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第73話 またまた魔物退治 6 o(^_^)o

 俺は意識が戻ってきているのを感じてガバッと起き上がる。近くでシーファが看病してくれていた。シャドゥは……いない?逃げたのか?


「シーファ、シャドゥはどこへ?」

「カゲマルですよ。サトル」

「は?カゲマル?」


 おかしいな。俺はシャドゥと名前をつけたはずなのだが。


「まだ前の名前の名残もあったほうがいいと思うので、彼には内緒で私が考えました。できるだけサトルが考えそうな名前を考えてみたのですが……気に入りませんでしたか?」

「いや、いい。満足だ。大満足」

「よかったです!」


 俺の名前のセンスナッシングだしな。カゲマルの方がいいだろう。


「で、カゲマルはどこに?」

「見回りに行ってくると」


 逃げたわけではないのか?それとも見回りをするふりをして逃げたか?でも魔王の洗脳も解けたし逃げるとは考え難いけど……。


「只今戻った」


 あ、普通に帰ってきた。疑ってすいません。


 カゲマルが森の中から現れる。俺は礼を言い、立ち上がった。


「すまないな、心配かけた。シーファも看病ありがとう」


 シーファは満更でもなさげに体を揺らす。きっとフードの中では獣耳がピコピコと動いてるのだろう。


 カゲマルにも名前の件をしっかりと話し納得した上で、俺たちはラギ森林の中へともう一度入った。


「気遣いありがとう」


 途中でカゲマルが囁くように言ってきたが、俺は聞かなかったふりをして先を急いだ。やはり彼も名前の名残があったほうがよかったのだろう。シーファ、ナイスアイディアだ。


「……くそっ、魔物め」


 小さく声が聞こえる。シーファもカゲマルもその声に反応し全員で顔を見合わせて頷いた。声のした方へ一直線に走っていく。


 あまり離れていない場所で2人の冒険者が1匹の魔物と戦っていた。俺の見たことない魔物で、大きさは2メートルほど。見た目は食虫植物だ。いや、あの大きさになれば食人植物だな。俺の体など一口で食えてしまう。だが肝心の口が見つけられない。下にある気配はないし、腹らへんにもない。上は大きな葉がかぶさっていて見えないし……。まあ、あるとしたらそこだろう。


 黄色い派手な色は見るからに自分が危険ですよと主張している。それに時々酸を出して地面を焦がしていた。冒険者たちは近づけないようだ。じりじりと植物が詰め寄り、冒険者は一歩二歩と下がる。そして、植物は上の葉をピンと頭上に立たせた。そのせいで見えなかった口が露わになる。口には植物とは思えない鋭く尖った牙が口に沿って円状にずらりと並びその奥には小さな花が見えた。色までは見えなかったがあれが本体だと俺は悟る。


「はっ、ひぃ」


 情けない声を出して1人の冒険者が腰を抜かしどさりと尻餅をつく。それに動揺したもう1人は魔導師用の杖から魔法を出した。火球だ。草っぽいやつには有効かと思うが、魔物の体から酸が滲み出し本体に届く前に溶かされてしまった。それだけではなく小粒の酸は数を引き連れてガトリングの弾のように魔導師の元へと飛んでいく。


「ウォールバリア!」


 流石に見ていられなくなりシーファが手を出した。魔導師を酸から守る。木の陰から俺たち3人は飛び出しまずは挨拶代わりに火球を飛ばした。もちろん無詠唱だ。


 火球を溶かそうとする魔物だが、その体と接触する前に爆発させた。


「爆風までは溶かせないだろ」


 案の定、植物は少し体を黒くして煙の中から現れた。しかし、爆発によって与えた傷はすぐに癒えてしまう。


「回復持ちです、サトル」

「そうか……中々厄介だな」


 これまで自力で回復する奴には会ったことがなかった。これはかなり手を焼くことになるかもしれない。


「大丈夫か、人の子」

「ま、魔人……!?」


 あちらもあちらでカゲマルがやっているが、まあ心配することはないと思う。……腰を抜かしている人また腰抜かしているけどね。


 俺は目線を植物に戻し、鑑定を起動させた。


 キラープラント

 種族 人喰い植物種

 状態異常 なし

 レベル54

 HP...900/900

 MP...550/550

 攻撃...284

 防御...396

 素早さ...144

 魔法...68

 《スキル》

 ・捕食・嚙み砕き・酸制作・酸飛ばし・気配感知・気配遮断・自然治癒・自己再生・ソーラーヒール

 《称号》

 ・村山和樹の配下・人間喰い・人間殺し

 解説

 口の中にある花が本体で、いつもは地面の中に埋もれて頭の花だけを出して獲物を待ちます。そして近づいてきた獲物を食べますが人間以外だと吐き出してしまいます。それととてつもないほど強力な酸を持ち、すべてを溶かすと言われています。見た目で解析することは難しいですが、皮膚はかなり硬いことで有名です。ジワジワとした弱い攻撃で相手を弱らせ自身の受けた傷は全て回復、そして最後には大きな口で喰い殺すと恐れられています。


 まあまあだな。これなら俺でも勝てる。と、思う。


 俺とシーファはそれぞれの武器を手に取り戦闘姿勢をとる。最初に動いたのはシーファで、詠唱を始めた。おきまりの風刃がキラープラントへ向かう。シーファも杖のおかげでかなり詠唱が早くなってきた。


 風刃はキラープラントに当たる。しかし少量の傷をつけただけであとは自然治癒で回復されてしまった。


 そういえば自然治癒とHP自動回復の違いってなんだ?


『HP自動回復は継続的に少しずつ回復するスキルですが、自然治癒はHPとMPどちらも継続的に回復することができます』


 改めて厄介さを知り俺は息を吐いた。


 俺の見解では魔物は四種類いると思う。1つは素早さと攻撃力ガン積みでその素早さを利用してごり押しでくるタイプ。もう1つが魔法型で距離を置いたところから打ってきて敵を近づかせないタイプ。さらにもう1つが防御型と回復型で固い守りに回復を重ね合わせるといううざいタイプ。キラープラントがこの例だろう。そしてもう1つが今言った全ての能力を持ち合わせている天才。まあそんな魔物はそうそういないと思うが。


 俺は深呼吸をし、精神を統一させた。短期決戦、全ては一瞬で決める。


 意を決し悟はキラープラントに飛びかかった。

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