第84話 ステータス確認
……運転は少しだけ悪い。まあ、美人だからオーケー。
今は、古めの馬車に乗りチカ大国へ向かっている途中だ。あと数キロでルーゲラ大森林に突入するだろう。ルーゲラ大森林に入ったら、一時も気を抜かず警戒を解かないほうがいいらしい。馬車はよく狙われるようだ。
因みにルーゲラ大森林へ向かうまでで夜が明け、今は朝だ。丁度そうなる時間帯に出発したものだから、これは計画的といっていい。
「そろそろだね。魔物に襲われるかもしれないから、細心の注意を払って」
マイルさんが窓越しに言う。
「わかった。っていうか、マイルさんは戦えるのか?」
「戦力にはなるかな。特別強いってわけじゃないけど。御者が死んだりしたら大変だから一応戦闘試験だってあるんだよ」
……ライズは手か足かどこか1つ失ったとか言ってたけど戦闘試験受けたのかな?
「ま、一応戦えるって」
「ああ。魔物が現れた時は一緒に討伐するぞ」
そのあとも雑談をし、ルーゲラ大森林の中腹らへんまで差し掛かったところだった。3匹ほどのスライムが馬車に飛び込んでくる。1匹はマイルさんに、2匹は俺たちへと襲いかかった。
マイルさんは慣れているのか、腰の剣を抜いて一瞬で両断する。まあスライム程度だし、これで苦戦している方も別の意味ですごいけどな。
「わうん!」
俺たちの方向へ突っ込んできたスライムはシロが全て仕留めた。スライムも倒せるということだ。
「くぅ〜ん」
シロを撫でてやると、甘えた声を出してきた。これでシロのレベルも上がっただろう。あ、せっかくだしみんなのステータス確認しとくか。
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル54
HP...1300/1300
MP...1750/1750
攻撃...301+10
防御...286+10
素早さ...290+10
魔法...458+10
《スキル》
・状態異常無効・鑑定・火球・火刃・雷球・斬撃波・必中5%(未完全)・聖柱・融合魔法・渾身の一突き・大気感知・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・変化・部位変化(一箇所)・変化呪
《称号》
・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い・馬鹿買い・詐欺師・ドジ・料理への執念・強者殺し・絡みやすい・魔人の主・魔物殺し・妙なパーティーのリーダー
おお。ステータスがアップしてる。今度雷球とかも試してみるか。
シーファは見れないとして、次はカゲマルだな。
カゲロウ
種族 魔人種
状態異常 なし
レベル96
HP...2850/2850
MP...1550/1550
攻撃...397+3
防御...295+4
素早さ...439
魔法...345
《スキル》
・闇球・闇刃・黒煙・黒渦・暗黒星雲・気配感知・気配遮断・クイック・パワー・シールド・MP自動回復
《ユニークスキル》
・影入り
《称号》
・影の術者・強者殺し・妙なパーティーの一員・洗脳から解放された魔人
さっきからあるけど妙なパーティーってなんだよ。俺が変なの?
『基本的に、敵対している人間と獣人と魔人が共に行動することはありません。そこにシロ様が加わるので、このパーティーは全員種族が違うことになります』
成る程。じゃないよ!敵対してるって本当に姿見られたら終わるな。
気を取り直して、次はシロだ。
シロ
種族 犬種
状態異常 なし
レベル12
HP...160/160
MP...140/140
攻撃...29
防御...38
素早さ...30
魔法...24
《スキル》
・雷落とし(雷獣時のみ使用可能)・充電回復・遠吠え・突進・噛み付く・追跡・嗅覚・言語理解
《ユニークスキル》
・雷獣化
《称号》
・サトルのペット・頭がいい・雷獣の力を秘めた者・シーファ大好き・頑固者
レベルが上がっている。ルーゲラガスホーホーにダメージを与えたことで少しは経験値が入ったのだろう。
で、充電回復とは?
『雷属性の攻撃を受けると、回復することができます。どれほど回復するかはその技の攻撃力と技術力によります』
つまり、その2つが高いと回復力が上がるというわけか。俺も雷球とか覚えたしシロの体力面の心配はなくなったな。
それにしても腹減ったな〜。
「……お前ら腹とか減ってないか?」
「私は大丈夫です」
「俺もだ」
「わん」
みんな腹は空いていないようだった。シロって何も食べてないけどいいのかな?
『雷獣は食料を必要としないと言われています。その効果が受け継がれたのでしょう』
へぇー。便利な体だな。
……俺はチカ大国に着くまで我慢してるかな。
「魔物の奇襲!きっとルーゲラシャークだよ!数は2匹だ」
「わかった。一旦馬車を止めてくれ」
木がたくさんある場所で逃げるのは無理があるし、ここで戦った方がいいだろう。
「行くぞ、お前ら」
「わかりました!」
「がうっ!」
丁度マイルさんも剣を抜き、馬車から飛び降りたところだった。
俺たちを囲むように左右の茂みが揺れ、2匹のルーゲラシャークが姿を現した。背中にはやはり赤黒い線が走っていて、時々発光している。口からはみ出た牙は鋭く、何かの血で錆臭い臭いを発していた。近頃人間を食したらしい。
「毒に気をつけて」
マイルさんが言う。俺は「ああ」とだけ返した。
「カゲマルはマイルさんの影に潜って、危険だと判断したら影の中から攻撃してくれ。あくまでも護衛だから変に手は出すなよ」
「承知」
カゲマルが俺の影から馬車の影まで移動し、そこからマイルさんの影の中に入った。これでいざという時は大丈夫だ。
「シロは……今回は馬車の中で留守番だな」
やる気満々でついてきたシロは、悲しさの感情を送ってきた。
「すまん。今は……な」
マイルさんのことをちらりと見て、俺は小声でシロに言った。流石にもう反論してこなくなり、耳をぺたんとへならせながら馬車の中へと戻って行った。
……本当にごめん。
「シャアァァァッッ!!」
ルーゲラシャークが襲いかかってきた。
明日と明後日は更新できません……。すいません。




