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第9話 スライムだなぁ

 ドラゴンスライム

 種族...スライム

 状態異常...なし

 レベル62

 HP...300/300

 MP...250/250

 攻撃...82

 防御...26

 素早さ...102

 魔法...75

 《スキル》

 ・遠吠え・吸収・HP自動回復・分裂・衝撃吸収・ぶっ飛ばし・ブレス・多重意思

 《称号》

 ・合体・魔法音痴・スライムの集合体

 解説

 スライムの集合体。100体ほどのスライムが集まると、ドラゴンスライムへと進化する。主に繁殖時に見かけやすく、子供達を守るためだとも言われている。進化することによって魔法が得意になった。





 HP自動回復は厄介だな。あと気になるのは吸収とぶっ飛ばしか。攻撃も俺よりはるかに高いし、素早さなんか元のスライムの何倍だよ! 早くなりすぎだ。遺跡以外で100越えしてるやつは初めて見たぞ。


「あ、あの……」


 シーファが声をかける。


「これ、使ってください」


 どこに持っていたのかわからないが、俺の横に剣が落ちた。そんなに強くはなさそうだが、持っていないよりかはマシだ。


「ああ、俺が何をしても逃げないでくれ。分かったか?」


 変化を使った時に逃げられたらたまったものではない。一回俺の変化姿を見ているはずだが、一応保険をかけておいた。


「分かりました。私は後ろで魔法で援護します。だから、絶対に勝ってください!」

「約束するさ」


 草むらからシーファが出てきたのを風圧感知で察知すると、俺は完全にドラゴンスライムに神経を向けた。


「グオオオォォォォォン!」


 遠吠えか。確かに、俺の体が一瞬動かなくなった。その隙を狙って、ドラゴンスライムはとてつもないスピードで迫る。丁度遠吠えの効果が切れ、攻撃を剣で受けようとしたが体の前に剣を出した時にはドラゴンスライムの姿はなかった。


「なっ……」


 背中に衝撃が走り、空中に飛ばされる。5メートルほど地面から離れてしまった。これがぶっ飛ばしか。空中にいる俺が身動きできないと悟ったのか、ドラゴンスライムは口を大きく開ける。空気を吸い込むのがわかり、熱気が溢れ出していた。


 ブレスか!マズイぞ!


 変化をしようかと思ったが、花になったら逆に体が燃えるだけだし、リトルベアーになってもまだ体が大きいため完全に軌道からは外れられない。


 万事休すか……。


 俺に向かってブレスが発射される。完璧な軌道だ。俺がどう逃げても体全体焦がされるだろう。


「《風よ、我が身に力を与えよ》風圧変化!」


 途端に俺に迫っていたブレスが右側にそれ、俺をかすめていった。熱は感じたが、我慢は出来る。右半身少し火傷しちったかも。


「ありがとう、シーファ」

「お安い御用です!」


 グッと親指を立てるシーファ。ブレスが来ても風圧変化で凌いでくれるだろう。だが、そうもいかないのが現実。魔法が使える少女が邪魔だと判断したのか、ドラゴンスライムの注意はシーファに向いていた。彼女は短く悲鳴をあげるがすぐさま魔法を唱える。


「《風よ、我が身に力を与えよ》風刃!」


 風の刃がシーファの周りに3つ現れる。剣を持ってた男が同じようなものを剣から出していたな。


 風刃は真っ直ぐドラゴンスライムに飛んで行き、全てど真ん中に当たった。


「ピギィ!」


 真ん中がえぐられ、貫通する。そこから出てきた5匹ほどのスライムが項垂れ、力尽きた。


 なるほど。スライムの集合体だからといって、体を攻撃すればその部分にいたスライムは死ぬんだな。何それ進化になってなくない?まあ、いいや。





 ドラゴンスライム

 種族...スライム

 状態異常...なし

 レベル60

 HP...287/287

 MP...200/230

 攻撃...75

 防御...24

 素早さ...99

 魔法...73

 《スキル》

 ・遠吠え・吸収・HP自動回復・分裂・衝撃吸収・ぶっ飛ばし・ブレス・並列思考

 《称号》

 ・合体・魔法音痴・スライムの集合体





 減ってる減ってる!最大値から減ってるよ。これならHP自動回復も機能しないね。って、これなら普通にHP自動回復いらないじゃん。なんのために持ってるんだよ。いらないなら俺にくれよ。


 MPも減ってるし、よく見たらレベルも減ってる。これ、倒していったらどんどんイージーモードになってくやつだよね?


 俺は剣を強く握り、未だシーファを見ているドラゴンスライムの背中に近づいた。


 変化をし、ルーゲラフラワーになる。そのまま息を吐いて、毒の煙!


  ドラゴンスライムは悲鳴を上げ、その場をのたうち回った。皮膚がただれ、何体かスライムが死んだと思う。俺は変化を解く。毒の煙を払い、自分が通れるような通路を作るとその場に突っ込んだ。


「はあああ!」


 高く飛び、剣で脳天を貫く。頭にはたくさんのスライムがいたのか、一気に7体ほど倒せた俺は剣を引っこ抜き、今度は縦切りで頭から足まで一刀両断にする。20体ほど倒せただろうか?


 ……経験値はこないんだな。全部をを倒さないとダメなのか。


「グガガアアア!」


 かなりの量を削られたのに怒っているのか俺に向かってブレスを吐く。冷静ではないのか、空中にいた時よりも軌道がぶれぶれで簡単に避けることができた。


「ガガアアア!」


 さらにブレスを吐く。吐く。吐く。避ける。避ける。避ける。ようやく途切れたと思った時には、ドラゴンスライムは魔力切れを起こしているように見えた。そのまま膝をついている。


 残念だったな。勝敗は決したぜ。


 俺が一歩、二歩と近づく。剣を振り上げた時、龍の尾が動いた。


「うぐっ」


 避ける暇なく、横に飛ばされる。一本の大木にぶつかり、一瞬息が止まった。


「が……」


 血を吐いた。HPを見ると、残り30程になっている。最初のダメージと今のダメージが重なったらしい。ドラゴンスライムはニヤリと笑みを浮かべ、立ち上がった。くそ、魔力切れを起こしたふりをしていたのか。鑑定しておけばよかった。


「グオオオォォン!」


 勝利の雄叫びを上げた時、その体から炎が出た。


 ーーあいつのスキルか?


 違う。ドラゴンスライムは苦しんでいる。そのまま炎は散ることなく、ドラゴンスライムは無残な最期を迎えた。


「ガ……アァァァ」


 その地面に何も無くなった時、機械音が終了を告げる。


 『ドラゴンスライムを倒しました。経験値254を獲得しました。レベルが32になりました』


 怪我が治っていく。ああ、レベルアップしたら治るって最高だな。


 完全回復!あれ?ドラゴンスライムに変化できないの?なんで?


 『他の人の助けを借りた場合、変化登録はできません』


 お前喋れたの⁉︎って、な、なんだとぉぉぉぉ!

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