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第75話 魔物退治が終わり

……結構かっこよかったかな?ちょっとああいうのやってみたかったんだわ。


「サトル、今のすごくかっこよかったです!特に去り際の言葉が!」


恥ずかしくなるからやめろ。


「悟様は和樹様とまた違った一面を持っているようだな。中々いいシチュエーションだった」


お前まで勘違いするな!


この後ちゃんと誤解を解き、俺はハッとなった。


かっこよく去ってしまったから討伐部位を回収できてない。今から戻ってもなんか気まずいし……。まあ、いいや。キラープラントはあの女性パーティーが倒したってことにしよう。もしもキラープラントがかなり上位の魔物だったりしたら俺たちが目立ってしまうし、今回は譲ることにする。


「討伐部位は残念ですけど、多分大丈夫だと思います」

「……?どういうことだ?」

「時期にわかると思います」

「…………?」


俺は首をひねる。カゲマルとシーファは何か理解している顔だった。これわかってないの俺だけ?


「ちょ、教えろよ」

「お楽しみです」


シーファはふふっと笑う。かなり気になったが時期にわかると言われたので大人しく待つことにする。


「もう集合の時間ですよ」

「ああ、そうだったな」


太陽の上り具合で集合時間が決まっていた。俺たちは集合場所のラギ森林入り口へと急ぐ。その場に着くと、もうかなりの人数が集まっていた。


「おっと。お前たちが最後だな」


ひょこっと出てきたユリガが言う。


「そうか。遅れてすまないな」

「まあ一組前に来たパーティーが数十秒前に来た感じだしあまり変わらないぞ?」


じゃあ最後とか言うなや。


俺がそう思っている間にもユリガは冒険者たちの前に立った。まるで自分をアピールするかのように両手を広げ口を大きく開く。


「今回の調査で、何か違和感というものはないか?」


1人が手を挙げる。


「初心者用の森なのに強い魔物がいること」


あの時の魔導師の女性だった。


「そうだ。強い魔物がいること。その魔物について、どんなやつがいたか報告してくれないか?」

「ウォーターベアー」

「アンデットラビット」

「キラーコンドル」

「俺もキラーコンドル見たぞ!」

「キラースパイダーもいた!」

「あたしはキラープラントを見たよ」

「キラープラントまで!?どうなってんだ!?」


ユリガはわかりやすいように頷く。そして、手を挙げてあたりを静めた。


「俺は一瞬だけだが龍を見た」


ユリガの告白に、周囲がざわめく。俺たちはそこまで驚かなかった。だって俺たち一回会ってるしね。カゲマルもあまり驚いてなかったが、まあ龍って聞いても普通なのだろう。人間じゃないし。


「炎のように赤い体だった。俺も龍を見るのはこれで3回目なのだが、今までよりも格段に強いということが覇気ですぐ分かった。すぐ姿を消してしまったけどな」

「それは、あたしたちには勝てるものなの?」

「俺でも勝てるかどうか怪しい。……お前たち、龍を見かけても気軽に攻撃するんじゃないぞ」


真剣に首を縦にふる冒険者たち。『銀の雷』と呼ばれる強い人(多分)が勝てるかどうかわからないといった魔物には頼まれてでも戦いたくはないだろう。


「と、いうことでこの情報はギルドマスターに通達しておく。言いそびれたことはないな?」


和樹のことを言おうかと思ったが、また笑い者になるだけと悟り踏みとどまった。カゲマルが怪訝な表情で俺を見てくるが気にしない。和樹のことを信じてくれる人はミィトしかいないのだから。


「では、解散っ!報酬はギルドの受付で受け取ってくれ」


その言葉と共にぞろぞろと冒険者たちが帰っていく。俺も帰ろうと足を運んだが2人の人影が近づいてくることに気がついた。


「あの……」

「ん?」


二人組の女性。俺が前助けてやったやつらだ。


「これ、貴方が討伐したから貴方にあげなきゃ」


そう言ってくれたのはキラープラントの討伐部位だった。俺は断ろうとしたが無理やり押し付けられる。


「……ありがとう」

「どう致しまして」


女性たちは去っていく。最後にビクビクしていた娘がぺこりと頭を下げ走って行った。


「ほら、討伐部位に困ることはなかったでしょう?」


シーファが綺麗にウインクをする。彼女は最初からこうなることを知っていたのか。それにカゲマルも。俺だけ乗り遅れていて恥ずかしい……。


「確かにな。だが、あいつらは討伐部位持ってなくて大丈夫なのか?」


そのまま去って行ったけど。


「悟様は優しすぎだ。もう少し心を鬼にしたほうがいい」

「……そうか?」

「そういうところが命取りになるかもしれないんですから」

「……ふーん」


話している内容がよくわからなくなってきて俺は適当に返事を返した。シーファが頬を膨らませているが俺は無視する。


「これからどうするのだ?」


カゲマルが問う。


「一回ミィトに現状報告をしておきたい。和樹の情報もカゲマルからあまり聞いていないしそこで話してくれないか?」

「ミィトとは?」

「ギルドマスターだ。俺よりも強い。和樹に人生をめちゃくちゃにされたことで彼を恨んでいる人間が、ミィト。まあ会ったらわかる」

「承知」


ロット国に帰り、報酬をいただいた。だいぶ懐が膨らんできたところだ。今回の依頼は俺たちにして大満足という結果だった。


「ま、魔人!?」

「魔人!?」

「なんで魔人が!?」


うわ、なんか騒ぎになってる。


「悟様、影に入ってもいいか?」

「そういうこともできたな。なら、頼む」


俺たちはなるべく人目のつかない路地裏まで行ってカゲマルに影へと入ってもらった。そして、反対側から外へ出る。ここならまだ噂は広がっていないだろう。


「MPは消費しないのか?」


小声で聞く。俺の影の中からすぐに返答が返ってきた。


「MPを消費することはするが1日に50くらいだ」


そんなに少ないものなのか。っていうかユニークスキルにあるものってスキルにもあるものなの?


『ユニークスキルは独自のものなので、2つと存在することはありません』


じゃあ俺の変化は本当に1人しか持っていないやつなんだ。成る程。ありがとう、鑑定さん。


そうして俺たちはミィトに会うために塔へと向かった。

新年あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

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