

「あ、えっと、一応ついて行って危なくないって確認したら戻ろうかなって……」


 深淵の滝は入って帰ってこれた者がいないって話だからな。俺たちはそれで帰ってきてるわけだからミィトも興味はあるのだろう。


「滝の周りの広範囲まで幻影を発生させる力……一回は目にしてみたい」


 そう。深淵の滝はあたりを霧で包み込んでいる。一見これは霧だが、全てミストが無意識に出した幻影なのだ。そして、ミスト自身も幻影にとらわれて自分の姿形をなくしてしまった。前見た時はモヤモヤしたものに包まれていたのを憶えている。


 っていうか、ルーゲラ大森林また抜けるのか……。だるいなあ。

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